日記です。1万字くらい。
※言及したトピックについてネタバレした文章がつづきます。ご注意ください※
0504(火)
仕事休み。
■ネット徘徊■観たもの■
vtuber『ぽんぽこ24vol.5』いくらかリアタイ視聴しました
vtuberの甲賀流忍者ぽんぽこさんとおしゃれになりたいピーナッツくんさんによる24時間生配信『ぽんぽこ24』が今年もおこなわれました。
あしたが出勤日だったので、屁理屈トーナメントまで観ました。
黛灰さんが強いのかなぁと思ったら、富士葵ちゃんがめっちゃ強くて面白かったし、コントにもっていくホロスターズの夕刻ロベルくんもまた良かった。伊東ライフ先生ちえりさん戦も独特でたのしかったです。
各人は論法がそれぞれ別々で、しかもトーナメントでバトルを重ねていくうちに一貫した芯みたいなものも見えて、そのひととなりも見えてくるようで面白かったです。
(葵ちゃんが初戦で見せた切り口が、次の試合でも登場したりとか)
黛くんはごじぶんの試合終了後やらやら、盤外のガヤがいちばん輝いていたような気がする。黛ロベルでコラボとか観たいですね。
0505(水)
出勤日。
■ネット徘徊■観たもの■
vtuber『【モンハンライズ】行くぞリゼ!名取さな!周防パトラ!【#VWW /月ノ美兎】』リアタイ視聴しました。
いちから社の運営するバーチャルYoutuber団体にじさんじの月ノ美兎委員長、リゼ・ヘルエスタ皇女、774inc.の運営するvtuber団体ハニーストラップの周防パトラさん、個人vtuberの名取さなさんの4人が『モンスターハンターライズ』を実況プレイをしていたので観ました。
VWWというのはバーチャルワイドウェブの略で、この4人でコラボ配信をするときはこのグループ名が使われるらしいです。いっぱい色んな配信をやっていただきたい。
ギャハハ笑いをしている委員長・ぱてょらの陽キャ2人のそばでリゼ・名取の陰キャ2人がぷるぷるヒソヒソ震えるという茶番から始まった今回の配信は、言うてみんなオタクの集まりなので和気あいあい進みました。
リゼさんがかっちょええ大技をキメて大型モンスターを部位破壊(※)すると、「あぁ~すばらしい~!」「ないすないす~!」などと声があがり、「なに~いまの~?」「だれ(の大技)~?」と活躍について質問がでる。
「いまの、」リゼさんが返事をします。「いまの選ばれし勇者だけが使える虎牙破斬」
テイルズ・オブの技~~><!!
子ども時代、家庭用ゲーム機を買ってもらえなかった委員長はもちろん、最初の茶番では陰キャ組だった名取もそぼくにそんな技があるんだと受け止めていて、リゼさんも「タチノワザ……コガハザン……(小声)」と意気消沈していておもしろかったです。
{※『モンハン』の大型モンスターは頭や尻尾などパーツ毎に体力が設定されていて、各部へのダメージが一定の値を超えると「そのパーツは倒しましたよ」というようなフラグが立つ。それが部位破壊。太刀で尻尾を「部位破壊」(的なこと)すれば、尻尾がメッセージだけでなく物体として切断され、モンスターとは別個のオブジェクトとしてその土地にのこり、切れた尻尾からモンスターの素材を剥ぎ取り回収できたりする。}
オタクくんにやさしいギャルは存在する!!(ハンターランク他メンが4以下のなかひとり17)(オタクしかいない)(争いは同じレベルの者同士でしか発生しない)
名取「ごめんねパロディつうじなかったとき一番くるしいよね……」
やめてあげてよぉ!!(笑)
名取「アよかった。配信に、砥石警察がめちゃくちゃきてる。”研げ研げ研げ研げ研げ”……(笑)」
シリーズお馴染みフルフルとの戦闘中、こんな一言からはじまった一連の会話もおもしろかった。
名取さんについてはぜんぜんくわしくなくて実況プレイ配信を観たのははじめてなのですが、他vtuberさんの配信のチャット欄へ一般リスナーに混じって視聴コメントをつけたり、雑談配信でもリスナーのコメントをよく拾って対話する印象があり、他vtuberさんとコラボ/実況プレイとかでもチャット欄もきっちり見ている視野のひろさがあるんだなぁと感心しました。
リゼ「"草""草"って言ってる。薬草のめってことかな? 薬草もってないよぉ!」
委員長「ドラクエかな?」
リゼさんはいわゆる「笑」を意味するスラング「草」を、RPGの回復アイテム「薬草」としてとらえた大喜利を披露。頭の回転がはやい。
リゼ「時代がちがう(笑) 過去から来たひと(笑)」
この配信でも「わたくしこのフルフルで2ndG(セカジー)詰んだんだよなぁ」などとお話されていた委員長は、過去のモンハンあるあるを披露。
打てば響くやりとりが楽しかった。
0506(木)
■観たもの■
『ゴジラS.P』7話鑑賞メモ
{このblogでのここまでの『ゴジラS.P』にかんするお話。放送まえ与太話記事、1話感想エントリ、2話感想エントリ、3話感想エントリ、4話鑑賞メモ(日記)、5話鑑賞メモ(日記)、6話鑑賞メモ(日記)}
7話の絵コンテは高橋敦史&村木靖さん、演出は筑紫大介&鈴木拓磨&宮原秀二さん。第3話ぶりの高橋さんコンテ回。
(1話は絵コンテ高橋氏・演出野亦則行&鈴木氏。2話が絵コンテ高橋氏・演出筑紫&鈴木氏、3話が絵コンテ高橋&村木氏・演出野亦&鈴木氏。
4話が絵コンテ板村智幸&村木氏・演出飛田剛&鈴木氏、5話が絵コンテ板村&村木&こでらかつゆき氏・演出中村聡&鈴木氏、6話が絵コンテ村木&こでら氏・演出筑紫&鈴木&宮原氏)
***
正直6話のヒキから、
「2話のおやっさんのアニメ的負傷⇒勝手に復帰とバランスをとる感じで、ユンがふつうに数ヶ月入院・目覚めたときにはすでに東京壊滅していて人類絶滅の瀬戸際とかあるのではないか?」
とか思ってましたが、さすがにそれはありませんでした(笑)
***
安心したのもつかの間、 ホラー回だ。映画を観ていて久々に不安になった。
ニコラス・ローグ監督『赤い影』とか、トビー・フーパー監督『ポルターガイスト』の中盤のさわやかな陽光の屋外会話シーンとかのギョッとする不気味さ・不穏さがある。
これまでどおり怪獣の存在による人命損失は直接えがかれませんし、建物など事物の破壊はかなりおさえられています。
でも「やばいことになった」と素朴に不安になる光景があれこれ登場していて、正攻法なんでしょうけどちょっと「凄いな」と思ってしまった。
7話前半の海岸線でしゃべるユン&ハベルがふと暗がりに目を向ける・向けた先の異様さ。*1
1話では海岸でラドン(?)を逃し怪音楽の出どころについても柵を超えられず落下し、2話のラドンとの対決では柵をじぶんでまたぎ逃げラドンも追走することでまたいだ(が、周囲の人々の命は守った?)、3話ではハベルに抱えられて柵をまたがされラドンも追走することでまたいださきのお店のなかに逃げ込め(店内のひとを守り切った)、6話では柵をギリギリ超えず踏みとどまって、ギリギリ落ちずに戦いを終えたユン。
守った「から」なのか「のに」なのか分からないけど、ユンのそばに立つ柵にひろがる暗がりへふと見てみると、柵をはさんだすぐ下に(ラドンの)死体が転がっている。
とにかく劇的に行動的な主人公チームでも、個ではぜんぜん手におえないレベルで知らぬ間にどんどん状況がすすんでいる怖さ。
(もちろんせっかちなやからなので、「このぐらいの怖さは4話5話くらいで済ませてほしかったなぁ」という感じもないわけではない)
{5/10追記;
ただテキパキものごとを進めた場合、ここまで数フレーズだけチョイ出ししてきた♪ゴジラのテーマが、ゴジラが出ているシーンはもちろん、上のユン&ハベルの会話シーンみたいにゴジラがいないように見えるふつうの会話劇のシーンでも流しっぱなしになっていて何か知らんけどなんかヤバいことが起きてる状況の異様な怖さはあじわえなかったわけで……。
ここまでの『ゴジラS.P』のゴジラまわりの描写って、ゴジラがいるのに全然気づいていない人々にたいするヤキモキ感・ニヤニヤ感であったと思うんですよね。「志村うしろうしろ」的な。
7話にきて、観ているぼく(たち)でさえゴジラが把握できないのになぜかゴジラのテーマが流れているというところで、観客にとっても未知の領域に入ってきたなぁという感じになってきました。7話になって、ぼくたち観客は1話劇中世界のひとびとが感じたサイレンのあの不穏を、自分たちの感情として抱いている}
ミサキオク地下でのくだりといいホラー演出がふつうにこわい。地下のくだりは陳腐になってもおかしくないのに素朴にこわがってしまった。{作品内現実のそとの劇伴やSEによるジャンプスケア(=大きな音を突然つけるとか、反射的に跳び上がってしまうようなビックリ演出)を用いてないのも好感がもてる}
BBがおなじみALAPU UPALAを鼻歌でうたいながらおなじみシヴァ社のウパラ研究所の地下エレベータで下降するさい、鼻歌が地下坑でうたわれているにふさわしいエコーのかかった調子で処理され、ふつうにこわい。
***
信号機など都市にたまった"紅塵"の原色、イメージボード的な光景にちかづいたシャランガとの対決がすばらしい。
OPの原色がつよい絵柄。ふしぎな物質"紅塵"によってや、サーチライトの強い光条によってあのドギツさが本編世界の実景として持ち込まれていて、なんとも強い光景になってきました。
{前回は(ラドンが米国に飛来したアバンタイトルはともかく)、青い海でたたかう海自vsマンダ&ゴジラ・アクアティリス、緑のゴルフ場でたたかうジェットジャガーvsアンギラスといったように"ふつうの色合いの風景"を戦地の舞台としていたから、よりいっそうヴィヴィッドだ}
おもいかえせば高橋監督は『南極カチコチ大冒険』でヒョーゴノスケ氏をイメージボードアーティストとして起用したかたでもありましたね。引き出しがいろいろあるかたなぁ。
今夜19時41分から「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」テレビ初放送!
— ヒョーゴノスケ🍑5/31絵本発売🎋 (@hyogonosuke) 2018年3月2日
イメージボードと宣伝用ポスターを描かせていただきました。 pic.twitter.com/tPW88TQ37p
シャランガに対抗するシヴァ私兵の布陣もすごい。
素朴に考えれば、4話で昇り降りしたジグザグ階段にふつうに立ってふつうに戦えばよいわけです。でもそうじゃなくて、ロープで吊るして壁面にひとびとを立たせて銃を撃たせる。
戦闘舞台が天地方向にふかい地下坑だから、そして何より4話で人力の階段上り下りでは怪獣の移動速度に/非情に切り捨てるシヴァ上層部の判断速度にかなわなそうだから、この配置は理にかなっている。
理にかなっているけど、生理的に違和感をおぼえる構図だ。
人々の立つ地平が変わってしまった異常事態を比喩ではなく文字通りえがいてみせる『ゴジラS.P』はすごい作品ですね。
{ダッチ・アングルなんて用語があるとおり、『第三の男』からこのかたカメラをわざと傾けて観客にとって違和感を覚える構図でシーンを構成することはさまざまあり。あるいは、手持ちカメラ登場以後は手ブレによって観客へ違和感をあたえる作品などもさまざまあって、心理的に不安定なシーンで画面が傾いたりカメラがぶるぶるしたりすると(素直に不安になる一方で)
「オッやってるやってる」
という感じになるわけですが。(あるいは感動的なシーンでカメラがクレーンアップしていくとか、カメラが360度回り込むとかも「やってるやってる」となる)
これとか『ファインディング・ドリー』とか、映像的な演出を劇中世界で自然な理屈として組み込んでいる作品に、僕はヨワいんだなぁとしみじみ思いました}
***
面白い場面つなぎがあった。
「未来が見える意味?」
X字に体をひろげたラドンの死体(X字の左下に頭、"\"が翼)をユンが見下ろすショットから、
「BB?」
X字に体をひろげる航空機のアイコン(X字の左上に頭、"/"が翼)が俯瞰された地球型の地図に載せられた、旅客機客室機内モニタをうつしたショットへ。
「いまごろBBが実証実験の準備中」「実験の結果をいまは待ちましょう」とリー博士が言う次のシーンは、オーソゴナル云々を収めているであろうキャリーバックを引きずり鼻歌を歌って地下坑へ向かうBBの姿。実証実験ということばと実態のギャップがおもしろい。
こういう、前段のことばを受けて対照的な実態へ転じる対位法的なつなぎは、〆のくだりでも見られる。
「以下の地域に交通規制や立ち入り禁止の措置が取られます」「また区域外についても不測の事態に備え不要(不急の外出を控えるよう云々とおそらくつづくであろう)」といったTV報道から、
「よ~し、いいぞ~」
「微速で前進」
「了解 微速前進」
と大滝のおやっさんの嬉しそうな声と、動作確認の命令を出すユン、ユンの指示をうけて工場の倉庫からそとへ出歩くジェットジャガー+ユングの姿へとつながれていく。
***
すごいふしぎな作品だと思う。
折り返し地点を過ぎて今更のお話ですが、いろいろな"物語の型"、"お約束"がなくても7週間147分面白く観られちゃうんだということにおどろいてます。
もちろん過去の感想文で書いたとおり、1~3話は"挫折して復活"(@円城氏ゲンロンSF講座)として観られるし楽しめました。型がまったく無いというわけではない。
ただ人間ドラマにおいていわゆるハリウッド的/ピクサー的な勘所はありません。主人公に個性(好きなものとそれに伴う悪癖・執着)が設定され、第一幕でその個性(/悪癖)が失敗をまねき、2幕で気づき、3幕で克服する……みたいなやつですね。
{とりあえず7話までは、メンターである(メンターか???)大滝のおやっさんが死んだりとかもしなければ、相棒であるハベルがユンの好奇心がまねいた不用意な行動の尻をぬぐって死んだりとかもしない。
神野銘が「いままで頭の中でふしぎな生物についてひとり想像して過ごしてきたけど、現実の異常事態にたいしてわたしができることは……」とか、「リー博士にほめられるのが嬉しくて色々考えたけど、それがこんな事態をまねくなんて……」とかなったりだってしない(ただしリー博士つながりのジャーナリスト海が不穏なうごきをみせているとおり、そういう方向に流れていってもおかしくはない。
シヴァ社やリー博士、そしてアシハラがどういう経緯でそして何を目的として紅塵を扱っているのかわからないから、はたしてメイの素朴な好奇心が事態をどちらにすすめているのかもまた不明で、この辺が観ているぼくの興味の牽引力になっているなぁと思う。
リー博士は一見とっつきやすそうだけど「1日で解答をまとめておいて」みたいなクールさもあって、ここがこわいですね。
『屍者の帝国』で円城氏が執筆したパートにて、英領インドのひとが屍者を提示してワトソンに所見をもとめたさい、ワトソンが思考停止したことへ「それはもういい」と切り捨てたシーンを思い出します。あれによって伊藤計劃さんが書いたプロローグの、屍者をまえにして知識や知恵をはたらかせアレコレ所見をのべたワトソンを高く評価するMらの姿を「あれって有望だけど有能かはわからない学生を大人が都合の良い駒としてさくっとリクルートするためのおべっかだったのかな?」と揺さぶってくるんですよね。
アーキタイプの講演にあつまったオーディエンスのうち、はたしてリー博士から招待されたのはメイだけだったのだろうか? という疑問)}
怪獣映画の華である破壊描写のうち、人命の損失も直接的な表現はほぼありません。
{「あきらかに死んでるだろ」と観ていて思う暴力は随所にあるし、それに対して後々(奇跡的に)助かっていたことがわかる補足展開もまたあるけど}
{また、宮崎駿監督作で建物・乗り物の類いをこわすとき、ただ背景・セルとして描かれたガワを壊す・爆炎に包ませるんじゃなくって、だいたいにしてその内部から逃げ出るひとを描いて、「そこは人が息づいていた空間なんですよ」というのを描いたうえで壊したのとおなじような手つきが今作にも見られる。
前回6話では、アンギラスの跳弾やジェットジャガーが捕鯨砲をいただくシーンで自衛隊の車や捕鯨砲をのせたトラックに人を乗せたうえで、それぞれのアクションへのリアクションとして人々を逃げさせていた。
今回7話でもゴジラ・アクアティリスが橋をくぐってカメラ近方へ近づき遠ざかるショットでは、川辺に見物人を立たせたうえで画面外へ逃げさせている(そしてこれは上のカッコにつうじることなんだけど、「いやコレ逃げるの間に合わなかっただろ……」という勢いでゴジラが迫ってくる。
R・A・ラファティ『空(スカイ)』の落下や、『ゴジラ対ヘドラ』の空飛ぶヘドラのような――現実がそうであるように――ただただ容赦がない圧倒的な速度でぼくたちのもとに迫ってくる)}
都市破壊描写もかなり控えめ。
2話感想文のとおりぼくはエメゴジを至高の怪獣映画のひとつとして見ている人間で、モノが(設定としてではなく具体的に)しっかり壊れる光景を拝ませてもらいたい欲望が人一倍つよいわけなんですけど、『ゴジラS.P』をふつうに観ていられるからふしぎです。
「説明ではなく描写をしろ」というモットーは、識者からそもそも「いやどうなん?」と疑問視されていますが、ぼく自身は「それなりにたしかかもしれないなぁ……」と思っていた(※)モットーでした。
{※アニメ映画版『虐殺器官』『ハーモニー』でキャラの主張が鼻についたときの・退屈したときの居たたまれなさ。
主人公に社会のしくみや暗部(だれもが見えるかたちで公然と存在しているが、だれも気にしないから「ない」ことも同然となっている部分)をおしえるような人々のつらつらとした語りがどこまでも薄っぺらく響いたり。
あるいは主人公の行動が、まじの中二病に見えてしまったりして、
「あの小説たちが楽しかったのは、ぼくがあれを読んで"考えさせられたなぁ~"としみじみ思うようなティーンエイジャーだったからなのか……?」
みたいにショックを受けたりしたことからそう思うようになった。
(小説版はいま読んでも普通に面白い。
小説版からの改変によってアニメ版は――たとえば『虐殺器官』なら劇中の組織"計数されざる者"の聖書を引いた歴史性・普遍性がカットされたり、主人公に聞かせる社会のウンタラが微妙に改変されて他の場面と響きあうような部分がなくなったりして――原作ほどには世界が広がっていかないし、それぞれの事象がつながっていかない作品となっている。
なっているのだがしかし、原作からほぼそのまま引いたセリフでも、アニメでは上ずべりして感じられたりした。ここについては、「視点人物が実際に体験したことも、セリフの上で処理される絵空事も、構成要素の最小単位はどちらもおなじ文字から成っている文字媒体だと気になりにくいところなのかもしれない」なんてことを思ったりもします)}
『ゴジラS.P』は登場人物が知っていたことをつらつら述べていくような、いわゆる説明ゼリフも色々とあり、(各人がそれぞれ真相に迫りつつも微妙に足りない)冗長性もそれなりにある。
たとえば謎の科学者アシハラについて6話でスライドショーをしたり、5話(だっけ?)の車中で独自調査で資料を得たりしていたことに対して(クラゲを研究していて云々、株式会社アーキタイプを設立して云々)、7話では別の人物たちが車のなかでセリフの上で再話したりする(クラゲを研究していて云々、それがふしぎな物質アーキタイプの云々)。
(5話車中で、佐藤がその後輩からアシハラにかんするリサーチ内容を聞いているシーンでは、佐藤は後席に、後輩は前席運転席にすわって会話をする。6話で映写機をあいだに挟んで横並びにすわるミサキオク佐藤と山本局長の顔は、両者ともスクリーンへ向けながら会話していて。
7話の車中後席で隣り合って座るリー博士とメイは、顔を互いへ向け合い会話する)
怪獣の謎もアシハラの謎もアーキタイプの謎も進んでいるような無いような、よくわからない感じなんですけど、素朴に楽しんでしまっています。ふしぎだ。
にんげんは繰り返しやそれとちょっと違う部分に気持ちよくなる性分らしいから、 むしろこの進めかたこそ理にかなっている部分もあったりするのかもしれません。(シリーズ構成・脚本の円城塔さんはこういう差異と反復と齟齬で芥川賞をとったわけだしね)
7話前半の、ユンが海岸線に視聴者から「説明的だ」と言われる作劇のなかで、そうした批判の一因である饒舌なキャラがふと無言になって行動の理由も言わずにふらふら動くさいの、異様なまでの不気味さ。
これは2話3話の饒舌が無言になるときのこわさや、6話の別の分野の饒舌(軍隊ことば)が満ちたときのこわさといったかたちの延長線上にあるけれど。
もうひとつ饒舌さが別の様相を見せてきたなぁと思いました。
ゴジラSPでユンとメイの考察トークをチャットで表示するシーン、音声より高速なタイピングかつ文字なので聞き返し等を発生させずにスピードを出すだけでなく、音声+文字ログで視聴者の理解のスピードも加速させてくれるのでバリバリ議論についていけてると感じられて凄く気持ちいいな…… pic.twitter.com/EWChBryWMt
— 人間が大好き (@hito_horobe) 2021年4月22日
7話のLINE会話は、4話5話と音声的・文字情報的に増えてきた劇中世界の設定考察パートのつづきだけど、通常の会話としてプログラムコード的な文章も平然とタイプされて、ついに情報が追いきれなくてパンクしてしまった感がある。(2話時点でぼくはすでにあやしかったのですが……)
説明をこれまで以上の饒舌さ丁寧さで説明してくれているのにその説明の説明を求めたくなる複雑さと分量で、その過剰な説明でさえもが説明不足に思える考察対象の異様さ。
『劇パト2』や『イノセンス』などのゴロッと置かれた長ゼリフ、『シン・ゴジラ』の早口台詞パートの延長線上にある展開なのかもしれないけど、なんともすごい。
マジで情報量がパンクしてるので、LINEの文字表示画面で神野銘からODの話がでるまえに、ユンが「OD?」と聞き返したりしている。(シーンとしては、ふたりのセリフでODが出たあとなのでスルッと流せてしまうけど)
***
起承転結の転なのかなという感じなのですが、4話ほどではないにせよ1話からの反復変奏がありますね。
{1話では、神野銘から提示された型番にたいしてユンが「ジェットジャガー!?」と勘違いでハッとしたりするけれど。
7話では、ユンとのLINEで彼から送られてきたデータを目にした神野銘が「ジェットジャガー?」と聞き返したりする。
(銘のキョトン顔に、「もしかしてジェットジャガーがいない"この世"のメイといる別の世界線"あの世"のユンが、今後に起こる不思議な展開によって偶然つながっているとかだったりするのか?」と思ったのですが、3話で巨人型ロボは目にしているので、べつにそうではなさそう。
他にも色々よくわからないニアミスがあった。7話では「彼があなたのレポートを評価してそれを送ってきた」とリー博士が神野銘に目をつけた理由はBB経由だという風に話されるのだが、6話で自宅で問題に頭をなやませるBBは神野銘の名前に「?」を浮べている。BBは論文にしか興味がないのか? それともリー博士へ銘のレポートを送ったのはBBを騙ったべつのだれかなのか? 観直したら勘違いに気づきました。ここで言っているのはリー博士が6話で「見なきゃ殺す」メールで添付したpdfによる銘のレポートのことで、リー博士が銘に目をつけたペロ2がまとめた空想生物レポート(第2話のやつ)のことではないんだな。}
ジェットジャガーの改修など、2話あたりの空気がある。
(2話の改修バイクとおなじように、7話の改修ジェットジャガーが倉庫から外・カメラ近方へ近寄ってきたりとか)
古史羅ノ図をたしかめ、終末の獣が云々・週末が云々というお話がでてくるのも2話とおなじだ。(2話ではオオタキファクトリーの面々が、7話ではメイとリー博士が)
ただ、そもそも銘が1話で古史羅ノ図について考え事をしていたシーンとも近い。どちらも乗り物(バス・車)を待つ時間でのできごとで、思索は車/運転手の到着によって打ち切られる。
***
ジェットジャガーはまた一段と進歩してきて、いよいよ時間推移がわけわからないことになってきた。
既存の3脚ドローンの修繕を週末までにすませる仕事に根をあげていたひとびとが、(機構としては短足と長さがちがうだけかもしれないけど)ああいったものをゼロから短期間で作れるものではなくないですかさすがに?
アンギラスの角みたいに、おやっさんがどこかからかっぱらってきたものなんだろうか? あんな一点ものにおもえる代物が? うーん……。
2クール作品だったら、『鉄道デザインの心』が活かされるような展開、おやっさんの旧友がジェットジャガー用の新装備を命からがら届ける/オオタキファクトリーが調達に向かうなどの回があったのかなぁ、とか思う。
(もちろんアーキタイプ加工装備によるさらなるパワーアップの可能性はまだまだ大いに残されているわけですが)
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『屍者の帝国』のリプライズという様相もあるなぁと思いました。
円城氏じしんもそういうものだというつもり*2で書いたらしい『屍者』第3部のファンタジックな大立ち回り。そのつもりだったとはいえ驚かれすぎないための布石として、解析機関から出るカスとかあれやこれやの布石を打っていたのだと思う。
『ゴジラS.P』のアーキタイプは、『屍者』のあのリアリティレベルががたんと変わってしまったみたいな展開を、シリーズの中盤7話で「こんな感じですよ~」とお試しで見せておいてくれているので、今後どこまで飛躍するのかわからないけど、そこまで「えええ……」となったりしないのではないかしらん。
『屍者の帝国』リプライズといえば、アニメ映画版のボストンダイナミクス屍者実験、あれをきちんと作劇に活かすと『ゴジラSP』2話⇒5~6話⇒7話のジェットジャガーの足回りの換装になるのかな、などと思いました。
{べつに何か他意があると言いたいわけではありません(共著小説版『屍者』からしてそもそも、屍者の歩き、ふつうの人の歩き、武士の歩き、天皇の佇まいなど歩容に注目されていた作品だったし)}
0507(金)
宿直日。
0508(土)
宿直明け日。
■描きもの■
VWWモンハン実況プレイ絵を描き始める。
モノクロ落書きのつもりが、色塗りまでしたほうが良さそうだなぁという感じになってきました。
映像技法のほうの「アメリカの夜」もウィキペディアにあるのを知りました。
夜らしい夜の絵は前回描いたので、ちょっとちがう路線を行ってみたいところです。
0509(日)
■TVゲーム■
『モンスターハンター:ライズ』HR3になった
里クエストをすすめたら出てきた昇級クエストをクリア、ハンターランクが3になりました。
緊急クエストも出てきて、泥んこ遊びがすごい竜を討伐、★のふえたクエストに挑めるようになりました。
■ネット徘徊■観たもの■
vtuber『【ASMR】パトラ様から学ぶッ!はじめてのASMR!!!#パトるる【鈴原るる/周防パトラ】』
いちから社の運営するvtuber団体にじさんじに所属する美大生vtuber鈴原るるさんと774inc.ハニーストラップに所属する周防パトラさんがASMRコラボ配信をされていたので観ました。
ぱてょらさんはASMR職人。
と、開幕早々、マイクテスト/音量バランス確認……と思わせて、『魔界村』『デモンズソウル』系のアクションゲームを長時間プレイする鈴原さんらしい語彙と360度回り込めるような音声を入出力できるASMRの利点を活かした一言をパトラさんが置き、鈴原さんもそれに乗っかるという、キャラクタ性を出したASMRを 披露。
パトラ「そうだな、えっと。すっごく疲れたでびでび・でびる(鈴原・パトラともに仲が良いvtuber)がいるとして、やさしく声をかけてあげて」
るる「でび様~。でび様、そこにお鍋があるので、ゆっくり寝てください」
こわいよ!!
鈴原さんの挨拶「こんるる~」が、ASMRらしくドップラー効果したりたのしかったです。
0510(月)
本文
■ネット徘徊■観たもの
vtuber月ノ美兎委員長の『話します(#美兎コラ大会)』リアタイ視聴しました。
いちから社の運営するvtuber団体にじさんじに所属する月ノ美兎委員長が雑談配信をしていたのでリアタイ視聴しました。
#美兎コラ大会
— 月ノ美兎🐰22時~雑談 (@MitoTsukino) 2021年5月9日
一応背景なし版も置いておきます
明日のサムネの為に力を貸してください pic.twitter.com/f7bmLddBrY
募集期間1日で量も質もなかなかな投稿が寄せられていてビックリです。
充実した配信でした。
*1:映画オタク的には『ポルターガイスト』的の柵まえでの会話終わりに走る寒気と重なる感覚をおぼえました。
*2:
第三部が急に軽くなるんですけど、あれは邪神ものなので……。チャールズ・ストロスが『残虐行為記録保管所』っていうSFを書いていて。ナチスが異次元空間に邪神召喚で秘密基地をつくって、イギリスの雇われスパイが「なんで公務員なのに俺たち戦ってるの?」っていう駄目なSFなんですけど。それを「すごくない?」って衝撃受けてるのが伊藤計劃と僕、っていう、もうすでに駄目なコンビで(笑)。そういう話はしていて、「ボンクラ広がり」なんですけど、それは拾っておくべきでは? っていうのが、第三部を書いているときに復活して、こういうことになりました。
河出書房新社(河出文庫)刊、『屍者たちの帝国』kindle版97%(位置No.4950中 4414)、円城塔「『屍者の帝国』を完成させて」より