すやすや眠るみたくすらすら書けたら

だらだらなのが悲しい現実。(更新目標;毎月曜)

日記;2019/10/08~10/14

 日記です。10月も半分が過ぎてしまった。そろそろ長い記事をアップしたい……。5000 8000字くらい。

 ※言及したトピックについてネタバレした文章がつづきます。ご注意ください※

1008(火)

 

1009(水)

 あれこれぼやかし省いていたんですが、先週の日記をアレコレ書き足しました。が、書いたそばから陰湿なように思え、消したい気持ちが出てきました。自分の気持ち悪さに耐えられなくなったら消します。

 

1010(木)

 ■読み物■

 ちょこちょこ読み進めていた髙橋ヒロシ著『クローズ』全巻を読破し、『クローズ外伝』2冊、『完全版ワースト』2巻までを読みました。

  『ヤオチノ乱』3巻も読みました。

  髙橋ヒロシ著『クローズ』読書メモ

 いい男がさまざま出てきてケンカしたりバカさわぎをしたりする作品です。

 学園から学区、暴走族からヤクザとつながりある集団……と段々とケンカの規模を大きくしながら権力争い的な要素や跡目争いを繰り返し、後半からは、任侠モノのような細部もでてきます。(盃を交わす/交わさないだとか、兄弟になる/ならない……みたいな、そういうお話が出てくる)

 ただ、複雑な陣取り合戦・人間力学を楽しむみたいな方向性ではありません。

 勢力図があれやこれやと時空間的人的に目まぐるしく塗り替わっていく妙を楽しむというよりかは、むしろ連帯する心地よさがたびたび描かれ(荒れ具合よりも、「頭が決まったことで統率がなされ平和が云々」という展開・ナレーションのほうをよく見た気がします)、登場人物の器の大きさに注目されています。

 好きなキャラはリンダマンですね。寡黙で最強で、仁義に厚いというおいしい役どころで、好きにならない人なんていないだろうという感じではあり、つくづくぼくは月並みな趣味だ。

 

 不良たちはリンダマンやらゼットン、キングジョーなど独特のニックネームがついた人々がいて、かれらの呼び名の起源もからめた過去の武勇伝紹介・噂話みたいなのが、中盤あたりにちらほら出てきます。ここが好きですね。

ゼットンのエピソードが特に好きで、ゼットンの由来を説明するにまずウルトラマンという仇名の人物が紹介され……と、胡乱に胡乱が重ねられていて、楽しい。

 ゼットンやキングジョーと違って、リンダマンのオリジンはなかったはず。その辺もかれのカリスマ性を高めている)

  不良漫画をフォークロアとして描くみたいなのもできそうだ……なんて思いましたが、そういう部分をスマートに昇華すると、石川博品『夜露死苦! 異世界音速騎士団"羅愚奈落" ~Godspeed You! RAGNAROK the Midknights~』(オタク的でスケベななろう小説系異世界転移モノ/特攻の拓系不良少年漫画/詩的な(ケータイ小説的?)レディース物を混交し、それぞれ別個で平行線をたどって見える世界観を描きつつ、一瞬の交錯をえがいた傑作中編)になりやしないだろうか……? 車輪の再発明なのかな……。

 

 髙橋先生や周囲のかたがたは筆マメで、コミックスではページ都合でうまれる幕間に文字数多めのコラムやインタビューが掲載されています。

 そこで髙橋先生が影響を受けた映画や漫画について開陳されていて、さらには劇中人物がそうした作品を観たり読んだりといった描写もある。

  そうして挙げられるのは『ゴッドファーザー』や『仁義なき戦い』そして『スカーフェイス』だったりなんだりで、日本語圏のヒップホッパーたちがああいった作品に言及するのは、こうした流入経路があるのかなと思いました。

(不良のかたにたいして自分が持ってる勝手な偏見からすると、菅原文太の『トラック野郎』とかあるいは哀川翔のVシネとかの名前が挙がりそうだなんて思っていたんですが。

 髙橋先生がフェイバリット邦画として挙げられるのは、なんと『男はつらいよ』。しかも名前が出されるだけじゃなくって、「いや実際みてみてよすごいから」みたいな感じでけっこう熱心に擁護されていて、「へぇ~」となりました)

 

 中盤くらいの巻からか、明暗が利いて影がベタ塗り黒一色の――「フランク・ミラー画の『ウルヴァリン』限定版3巻表紙か?」というような――キマった画がたびたび出てきて、「おっ」となります。

 コウノコウジ著『ゲバルト』の大人たちによる仕打ちシーンで描かれたみたいな、(描かれた仕打ち自体も酷いけど、もしかするとそれ以上に)怖い光景の画調といい(まんまヤクザ映画マフィア映画ノワール映画な。)、ベタ塗り黒のきいた凄味のあるシーンは、不良漫画の華だったりするのかもしれない。

 

   『ヤオチノ乱』3巻読書メモ

 ついに実戦。プロの諜報機関vs最強の諜報機関CIAで始まって、前者が降参してバトンタッチされた忍者vsCIAとなります。

 この巻で打ち切り終了となり、「シンヤさんの意識喪失時の謎の戦闘能力は何だったのか? 彼の出自とは?」とか謎は残りましたが、作戦自体はひと段落はついてます。

 作者の泉仁氏はこれで商業誌からは撤退の意向を示されていますが、なんとか商業作家として継続的な活動をつづけていただきたいところ。

 既刊同様に面白く、もっともっと読みたかった。

 凄い諜報合戦をもっと観たかったというのもありますし、現代日本の津々浦々がどのように捉えなおされどれほどまでの異貌を見せてくれるのか、その独自の視点・思索をもっと味わいたかったというのもあります。1~2巻の諜報バトルロイヤルで、漫画喫茶というそこら中にある何の変哲もない舞台が、見事に諜報劇の重要拠点として立ち上がったあの素晴らしさったらもう。

 

 3巻の諜報合戦模様としては、バトンタッチって展開は発明だなあと思いました。劣勢からの逆転劇は燃えるシチュエーションだけど、そう展開するためには、味方の落ち度を書かねばならない。書いてしまえば、最強同士の対決という別の燃えるシチュエーションはあきらめねばならない……。

 『ヤオチノ乱』は両立させてしまった。それを別勢力へ助力する・管轄移譲されるという形をとることによって、主人公の勢力を下げずに済ませました。すごい!

 CIAとの対決と同時並行して、前任の諜報機関マクガフィンをどこに隠したかという謎も散りばめだって出来るし、バトンタッチは一石二鳥の展開だなあと思いました。

 (もちろん、やられ役を立てて即落ち2コマで退場させるシーンこそが正解ということもあるでしょう。なにがなんでも重く複雑にするのはウザったそう)

 

1011(木)

 ■読み物■

 『ひゃくえむ。』と『かげきしょうじょ!』を読みました。凄いものを読んだ満足感に満ち溢れていますが、感想読書メモをながなが書く方向性の体力気力がありません……。

  『ひゃくえむ。』読書メモ

 当初はウェブ人気は好調なのにコミックス刊行が予定にないなど悪い意味で話題になった作品でしたが、無事完結巻まで連続刊行してくださいました。過不足なくまとまった大満足の五巻構成でした。

 『ひゃくえむ。』(リンク先講談社公式サイトの掲載ページ。3話まで無料配信中)で描かれているのはけっきょく本人の気持ちの問題と言えばその通りだし、その意味で『ひゃくえむ。』4巻に掲載されたテニス読切『佳作』(リンク先講談社公式サイト掲載の本編)とも通底するような(とんでもない熱量の)人生観(誰かの圧倒的な才能を目の前にして、自分はどうするか? とか)が読者にぶつけられるわけですけど、「けっきょく」がつけられるかつけられないか・ジャンル的細部を書けているか否かって大事だなあと思いました。

 熱量こそ『佳作』と並ぶ凄さですが、当然のことながらテニスと100m走は全く別の競技であり、『ひゃくえむ。』も『佳作』もそれぞれの競技の特色を盛り込んだうえでそれぞれの競技に打ち込んだ別々のアスリートを描いている作品なわけで、やっぱり結論はまったく違うところに行く。

(1016追記)

 そこまでの展開の総まくりとなる社会人編の5巻がアツいのはそうなんですけど、ここまで来るともうそれぞれ技術を極めたトップアスリートの競争ということもあってか、各選手のいだく思想・人生観対決という色がつよくなります。一色と言っていいと思う。

 個人的にキたのは、技術と気持ちとが良い塩梅でミックスされた2巻~3巻の高校部活・特殊ルールの部活対抗リレー編です。

 

 部活対抗リレーにおいて、主人公側は凡人天才混交チームで、他のチームは人数が多く一人当たりの担当距離は少ない。どこまでやれるか? バトンパスの手管{バトンを立てるプッシュプレス(=取りやすく安全だが遅い)か、寝かせるダウンスウィープ(=目視しづらく取りづらいが速い)か。(メダルを獲った400mリレー日本代表で話題になったやりかたは、また別の手管で、アンダーハンドパスと云うそう。『ひゃくえむ。』で言及された2つはどちらもオーバーハンドパスで、効果は劇中説明されたとおり。ただ衆目を集めたやり方をピックするんでなくて、素人が知らない部分まで魚豊先生がちゃんと下調べしたうえで劇中で何を取り上げるか考慮し『ひゃくえむ。』執筆にのぞんでいることが分かります。)}などの手管を紹介・劇中人物に練習させて「このチームいけるんじゃね?」と読んでて思う(=主人公側にとって有利となる)技術的な足場を組んだうえで、同時に特殊ルールによって走距離が普段専門としている距離数じゃないこと・それによる慣れ以外の現実的な問題を本チャンのレース中に持ち上げてきて「いやいやこのチームいけないんじゃね?」と主人公側に不利となる技術的な足場も組んだうえで、そのさきを描いていく。

{特殊ルールだからこその苦境乗り越えもあって、すごくいい。そしてこの苦境乗り越えが、専門の個人競技に移ったときに活かせるものなのか(反語)という冷めた回収がなされるのもよい}

(1016追記オワリ)

 

  『かげきしょうじょ!』シリーズ読書メモ

 圧縮がうまい。今作といい、木多康昭先生や、今ブログでもちょっと触れた道満晴明先生など、ぼくが好きだし凄いとおもうかたがたの作品は、それぞれジャンルは違うけどどの人も異様に最小の手つきで異様なエモーションを発生させる情報量の使い手だなあとなりました。

 登場人物のバックグラウンド紹介短編が、それ一本で完成された出来ですごい。

 本編でも、歌舞伎やお茶の間アイドル、WW2前後の黎明期女性歌劇など、さまざまな背景をもつ人の違い(舞台の使い方の違いによる視点の違いやら)を反映したポリフォニックなショービズが描かれていて、とにかくすごい。

 掲載誌を移してからの1巻に収録された、宝塚的な女性歌劇にあこがれた男性を主役にして、黎明期女性歌劇界の光と影をえがいたエピソードがすばらしかった。

 朔ユキ蔵氏による『神様の横顔』(リンク先自ブログ読書メモ)とは、また違ったかたちで大衆演劇とWW2を描かれたなあという印象。

 このエピソードで他に面白かったところとして、メタ的な話ですが、「この挿入位置は、先生の側はどのくらい考えたものなんだろう?」というのも気になりました。移籍後にだすにピッタリのエピソードって感じもしますよね。

 本筋は移籍後の掲載誌の読者にとって少なからず取っつきにくいですよね。主役たちは同じだし、もちろんお話だって、移籍前からの続きが描かれ掘下げ転がされていくわけですから。移籍時のフォローがどうなされたのか知らないのでアレですけど、すくなからず、新学期になり知り合った人々が、じぶん以外はすでに中学からの友達同士で、じぶんが知らない思い出を共有してそこで盛り上がっていたりしても「知らんがな」と疎外感を覚えるアレを、移籍先の雑誌購読者は感じたりしたんではないでしょうか。

 その点、黎明期女性歌劇界のエピソードは、新キャラによるまったき新しい情報・エピソードなので、主役たちのそれまでの歩みなんて知らなくても大丈夫ですし、それ一本が読み切りのように読めもする一話完結的エピソード。移籍後の新規さんにとってとてもやさしいエピソードという感じがする。

 

 クラスメイトや演技部門の先生さえも驚かせた主人公の才能が、彼女が幼き日にしたしんだ歌舞伎という伝統芸能ならではの蓄積であるという点。しかしその才能は、女性歌劇の世界に適した一番星かというと、そうでもない……そんな長所短所適材適所をふくんだジャンル的細部がすばらしいですね。

 『喧嘩稼業』の異種格闘技戦やら、あるいは『あさひなぐ』(リンク先自ブログ読書メモ)の剣道経験者がなぎなたへコンバートしたときの戸惑いなど、違う分野との混交・交流によって自分(自分野)の輪郭がハッキリしていく所にぼくはヨワいみたい。

 

1012(金)

 宿直日。

 台風に向けてあれこれ仕舞ったりなんだりする。こんな間際になって山の水道管が破裂しているのが見つかり、トイレやら何やらで世話になっている水道屋さんに直しにもらったりした。

 

1012(土)

 宿直明け日で当番日。

 家の側溝が詰まっていたので落ち葉をのけました。

 排水口がおわったさきに窪地があり、そこには屋根がかかっているのですが、屋根がすけてきていたようで、雨だれが窪地にたまってそこから低地に漏れ出しそうだった。

 屋根の隙間を塞いだり、下にバケツを置いたり、一般家庭のコンセントで使える程度の(お風呂の浴槽から洗濯機へ吸い上げるサイズの)汲み上げポンプを用意したりと、あれこれ対策しました。

 

 1013(日)

 側溝とかが詰まっていないのを確認して二度寝。三度寝。四度寝としました。

 ■読み物■

  『シャバの「普通」は難しい』読書メモ

 『小説家になろう』掲載のweb小説で、書籍化も展開中。

 すごい監獄で生まれすごい囚人から様々な手ほどきをうけた女の子がシャバに出て、本人的には普通のことだけど世の中的には異常なことをやる作品。

 異常なことをした本人が、唖然とする人々に対してキョトン顔で投げかける、

「もしや……シャバの方というのは、そのくらいのこともできないのですか?」

 が何度も出てくるおなじみのセリフ/展開なので、いわゆる「俺(今作では私)なにかやっちゃいました?」系のお話の範疇にはいるのかもしれません。けれど『シャバ~』は、天才の女の子は視点人物/語り手ではなく、彼女に恋する王子らがどちらかというと主人公の立ち位置ですね。

 また、この投げかけゼリフは、エピソードが進みにつれ、話者を変えたりなんだりしてズラされていき、すごいヒロイン⇔しょぼい周囲という構図・関係性は浮動的で転倒しさえもするので、読んでいて楽しいです。

 

 なろう小説にもさまざまあって(作品数が膨大で、ほんとうにさまざまな作品が置いてあるので※)、目的もよくわからずつらつらと歩き続けるような作品もあれば、しっかり章を分けテーマを立ててその都度解決をみせて進んでいく作品もあります。『シャバの「普通」は難しい』は後者のタイプでした。

 この作品は大きく5つの章が立てられていて、1章では彼女の出自について――彼女や囚人たちがどうしてその監獄に収められ、彼女が生まれたのか?――が解き明かされ、2章ではまた別の生い立ちや章ゲストの謎が解き明かされ……と、色んなかたちで関心を惹いてくれるので、最後まで楽しく読むことが出来ました。

 

※まじでさまざまな作品が置いてあるので、セオドア・ドライサー※の未訳長編を自分で邦訳してアップしているかたとかだっています。{※ 作家(1871~1945)。『モロッコ』などのジョセフ・フォン・スタンバーグ監督により映画化されたのち、再度『陽のあたる場所』として映画化もされた『アメリカの悲劇』を描いた。(『太陽のあたる場所』はアカデミー賞9部門にノミネートされ、うち監督賞含む6部門を受賞した) ほかにアカデミー監督賞3度受賞の名匠ウィリアム・ワイラーにより『黄昏』として映画化された『シスター・キャリー』などもドライサーの筆による作品}

 ディグればきっとこういう同好の士のための物置き場的な使い方をしている例がもっと見つかるんだろうなあとか、ようワカラン作品投稿しているひともいるんだろうなあと思う。

 

1014(月)

 恐竜博最終日でしたが、家にいました。雨のふるなか2時間近く行列は無理でした。

 家にいましたが、疲れが抜けきってないのか、起きて寝て起きて寝てとダメでした。

 

 ■インターネット散歩■

  【替え歌】『腐れてんだー』(腐女子腐男子の『Pretender』/Official髭男dism)【鈴鹿詩子】 を聴いてました。

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 鈴鹿詩子さんはvtuberグループ"にじさんじ"に所属する歌のおねえさんという設定のかたで、配信ではBLトークをしているかたです。"にじさんじ"ではない実妹・妹子さん(『トロピコ』などシミュゲーが好き。詩子おねえさんよりも声がかわいく、あたりがやわらかい)などとコラボもする。

 現在37万再生の【くっころ】最低すぎる美少女ゲームのヒロイン・女騎士編【くっ、殺せ】が代表的な『最低すぎる美少女ゲームのヒロイン』と題したネタ動画も精力的に投稿されています。

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 詩子おねえさんがさまざまな役柄で、"俺"くんの前に現れて卑猥な妄想をするというスケッチ集で、いくつか観ていって視聴者がスタイルに慣れていったところで、詩子おねえさんの創作欲が増したのか何なのかよく分かりませんが、意外な変化球が放られたりして楽しい。

 上のサムネイル・本編動画の展開も一工夫あって好きですが(姫騎士が卑猥な目にあう前フリ的セリフ「くっ…殺せ」に釣られてクリックすると……)、vtuber初期に活躍したげんげんさんげんげんという筋骨隆々で汗がきらきらした青少年が、カメラ目線で自己紹介する。最初は現代日本の野球少年と思われたが、次の動画を再生してみると……)を思わせる幅広さがでてきて、新作が投稿されたらとりあえずクリックしちゃうシリーズですね。最低すぎる美少女ゲームのヒロイン・ベビーシッター編がとくに好きです。ベビーシッター詩子おねえさんの行き場のない母性の矛先はどこか? いつもの無個性ではないやけに"我"のつよい俺ちゃんの転がりかたなど、「こう来たか!?」という面白さ。

 詩子お姉さんが欲望を爆発させるのは分かっている{詩子おねえさんのストライクゾーンもある程度分かっている(ショタコン)}、しかしどう爆発するのかもその矛先もわからない。……その点でこの動画シリーズは、倒叙ミステリ的な楽しみがあると言ったらさすがに過言。でも『ベビーシッター編』は視聴者が小鳩くんのように応伯爵のように、詩子おねえさんのことを想い続けているのであれば「こう来たか!?」と驚きながらも「あぁ~(低音納得ボイス)」と膝を叩くことうけあいの動画なのでした。

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 と来歴を雑に振り返ったところで"歌ってみた"動画に話を戻します

 『Pretender』の"歌ってみた"動画は、"にじさんじ"内だと緑仙さんと夢追翔さんが連作的に投稿されていました。

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 お二人の動画は素朴に歌がうまいし、音楽にさほど興味がないぼくとしても彼らの関係性に想いを馳せたりして、それはそれで面白かったんですが、後者の味は追ってきたファンだからこそできる楽しみであって、二人がどういう配信をこれまでしてきたか知らなかったり、この選曲がなされたのか妄想する余地のなかったりするかたにはもしかすると(歌唱力の高さ以上には)響かないかもしれないという危惧がある。(杞憂民並みの感想)

(「バチバチに煽り合いしたりもたびたびコラボしたりもする、でも他にもたくさんコラボ相手がいる二人がこれ歌う良さな~」とか思うわけですが、ぼくは二人のことをちゃんと追えてないので、緑くん夢追さんガチ勢の諸姉諸兄からすると全然ちがう感想が聞けることと思います)

 

 詩子おねえさんの歌は目からウロコというか、これひとつで人柄が出まくっててこれまたすごいですねえ。

 "歌ってみた"って、"歌ってみ"る歌自体は大体が既存の曲なわけで、その歌い手の声や歌い方が特別・独特でないと「おっ」とならないわけですが{たとえば闇夜乃モルルさんの『if...』とか。(サビまで聞いてほしい)}、

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替え歌はその動画一本でその人の人生が乗せられるので良いですね。もっと増えないかな?("にじさんじ"での先駆者は『笹木は嫌われている。』とか『しばは嫌われている。』とかになりますかね)

 替え歌でなくても、『KANA-DERO』での樋口さん月ノ委員長の既存曲歌唱みたいに、イントロ間奏などで、これまでの配信でその人が話題に出したこと(人生観)を再放送して、歌の内容と重ねてくる……というタイプも胸にきますね。普通に泣きましたよぼくは。(リンク先自分の感想)

 インストゥルメンタルパートでそれまでのあれやこれやをフラッシュバックさせるというのは、映像作品だとわりあいよくあると思うし、たとえそのシーンが初見でもなんだか感動してしまうものだから細田守監督『時をかける少女』の『変わらないもの』シーンとか)、配信者さんが取り入れないのは考えてみると、ちょっと不思議ですね。

(……いやでも、たとえば結婚式の知らないひとの知らない生い立ち・馴れ初めを見て、素朴にじんわり来る人って少数派だったりするのかな?

 であればそんな演出は「知ったこっちゃねえや」「自分語り自制しろ」とウザったいだけですね……うーん……)

 

 はたまた、これはその人の"歌ってみた"ではない第三者(ファン)による切り抜き編集動画ですが、プロ歌手がそのvtuberのファンであることを理由にBGMとして用い、そして切り抜きシーンが最終的に歌詞ハメ的に編集された『同業者によく推されてるようで推されてないちょっと推されてる御曹司Vtuber【卯月コウ】』も好きですね。

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 音痴なオタクなのでどうしても(歌単体でなく、歌の外の)物語性にばかり注目してしまうんですが、替え歌単体で見ても、たとえば歌い出しなんて、

♪「君とのラブストーリー それは予想通り」(本家)を、

♪「理想のラブストーリー それは男同士」と変えたところは、母音をほぼそろえてきていて、上手い改変だなあと思います。

(伸ばし棒的な「う」を「お」として聞いて、「君との i-i-o-no」/「理想の i-o-o-no」、「予想通りo-o-o-do-o-i」「男同士o-o-o-do-o-i」)

 

 ……しかし、歌詞しらべてびっくりしましたが、元歌のOffical髭男dismさんは『シュタインズ・ゲート』ファンなんですね。全国ネットのドラマ(映画化もした人気作)の主題歌で「世界線」なんて語彙が出てくる(し、ジャケットも『シュタインズ・ゲート』でなじみぶかいニキシー管)とは。オタク文化の拡散と浸透なあ。