すやすや眠るみたくすらすら書けたら

だらだらなのが悲しい現実。(更新目標;毎月曜)

日記;2021/05/11~05/17

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 日記です。1万2千字くらい。Youtubeにデッサン用の配信(動画)をされている美術系のチャンネルの存在を知ったり。月ノ委員長による、2500通とどいた「死の概念を初めて知った思い出」からピックアップ紹介配信が面白かった週。

 ※言及したトピックについてネタバレした文章がつづきます。ご注意ください※

 

0511(火)

 ■読みもの■

  伴名練『別の本』読書メモ

 伴名氏のエッセイで、これを収録した冊文藝春秋(2020年1月号)』Amazonapple楽天などで電子書籍が流通されています。

 短いエッセイですが、伴名氏ファンや短編集『めらかな世界と、その敵』を楽しく読まれたかたは必見の内容でした。

 

 内容は、伴名氏による2019年に話題をあつめたSF短編集めらかな世界と、その敵』の収録作3作について、書き始めた当初の構想について紹介するというもの。

 表題作『なめ、敵』が、別作家下永聖永氏の『オニキス』とのネタかぶりによってお蔵入りした別作からの雪辱戦であること、他収録作の『ンギュラリティ・ソヴィエト』が別作家『働者階級の手にあるインターネット』に影響を受けた作品であることはすでにほかのインタビューなどで語られていたことですが。

 しかし、『シンソヴィ』や短編集書き下ろしの傑作中編『かりより速く、ゆるやかに』が実はげんざい読める完成版は改稿版で、書き始めた当初はまったく別種のプロットから出発していたことは触れられたことが多分ありませんでした。ましてや「ではどんなプロットだったのか?」なんて!

 

 伴名氏がかたる初期構想は、モチーフから登場人物はたまた物語展開まで別物ながらそれはそれで面白そうで、じっさい氏の筆力があればそれなりのものになってくれたでしょう。

「じぶん基準でGOサインを出してそれなりに時間や労力をかけてしまったものを、途中で"だめだ"と判じられるうえにサックリ却下できるのか」

 と驚かされます。

 

 ぼくの趣味のお絵描きでは、ほんの書き出しで「こらぁダメだ」「ぼくの技術では描けない」となるものは捨てられるんですけど。

 でも、「イケそう」と思ったり何となしに筆を進めてしまったりしてそれなりに形になってきてしまったものについては、「これやっぱりあやしくね?」と思ったとしても小手先のマイナーチェンジや微妙な軌道修正くらいの書き換えしかできなくなっちゃうんですよね。

 氏とちがってぼくのイラストはあまりに量が乏しいから、とにかく出力することが大事だからそれでよい気がしますが(半年ぶりのイラスト投稿……)、こういう経過判断能力・取捨選択能力はあこがれますね。

 

 『シンソヴィ』について、このblogで以前書いた感想文で「伊藤計劃の文筆のトリビュート要素が大いにある作品なのではないか?」というお話をしました。

 そういう風に読んだ自分なので、初期構想のお話をきいてもそうしたバイアスから眺めてしまうんですけど、伊藤氏の作品は劇中でメインに扱うような特異な人・SFガジェットがふってわいた異物ではない点に特徴があるのかなと思いました。

 伴名氏の作品では、対照的なバックグラウンドや意見をもったひとびとがひょんなことから鉢合わせ、対決するところがよく見られます。

 結婚式で鉢合わせた新顔であったり(『美亜羽へ贈る拳銃』)、転校生であったり(『なめ、敵』)、女学校へ編入しててんやわんやする語り手であったり(『彼岸花』)、ベテランが新人と顔合わせするところであったり(『全てのアイドルが老いない世界』)

 

 いっぽうの伊藤氏の作品では、殺器官』のSFガジェットは異端の科学者や希代の天才はては異星の宇宙人が発明したブラックボックスではなくて、大学の学者がふつうに研究してふつうの機関から金銭支援を受けて出力されたようなふつうの理論で、英国名作お笑い番組モンティ・パイソン』になぞらえられるような日常へ馴染んだものでしかなく。

 伊藤氏が『ファイトクラブタイラー・ダーデン的なイデオローグであると公言し、劇中では『涼宮ハルヒの憂鬱』のハルヒへもなぞらえられるーモニー』の主要人物ミァハもまた、語り手トァンとおなじ学校に通う一生徒で、トァンはべつにハルヒとちがって新学期とかで初顔合わせしたわけではなくて、生徒が行き来する通学路にふつうにいる存在。トァンはその異様にふとした瞬間に気づいてしまっただけという感じです。

 

 ふつうのひとびとのふつうの営みのなかにふつうに存在しているのだが、しかし気づけなかったり気づきたくなかったりする存在である/「いないもの」として扱われる・扱いたい存在である。それがふと漏れ出たり、ザックリ無視できないレベルで現れたりする……そんな風にして異質なものが現れるのが、伊藤作品の世界なのではないか? なんてことを思ったりしました。

 

 

0512(水)

 宿直日。

 生活圏でサルがうろつき始めて、「冬は終わっただろうに」となりました。

 ここのところの自粛期間によって、野生動物が人里へ出歩きやすいとか、そういうことってあったりするんだろうか? みたいな疑問がうかぶ。

 

 

0513(木)

 宿直明け日。

 

 

0514(金)

 ■考えもの■

  ゴジラに円城氏抜擢までにどんな怪獣モノの企画があったんだろうか……

 『ゴジラS.P』にかんしてゴジラの活躍が見たいかた、怪獣の大破壊が見たいかた、科学考察がどうでもいいかたの感想に「まぁそうさなぁ……」とうなづきつつ。

 円城氏本人が「高橋ゴジラ」と言うべきという現行版ではなく、円城氏が「円城ゴジラ」と言い切れるようなエンジンをフル回転させたって(もちろん)凄いものになったんだろうし、いわゆる「オールドクラシックな『ゴジラ』をやらないなら自分の庭でやれ」というお話もわかるけど、円城氏自体にネームバリューはないということが1話先行上映配信の同時視聴者数2000人くらい。2万じゃないよ。Youtuberさんの通常配信のほうが多いよ遥かに。)でわかったから、円城氏を柱にした(オリジナル)SF企画はむずかしかろうよなぁ……。

 ……といったところから、

「さて(SF)作家に『ゴジラ』ないし怪獣映画を担当してもらうとして、円城氏はまず第一候補に挙げないよなぁ」

 と、情報公開当時の疑問がまた再燃しました。

 順当そうなのは、小川一水さん(ミリタリ・災害・復興・共同体シミュレーション/『よみがえる空 レスキュー・ウィングス』小説版担当)だとか、福井晴敏さん(ミリタリ・SF・政治思想?/『亡国のイージス』『終戦のローレライ』に『ガンダムUC』に、実写アニメ映像作品多数)だとかだよなぁと思いつつ、『ゴジラ』じゃなくても怪獣モノで大予算をひっぱってこれそうなかた、福井氏以外にもいるじゃんか! と遅ればせながら気づきました。

 

 有川浩さんの怪獣モノは、どうして今まで映像作品化されてこなかったんだろう?

 とうぜん企画が立ち上がったに違いないけど、山本弘さんの『MM9』が片渕須直さん監督によるアニメ化の企画が進行していたように、小川氏の『導きの星』アニメ化企画がなんか音沙汰ないように、立ちはしたんだけど消えてしまったのかなぁ。

 『虐殺器官』でもノイタミナ以前に別会社から企画が立っていたそうだし、水面下ではいろいろ動いていてそのまま日の目をみずに沈んでいくものも色々あるんでしょうね。

 それ考えると『ゴジラS.P』を拝めていることはけっこう奇跡的なことなんではないか、とか思ったりするのでした。

 

 ■観たもの■

  高橋敦史監督『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』8話鑑賞メモ

 絵コンテ・金子祥之&村木靖&高橋敦史、演出・野亦則行&鈴木拓磨&宮原秀二さんの回。

{このblogでのここまでの『ゴジラS.P』にかんするお話。放送まえ与太話記事1話感想エントリ2話感想エントリ3話感想エントリ4話鑑賞メモ(日記)5話鑑賞メモ(日記)6話鑑賞メモ(日記)7話鑑賞メモ(日記)

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 『雪風』('84)で18年('02)、『攻殻』('91)で4年('95) 、『虐殺器官』('07)で10年('17)。

 『SRE』('07)で14年('21)……思えば遠くまできたものです。

 

 楽しい光景になってきた。

 紅塵まわり/ゴジラまわりで一変した東京がすごい。予告でよく隠してくれました!

 ふつうの光景を積み重ねてきたうえで、蛹化(? 炭化? バイオミネラリゼーション?)ゴジラのシビれるビジュアル。

 ヱヴァの赤い世界だとか、『ヱヴァ破』『Q』あたりの使徒まわりの3DCGや、あるいは細田守監督作の電脳空間、はたまたそのほかの作品にでてくるポップな電脳空間のバグったさいの色合いや質感的かもしれません。

 でもいま・ここの実景としてデンと出てこれるお話・設定にしちゃったのが凄いですね。

 

 今後はさらにしっちゃかめっちゃかになってくれるんですよね?!

「ひどいことになるんだろうなぁ! 次回がたのしみ!」

「日常は分厚いな……」

 と消沈しつづけたここまでだったので、どうだろうな……(不安)

 アニメ脚本初参加のペース☆ダンディ』脚本担当回では、3D想定の実風景がファミコンシューティングゲー的なドット絵平面図になり線になり点になってしまう世界をえがいた円城氏でしたが、今回もそういう、映像芸術/アニメという表現形式に淫する展開が出てきそう(/すでに出てきている?)でたのしくなってしまう。

{脚本ぜんぶ御自分が担当されたはずの『ゴジラS.P』ノベライズが難航しているらしいことが、アニメの脚本仕事に時間をついやし小説の書き仕事から離れていたからではなくて、アニメであることに特化した物語・物語演出を多分にとりいれた作品だから、どう小説にしていいものか悩んでいるとかだったらアツい。

 そうであってほしいなという願いですねこれは}

 

***

 

 『ゴジラS.P』のふつうさに惹かれている。

 劇パトⅩⅢ』で高山監督は、廃棄物13号の演出について「恐怖映画的なメソッドに乗せすぎると、アニメだと逆にわざとらしく作り物めいてしまう」というようなお話をされていたけれど、『ゴジラS.P』にもそうした意識があるのではないかと思ってしまう(※)

(ぼく自身は高山監督の言に反して『劇パトⅩⅢ』はふつうに1ショット1所作もショットたちがつくりだす連関もキメッキメの分厚い映画だと思いますし、『ゴジラS.P』だって記事最初にアレコレ相似構図を貼ったとおり、カッチリ「演出」された作品だと思いますが)

{5/16追記;

 ※ビデオが見つかったので確認したらぼくの記憶違いで、論旨がかなりちがっていました

★高山:(略)この手のジャンルフィルムやってて難しいのがですね、ジャンル特有の紋切り型ってあるわけですよね。アメリカの批評家が言ってましたけども、日本の怪獣映画を見ると、よく町が破壊されちゃって、人々がパニクって橋の上とか道路を逃げるシーンが出てくると。そうすると必ず白い手袋をした警官が人々を整理して「みんなそっちには行かないで、こっちに行きなさい」みたいな指示を冷静にしてる。それがアメリカの観客から見るとすごい不自然に見えるらしいんですけども。

   『WⅩⅢ 機動警察パトレイバースペシャルエディション特典絵コンテp.643、山田尚美(インタビュー・構成・文)「高山文彦ロングインタビュー」主軸はメロドラマより(略は引用者による)

山田:あと気になったのは事件の伏線の描き方ですね。シナリオ上で張られた伏線を映像でどう表現するのか。強調しすぎてもさらりとやりすぎても、そのさじ加減が難しいのでは。

★高山:ええ、これはアニメってどうしてかわからないですけどね、ああいう伏線みたいなことをやろうとすると、いかにも伏線でございますって見えちゃうんですよ。アニメーションって画面の情報量を上げるのは限界があるけど、情報の純度を上げるのは割と簡単に出来ちゃうって側面があるせいだと思ってますけど。

   『WⅩⅢ 機動警察パトレイバースペシャルエディション特典絵コンテp.647、山田尚美(インタビュー・構成・文)「高山文彦ロングインタビュー」第一稿に変更を加えるより(太字強調は引用者による)

★高山:アニメにおける恐怖感覚とかまじめに考えたこと無かったんですけど、どうもやろうとすると上手く行かないから切っちゃった部分っていうのがありまして、一応最初書いては見たんですよ。恐怖映画で必ずありますよね、犠牲者になるヤツが一人でなんかやってるときに突然怪獣が襲って来るというシーン。一番最初に僕が書いたときはですね、基地のガードマンが懐中電灯持って通路を歩いていると、ガサッと物陰で音がするんで、そっちの方に近づいていっちゃうと怪獣に襲われて、持っていた懐中電灯がこう床におっこって、それがくるくる回ってですね、やられるガードマンと襲ってる怪獣の姿は見えないんですけども、そのシルエットが回ってる懐中電灯のライトに照らされちゃって後ろの壁に映るとかいうことをやってたんですけども、これやっぱ怖くはならないよな、どう見たってアクションでしかないって思って……だから書いたけども結局そこら辺は捨てちゃって、あっさりただやられたヤツがずるっと引きずられるっていう。

   『WⅩⅢ 機動警察パトレイバースペシャルエディション特典絵コンテp.649~50、山田尚美(インタビュー・構成・文)「高山文彦ロングインタビュー」音楽の効果・アニメにおける恐怖感より(引用者による)

 

 怪獣/アーキタイプ/現実や現実の科学自体がゆうしている不可思議さ・異様さが一番うえにあって、演出はあくまでその素材の味そのままに際立たせる補助へ徹しているといいますか。

「円城作品が映像化される機会があったらシャフトとかが良いのではないか」とぼんやり思ったり(、「『スペース☆ダンディ』の高橋コンテ&円城脚本回ほどには傍目にカッチョええ構図やビジュアルをしていないな」とか思ったり)したわけですが、今回の座組が拝ませてくれている展開/光景に素朴に驚嘆している身としては、「いろいろなやりかたがあるんだなぁ」としみじみ反省してます。

 物語をツルーっと呑み込めるという意味においての/後加工でゴテゴテと装飾しないという意味においての自然な映像に惹かれてきています。

 

***

 

 海で子供とAIがあそぶ姿という大枠から対照的な光景が描かれていて楽しい。

 船上で子供たちにプロレスしかけられてタップし負けるペロ2@小型機械に、海岸線で子供たちに指挙げゲームで完勝するユングジェットジャガー

 製造年代的にはユングのほうが先輩だろうはずだけど、人とのかかわりではペロ2のほうが察しがよさそう。

 

 1話では「だっせ~、帰ってプレステやろう」という感じだったジェットジャガーと子供たちがほのぼの遊んでいる(ただしそこはマンダが打ち上げられた浜辺である)という状況は、劇中世界の「日常」がだいぶ変わってきてしまった印象がある。

 

***

 

 指挙げゲームで活かされたジェットジャガーの高精度センサーと演算能力は、そのまま続くクモンガ(的怪獣)との対決においても発揮されているようで、前段の日常ドラマで性能を説明したために、アクションシーンではその解説を省略しています。

アンギラスの未来予見能力にかんするくだりを、さらになめらかにした感じだ)

 ゴジラS.P』てこれだけセリフ過多な作品なのに、漫画小説原作のバトルシーンでそれなりに見られるような、その場そのときの戦闘者の把握・思考・戦略をモノローグなどで開陳するために劇中時間をスローモーにする展開が実は今のところない。(というかそもそもモノローグ自体がペロペロたちのアバン以外ない?)(5/18追記;いや、1話終盤の「めったにおこらないから奇跡なのさ」はモノローグだったな)

 5~6話のユンユンたち@ジェットジャガー捕鯨砲vsアンギラスも、それについて鑑賞されたかたがあれこれ解釈しているとおり、バトルもの的な勝利にいたるためのロジックがあるんだ(ろう)けど、それを劇中で明示的に解説したりしない。

{源さん@捕鯨砲(遠距離からの射撃をアンギラスがふしぎな予見能力で跳ね返す)

おやっさんジェットジャガー(近接戦でアンギラスが競り勝つ)

おやっさんジェットジャガー捕鯨砲①(近接戦でアンギラスがふしぎな予見能力をつかうまえに砲火し、ジェットジャガーが勝つ)

おやっさんジェットジャガー捕鯨砲②(前段で近接砲火にまけたアンギラスがこんどは身をひるがえして近づかせず勝ち返す)。

 ……そうしたいくつかの戦いの変遷を経て、ユンユンたち@ジェットジャガー捕鯨砲の戦略がある}

 説明されないと受け手が困るところと、説明されなくても大丈夫なところとの見極めがウマいのだと思う。

 

{5/14追記;

 2話5話8話と、3話区切りのエピソードの真ん中でジェットジャガーは着々とコケたひとを救っているなぁと感心する。

 2話でラドンから逃げるもコケたおやっさんを救ったユン操作のジェットジャガー(/同話でつまずきつつも逃げるユンについては、おやっさんのトラック特攻が救いの一手で、二陣にあまんじたジェットジャガーは)、5話でアンギラスから逃げるも地面にほうりだされたおやっさんの旧友源さんを救ったおやっさん操作のジェットジャガーは。

 8話でユングの頭を手に入れ自律で動き、8話でクモンガから逃げるもコケたユンを救い出す。

 

 そうなってくるとまた、9話で有川ユンはやっぱり、3話6話でそうだったように、なんらかの暴力にさらされて地に倒れ、気絶/耳鳴りをこうむるのだろうか?}

 

***

 

 作中設定などの説明という点では、アーキタイプまわりの説明も観ていてかなり面白いですね。

 8話でシヴァ社の科学者BBはじぶんの娘に説明をするというかたちで自分の考えをまとめるけれど、これもウマいですよね。

 葦原/アーキタイプの説明は……

  1. 第三話;リー博士の講演を聴講してその場で神野銘が思いついた口走り(セリフだけ。言ってること自体は割かしわかりやすい)
  2. 第四話;翌日のホワイトボードをもちいた銘の、リー博士への説明(図はあるけれど専門用語があり難解。聞くリー博士はサクサクうなづくけど、それはリー博士にとっても既知だからである)
  3. 第六話;後日の平面の紙を折った銘の、リー博士への説明(見た目にわかりやすい。リー博士にとっても未知の内容)
  4. 第七話;後日の航空機内での、BBから送られたアニメ(高次元立方体がくるくる回る模式図)を見せるリー博士と、そこから立体的なゼリーとフォークを用いて理解する銘の会話(わかりやすい)
  5. 第七話;ユンからカミムシへアーキタイプ理論をもちいた超計算機の発案{情報量が多く、プログラミングコードがでんと載せられて、(第一話でミサキオク電波観測所の謎の機械にかんして佐藤が読み上げた説明書のように)よくわからない}
  6. 第八話;BBからBB娘へ立方体とその影をくるくるさせての説明射影幾何学的な説明)
  7. 第八話;リー博士から銘へ超計算機の問題点に関する説明/葦原の論文の図の読み解き(わかりやすい)

 ……と、無から有形(平面から立体)へ/専門用語から平易な言葉へわかりやすくする展開を経ています。

 1~4までなら「劇中設定にかんする劇中人物の理解が深化していく」順当なすすみですが{いや2のように、「説明される側もそもそも知っている(からサクサク進むし、説明者である銘が"つかえる"研究者かどうかのテストにもなっている)」というヒネリもありますが……}順当ではあるけれどそれゆえ平板と思えもするかもしれない。

(「1週目は未知の情報を咀嚼するのを精一杯たのしんでいるけれど、設定について理解した2周目以降の鑑賞は楽しめるか?」という否定的な疑問がうかんだりするということや。あるいは、この1~4までの流れは円城氏がゲンロンSF講座で望ましくない展開と記した「天才が、はっ(気づき)、はっ(気づき)、はっ(気づき)、解決」ではないか? ということですね)

 今回みたいに「専門家が非専門家へ聞かせる(から分かりやすい)」というバリエーションも出てきたりするとやっぱり楽しい

{5/14追記;

 なるほどそういう基本形の応用なのか~と柏手を打ちました。

 そうしてもっと考えてみれば、子どもに自分の研究や仕事のはなしをできるBBの性格やあいづちを打ちつつ料理をこなすBBの子の性格(1話のいろいろ喋るおやっさんについて相槌を打ちつつ料理を食べる、ブラジルでのオオタキの面々の会話みたいでもあるし。2話の料理を練りつつペロ2へ生返事をする神野銘の会話みたいでもある)、ふたりの(良好であろう)親子関係など、面白いキャラ描写だなぁと思えましたし、これがあるからこそつづく一家だんらんの席に割って入る私兵のくだりもまた(どこか間抜けた、かわいらしい空気ながらも丸きりユルくならなくて)面白いんだろうなぁと。

マイケル・マン監督作でたびたび、登場人物がただ電話にでるのではなく、何かを作業していたのを中断して電話にでるという変化の瞬間として映しているのにも通じる)

 

***

 

 5話でユンが直面したアンギラスと銘が直面したアーキタイプそれぞれのふしぎな性質が奇妙な似通いを見せたように。

 8話でも、銘が直面した複数の超計算機/特異点がネットワークを築き/競合する「破局」と、ユンが直面した怪獣まわりラドンを食ったアンギラス? マンダを食ったゴジラorクモンガ? ゴジラから逃げるもゴジラに殺されたマンダ。傷ついたクモンガから出てきたヘドラ。怪獣はネットワークを築き/競合している?)は妙な似通いを見せる。

 

 回をまたいだ似通いといえばアーキタイプまわりを探るひとびとをはさむ菱形のフレームや。

 軍から公職・市民へと、あるいは遠方から近方へと、はたまた緊急からすでになんども起こっていた既知へと……いったかたちで日常へ浸食していく存在へと「アンノウン」の変遷も楽しい。

 

***

 

 上で記したみたいに、「一話」単位内で並べられた知見がそれぞれの陣営が直面しているふしぎ(謎)とゆるやかに結びついているとして、ギュラゴジの爆発のメカニズムにかんする糸口もまた第8話のなかにあるのだろうか?

自衛隊の攻撃に対する自己防衛/反撃だよとか、時間を曲げるふしぎなアーキタイプの性質の応用だよとかいう以上になにかが)

 ジェットジャガーユングは積乱雲を、「上昇気流によって成層圏まで達しもする、地球規模のコンデンサを充電する発電装置」ととらえる。

 ギュラゴジの爆発もまたそれと似たようなものだとしたら、それはつまり3話がユングで見せた「ピピピピピ(計算)……バン!」の超計算機/特異点版ということになるのだろうか?

 

5/14追記

 「超計算機同士の競合」(≒怪獣の生活?)というのも(これについてはいわゆる「意識」がどういったものか、一説の説明みたいなところがあるけれど――無意識下でさまざまな欲求/考えが湧き上がっていて、そのなかでいちばん大きかったものが「わたし」の意思や決断として現れる/そのように認識する、みたいなやつだけど――、ここまでのひとびと&AIの手つきから、ふんわり様相がつかめそうだと思う。

 3話でペロ2が逃尾市内のアクセス可能なカメラを手あたり次第あさって、そのなかから都合がよいひとつを=オオタキファクトリーが修理依頼を受けたどこかの企業のドローンを、所有者の意向を適当に無視してハック・ジャックしたくだりや。

 あるいは4話のペロ2&メイがMD5ハッシュ関数に手あたり次第検索かけるくだりなどのように、高次元の存在すればどうでもいい理由のどうでもいいモチベーションから……はたまた(ユングが積乱雲に見るような)そもそもいわゆる意思なんて無いだろうと思われる「現象」から(←いちばんそれらしい)……三次元生命体は大変な目にあっているのかもしれないし、高次に充分に複雑な現象であるがゆえに、大変な目にあっていると認識するわたしたちの生態・意識まで生まれてしまっているのかもしれない}

 

 クモンガ(+メガロ)とヘドラは、どういう存在なのだろう?

 細胞組織がヘドラ? それとも両者は別個の生物で、その場で新たな次の世代が食い破って表れたのか、あるいはヤドカリ&イソギンチャク的な共棲関係か、それともロイコクロリディウム的な寄生関係ということなのでしょうか?

 ユン&ユングジェットジャガーの利点をうけて、ガワと脳が別々にうごく怪獣搭乗型怪獣へと進化した……というようなかたちに見えなくもない。というか、ぼくはそのように見たくなってしまうのですが。

 

(5/16追記;

 一怪獣=一特異点みたいに思ってましたが、これはなるほどと思いました。

 ただ、「視聴者にはわかってる答え」みたいな不親切なお話かというとそれは違うように思えました。

 SP版ラドンの正体が翼竜以外にも両生類など複数の類が考えられること、SP版アンギラスによって一頭の動物のなかに蹠行と趾行が組み合わさっていたりすることが劇中で言及されているので)

 

 

0515(土)

 ミートスパ+きざんだニンニク+ウィンナーをたべました。おいしかったです。

 仕事休みですがちょっと出たり帰ったり出たりして休まらなかった。

 

 ■描きもの■

  Youtubeでポーズデッサン1

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 『(Non Nude) Daily Life Drawing Session Figure Reference Images #1 in Ultra HD 4K』を見ながらポーズデッサン。

 絵画のサブスクリプションサービスNew Masters Academyさんが公開している動画です。

 動画じたいは1分で次の画像(ポーズ)に切り替わってしまうのですが、ふつうに描けないので1/4倍速にして、それでもまだまだ描き終わらないので10セットくらい繰り返しています。

 最初の2枚ははやく描こうとしたもの。つぎの2枚は、

「きちんとアタリも取って骨格や筋肉などを意識しながら描くべきだな……」

 としたもの。

 生身のかたであるためにどうしても時間制限がかかってしまう3次元のかたを囲んでの&鉛筆でのポーズデッサンとちがって{そして、貧乏性&面倒くさがり&価値観のちがいからこれまで今回やったようなことをやらなかった紙媒体のポーズカタログをもちいたデッサンとも異なり}、ゴリゴリに実寸が測れる&簡単に描き直せるメディアなので、画面をべたべた触って確認したりもしました。

(紙の写真をもちいたデッサンでも、コピーさえ取れば、いくらだって物差しや指・色鉛筆でがちがち測ってゴリゴリ書き込むのも好き放題できるわけなんですけど、コピーを取ることへの抵抗感が勝ってしまう……めんどうくさがりなので……)

 じぶんの絵は縦に伸びやすい」という認知のゆがみは以前から認識していたのですが、今回おどろいたのが、

「ぼくはいろんなパーツを太く描きすぎる(いたらしい?)」

 ということに今更ながら気づいたことです。

 もちろん、デッサンさせてもらったモデルさんの体型だって左右されるものだと思うんですけど、おなじくらいの体型のかたを描かせてもらったことが全くないわけもまた無いだろうとも。そして「じゃあスケッチする時にそのへん気にしてたか?」というとしてない。

 今回のデッサンでは、腕を50%増しくらいで描いていたので、目からウロコでした。

{ただ、ぜんぶ修正したわけではなくて、正中線や横軸に頭身をきざんだり、お手本のモデルと自分の絵のパーツごとの位置関係を見たりして、いちじるしく違いに気づけた部分についてはそのように修正ができた部分がある……という感じです。

 片方の腕はそのやりかたで修正したけど、逆方のそれはとくに気にならなかったから修正しなかった……という絵もあって。時間がたった今みると、その違いが目立ってしまいますね}

  右下のひとは腕が長いような気がするんだけど(じっさいからだとの兼ね合いで見ると長い)、頭基準で測るとこんなもんで、ということは胴体でなにかへんなことをやっているんじゃないかと思うんですが、よくわからない。元動画をスクショして重ね合わせてみるのもよいかもしれない。

 

 ■ネット徘徊■見たもの■

  vtuber『命には終わりがあるって初めて知ったときどう思った?』をリアタイ視聴したりしなかったりしました

youtu.be

「はい。ということでね、皆さま――まず最初に訊きますか――一番こわいものって、なにかな?」

「そうだね、死ぬことだよね」

  いちから社の運営するバーチャルYoutuber団体にじさんじに所属する月ノ美兎委員長の配信を観ました。所用のためいっとき離席しましたが半分くらいリアタイ視聴。

「死という概念をはじめて知ったときどう思った?」

 かつて御学友に尋ねてその経緯や自分とのちがいを興味ぶかく聞いた委員長は、この質問をにじさんじライバーや一般リスナーへ拡大。

 だいたい2500通もの死に関する体験談から、とりわけ興味深いものをピックアップして紹介するという配信です。

 体験談の傾向を分類していて興味ぶかかったです。

 

 

0516(日)

 チャーハンを食べました。おいしかった。

 ■描きもの■

  Youtubeでポーズデッサン2

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 『(Non Nude) Daily Life Drawing Session Figure Reference Images #1 in Ultra HD 4K』や。

 『Drawing Ideas (Non Nude) Daily Life Drawing Session Figure Reference Images #2 in Ultra HD 4K』を見ながらポーズデッサン。

 絵画のサブスクリプションサービスNew Masters Academyさんが公開している動画です。

 老若男女さまざまなモデルがいらっしゃることに気づいたので前5枚とはちがう人も描き始めました。右の人はすこし短足になっちゃったかなぁ。

 左のひとについては、昨日の(描き直すまえの)デッサンとは反対に、腕をあまりに細くしすぎた気がする。

 

 

0517(月)

 宿直日。