『逆転裁判1~6』の本編エピソードをクリアしたので一旦の整理。
(以下、該当作品のネタバレトークがつづきます! ご注意ください)
(・推理小説を面白いゲームにするってこういうことか~!
・まちがい探し作業じゃない難度の、かといって万人に解ける作問について)
- 逆転裁判を今からやろうとするネット民が知っておくべきこと(本題じゃないが最重要)
- <逆転裁判>シリーズプレイメモ;
- 本題
- 推理小説を面白いゲームへと再構築する
- ムジュン"つきつけ"をまちがい探し作業にしないための工夫、その良し悪し
- 余談
- 『4』『5』第1話プレイ所感(去年の記事のリンク)
- 『5』『6』プレイ所感
- (22:30追記)プレイ日記抜粋
- 『逆転裁判5』第2話1日目おわりまで
- 『逆転裁判5』第2話クリアまで
- ▽探偵パートのカンタン化、めっちゃ良い部分と、そうでもない部分と……いろいろ!
- ○嬉しいところ
- ・サイコロック不在(いまのところ)が嬉しい
- ・調査対象の移動場所指示/自動移動はローディング考えるとまぁまぁ
- ○良いような悪いような
- ・先回り的なお節介が減じる臨場感(「やることリスト」関係や、証拠品整理);探偵パートにおける置物管理職化
- ▽事件とトリックの良し悪しと、推理ゲームとしての良し悪しは違うんだな……
- ○事件とトリックは良さそうな感じで、新ガジェットのからませかたは早速スゴい
- ○それをどう見せるか/推理ゲームとしてまとめるかがちょっとツラい;法廷パートにおける置物管理職化
逆転裁判を今からやろうとするネット民が知っておくべきこと(本題じゃないが最重要)
こたけ正義感のギルティチャンネルによる実況プレイ配信や関連動画がネットの有識者たちにめっぽう評判だけど、いろいろ注意が必要だということ。
そのうちの一つ、『【山ほどネタバレあり】逆転裁判『蘇る逆転』の"真犯人"弁護してみた』は、たしかに『逆転裁判1』第5話「蘇る逆転」劇中の事件をじっさいに弁護するとしたらどう戦うか? 本職弁護士がシミュレートした面白い動画ですけど、しれっと『逆転裁判2』最終話犯人・裁判推移にかんするネタバレが飛び出してきます。
『1』の当該エピソードをクリアしたからといって覗いたら興を削がれます。ご注意ください。
(はい、本題とはまじで関係ないアレでした。
でも一番大事なことなので……)
<逆転裁判>シリーズプレイメモ;
②「推理小説を面白いゲームへと再構築する(プレイヤーは名探偵じゃない問題をいかにクリアするか)」「ムジュン"つきつけ"をまちがい探し作業にしないための工夫、その良し悪し」「『5』『6』プレイ所感」←この記事
③「ヒント強くする? 増やす? 異議あり! 『逆転裁判』『大逆転裁判』第1話最序盤における初心者でも解ける作問法」
本題
(理想は高く、ゲームの技法の推移を眺めるところまで追々……と思っているうちに半年が過ぎてしまった。
『オホーツクに消ゆ』とか<ファミコン探偵倶楽部>シリーズとか、『弟切草』とか<かまいたちの夜>シリーズとか、『YU-NO』とか、最近の<Golden idol>とか諸々をちゃんとプレイして比較すべきで、実際それらのソフトは買ったんですけど、怠惰なのでその辺ぜんぜんプレイできていない。
「とりあえず逆転裁判まわりだけでも形にしてスッキリしたい……」という気持ちの、一回目)
順序(?)は逆なんですけど、『逆転裁判』のシステムづくりの結構な部分って……
meetscareer.tenshoku.mynavi.jp
……に近いんだろうなと思うんですよ。
推理小説を面白いゲームへと再構築する
推理小説はゲームじゃないし、ゲームプレイヤーは名探偵じゃない問題
推理小説*1の楽しいところは、名探偵がささいな違和感やなにげない不思議に気づき、その原因をつきとめ、そうして明らかになった矛盾の数々を解消する、なめらかで鮮やかなロジックを打ち立て開陳するところ。*2
でもそれをそのまま名探偵をプレイヤーキャラクターとしたゲームにすると、以下の7点のような問題が出てきます。
0.プレイヤーは名探偵じゃない。プレイヤーが頑張らないと事件は迷宮入り。
プレイヤーが無能ならいくら頑張ってもやっぱり迷宮入りになる。*3
- 序~後半まで情報収集パートになる。(現場百回の地道な行動はダルい)
- 小説の名探偵は情報収集パートの時点で(秘密裏に)事件解決の糸口となる違和感に一発で気づき、推理し、「回答編」のための建材を集める。けど、プレイヤーは違和感に気づきさえできない可能性がある。(【②a】気づくインタラクションをどう設定する? 【②b】プレイヤーが気づけなかった場合のリカバーはどうする? 【②c】いちいち推理パートを挟む? 推理アクションを起こすのはプレイヤー手動それとも脚本で自動的に? 手動自動どちらにせよどこまでが「問題編」で解くもので、どこからが「回答編」で解く問題なの? その線引きは?)
- プレイヤーは全知全能じゃないので、ロジックのための建材がどこにあるのか、足りているのか否かが分からない。
- 回答パートにて、どこからどう切り出したら名探偵らしいエレガントなロジックを語れるのかがプレイヤーには分からない。解きたい・解けている部分についてプレイヤーとPCとで齟齬が出てヤキモキする可能性がある。(「プレイヤーであるオレは第二事件については分かってるのに、PCは第一事件から話したいせいで初手で詰んでしまった」という事態になる可能性がある)
- PCがロジックやトリックを勝手に語りだしたら、プレイヤーの存在意義が損なわれる{「俺(プレイヤー)なしに進むんなら、小説・映画でいいじゃん」「プレイヤーキャラクターは手がかり集めのワトソン役でいいじゃん」になる}
-
(②の補助や④の防止として)「PCである探偵が、脳内なり何なりで情報を整理・思考・自問自答する」という"てい"で選択肢樹形図が展開されたりすると(そしてそこに、推理を先へ進めるための選択肢だけど、まだプレイヤーがぜんぜんそこまで詰めれてなかったりそんな視点で見られてなかったりしたものが出てきてしまったりすると)、なんか……なんか、こう、"有能なPCのなかに既に宿っている答えを プレイヤーがなぞらされている感"、「答えを知ってるゲームさんサイドから、無知なプレイヤーへなされる一問一答式講習感」が出てしまう。
- そもそも人が死んでる事件なんて、解けたところで不幸な人が絶対でるじゃん!! 嫌な結末へ自分で向かうモチベをどう維持すりゃいいんだよ。殺人事件てだけでもうスタート時点で不幸なひとが1人出て、「知恵貸してくださいよ~」などと刑事から頼まれて難問を解決したとて、犯人を見つけちゃったら不幸なひとが2人になるじゃん。その後者が不幸になる一押しをおれ(プレイヤー)がするんでしょ? えぇ~……。*4
①については、ゲームにかぎらず推理小説界隈でもあれこれ聞きますね。*5
解決策?;ゲーム内で出来ることはクリックするのみである<小此木>、プレイヤーに総当たりさせるのも辞さない<自転車創業>
上で挙げた問題にたいする解決策としてはどんなものがあるんでしょうか?
古典ミステリゲーム『かまいたちの夜』みたく、①'連続殺人事件に巻き込まれて、うまく推理しなければ仲間やじぶん(!)が襲われる可能性あるサバイバル状況とかだったら、事件と推理とが細かいスパンで回していけそうで楽しそう。
一発で解けなくたってよい。解けなくて②’第二、第三の事件が起きれば起きるほどむしろ手がかりも増えていくし、連続殺人事件なら解けなければ解けないほど容疑者が減っていくわけだから、犯人だって当てやすくなるにちがいありません。
そのほか、zzz_zzzzがやったことのあるゲームだと……
- <小此木鶯太郎の事件簿>シリーズみたく、ゲームソフト自体には選択肢分岐ゼロ・だけどプレイヤーの推理自体はクリエイターにメールで送ることで後編へと反映してもらえる「読者へ挑戦編」「回答編」の前後編二部作構成にしてしまう。(上の問題はクリアしてるけど、はたして"ゲームとしての解決"なのか……?)
- (謎解きゲーだが)<自転車創業>作品みたく、【②a´,⑤´,⑥´】PCの脳味噌に複数ある知識のうちの一つをセットして時空を周回し、PCが特定の"気づき""推理"を引き起こすまでがんばる(志村に特定のタイミングで「志村~うしろ~!」と特定の声をかけるまでがんばる)、【②b´】無時間・タイムループ/パラレルワールド的時空モノにしてしまう。(謎解きゲーゆえ①③はそこまでキツくないけど、解決されず。③詰まるときは知識セット総当たりでルート全周をすることになるし。いくつかの謎解きは②特定知識をセットするしない無関係のフラグによるものとなっているから、総当たりしてもどうしようもない)
……とかって解決がとられていたような記憶があります。まぁ~一長一短!
解決策;<逆転裁判>のとった法廷バトル形式
『逆転裁判』は、"ウチの母親ですら遊べる"シンプルさが大前提です。
だから、ゲームの中心にあるのは、基本的に《ウソを見破る》という1つのポイントだけ。成歩堂 :そもそも、裁判のゲームじゃなかったからね。最初は。
真 宵 :え! そうなの!
成歩堂 :この"シンプル"ってヒトコトがすべてなんだと思うよ、このゲームは。
真 宵 :‥‥どういうこと?
成歩堂 :『アリバイ』やら『トリック』やら『犯人』やら、プレイヤーが考える要素を増やしたくなかったんだって。混乱するから。
真 宵 :そうなんだ。
成歩堂 :基本的に『どこに矛盾があるか?』だけ考えていれば、先に進めるようにする。そうすれば、ゲームの操作自体もシンプルにできる、って。カプコン、『逆転裁判2』公式サイト、巧舟「開発秘話」第5回サイコ・ロック(Internet Archieve収集版)(成歩堂、真宵は劇中人物)
<逆転裁判>はいろいろなことがスッキリしています。
1´.【①'-1】「法廷パート」を打ち立てた。このパートで情報収集も整理も推理も"敵"との対決もすべてできる!
【①'-2】構成も「法廷パート」1つのみか、あるいは「探偵パート」⇒「法廷パート」を1セットとした数セット形式にして小分けした。(『1』では最大3セット⇒『2』以降は最大2セット⇒『6』第5話では2セットだが別の事件を扱って実質1セット×2とする)
【①´-3】『逆裁2』以降「サイコ・ロック」により、「探偵パート」での"つきつけ遊び"を導入した。(探偵パートが長くなったのと。両パートが均一化されテンションの切り替えがなくなったことで、むしろzzz_zzzzは嫌い)
【①'-4】『逆裁5』以降、探偵パートでの「みぬく」導入により、「探偵パート」での"つきつけ遊び"増加させた。(主に"つきつけ"るのは法廷パートで活用される"法廷証拠"と異なるものだし、「みぬく」の法廷での出番は少ないから、各パートが差別化できている)
2´.【②】「探偵パート」では推理を極力させず情報収集に集中し、集めた情報について「法廷パート」で違和感に"気づき"・"推理"させるようにした。
「法廷パート」の主仕様を"証言5センテンス内にある1ムジュンを探す遊び"・"ムジュンを1つ突きつけたら次の証言を検討するステージクリア式"にした。つまり、プレイヤーが"気づ"いたり"推理"したりする範囲を指定・小分けにして提示し、プレイヤーが特定の違和感をつきとめなければ推理を次に進められない仕組みを用意した。
【②b'】証言(=吟味・検討材料の一つ)という性質を活かし、何度も繰り返し再生可能なものとする。
3'.【③'-1】推理のための材料が先方NPC側から提示される形式(法廷パート)とする。
【③'-2】『逆裁2~3』=「サイコ・ロック」導入により、「探偵パート」の手がかり収集状況についてチェックリストを導入すると同時に"穴埋め遊び"化する。(ただし「サイコ・ロック」は手がかり不足でも挑める。この"遊び"によってむしろストレスは増えた)
{【③'-3】『逆裁5~6』=「ここは調べ切ったな」て言わせちゃう(わかりやすいけどさぁ)}
4'.法廷バトルシステムにおいて、事件についてどこからどう言及するか論戦相手である検察側NPCが主導権を握るものとし、PCである弁護士側は主に検察側NPCの投げたボールを打つだけの後手番とした。なので「ABあるトピックのうちBは解けたから、プレイヤーとしてはBから話したいけど、プレイヤーキャラはAからしか話題を振れない」みたいなジレンマは生まれない。
5´.【⑤'-1】ゲーム側が"気づき"や"推理"を回す場合、プレイヤーの解いたムジュン"つきつけ"遊びにおいて「このムジュンを"つきつけ"たことで回せる範囲内」に収める。(推理のシンクロ率を高く維持する指標として、"つきつけ"たムジュンを用いる)
【⑤'-2】NPCが新証言を言うというかたちで飛躍した情報を提示し、その新証言が得られたのも前段でプレイヤーが"つきつけ"たムジュンをトリガーとする(ムジュンを解消するかたちの変奏でも、降参して証言撤回でもなんにせよ)。
【⑤'-3】「実際にはコレを"つきつけ"られたからといって、そこから先のロジックまでは回せないプレイヤーもいるかも。でも、真相についてこのように推理するからこそ突けるムジュンを、現にこうやってプレイヤーは突いてみせたのだから、"プレイヤーもその推理に至ったものとして"お話を進めてよいだろう」……と、④'-1を逆手にとってPCにロジックを回させてしまう。(=実況プレイヤーがたまに言う「ナルホドくんが勝手に解いてくれてる!」というアレ)
6´.プレイヤー&PCが持っている情報に反する情報をもつ"他者"との論戦バトル形式にし、自問自答のかたちを極力とらないようにする。
(『逆裁5』以降は、なんか自問自答形式の選択肢樹形図がでてきた)
7´.PCは、有罪にされそうな依頼人を救う弁護士。事件を解決すれば1人はしあわせになるだろう見込みを抱ける。
▽どこから手をつけていいか不明な大問題を細分化し、達成報酬の逐一設定されたタスクにする
いわゆる推理小説の巻末の回答編で、ズララ~ッと澱みなく一遍になされる"一連の"「名探偵の推理」。
これをちょっとした論拠の指摘・何気ない手がかり(違和感=ムジュン)の発見単位にこまかくバラしてそれぞれ問題にし、それを解ければ報酬の発生するステージクリア式サブクエスト群としてうまく設定・構築しているのが、<逆転裁判>なんでしょうね。
このおかげもあって、<逆転裁判>では誰でも名探偵になることができる・なれる(=事件解決までがんばることができる)。
さて記事上方で張ったようなライフハック、業務・実人生のゲーミフィケーションを読んで「なるほどな~!」と思うんですけど、実際やってみるとそれでも続かなかったりする。
「巨大なタスクを小タスクの集合として切り分けて各々に報酬を設定をしたところで、小タスク達成の快感ってしょせん小報酬、タスクを分割すれば分割しただけ相応に小さいものとなってしまわない?
(香盤表ができること、それが埋まっていくことは、円滑な進行には便利だけど、埋まること自体がそこまで快感かっていうと、その人の趣味によるのでは? 0.0云%ずつ増えてく進捗、zzz_zzzzにとってはむしろ気が滅入るよ~)」
「タスクを分けたのも自分だし、報酬設定するのも自分という独り相撲。そこでモチベを保てるか否かは、けっきょく本人の性質によるのではないか?」
といったところでzzz_zzzzはつまずいてしまいます。
ここについて<逆転裁判>は、主人公を弁護士としたうえで法廷バトルを導入したことで解決しています。この形式なら、以下の2人の他者からの別々の種類の報酬がえられるんですよ。
- 情報を隠したり歪めたりしている他者(事件の真犯人に限らない複数名)との論戦バトル形式により、1つの事件のなかで複数の"他者"をノックアウトしていく快感が得られる。
- 論破によって依頼人である他者陣営が喜び、救われていく快感が得られる。
①については、ふつうの名探偵・推理モノでも形式を整えれば得られそうですが(『名探偵コロンボ』系など容疑者と直接対決モノは強いでしょう)、②の解いた結果しあわせになる人がほぼ絶対にいる(幸せになれる期待が最初に持ったうえで謎に挑める)構造は、"法廷モノならでは"なんじゃないでしょうか。
▽「解かされている感」「解いてもらっている感」をいかに「解いてる感」に変えるか?
法廷バトルのいいところは、直上で述べたところ以外にも色々あると思います。
なかでも、"解かされている感"や"解いてもらっている感"をあまり覚えずに、名探偵として解いている手応えを<逆転裁判>は得られるところ! ここなんてデカい魅力でしょう。
自由記述形式じゃない以上、だいたいの推理ゲームの推理はプレイヤーが一から組み立てるものじゃありません。つまり、システム側から限られた選択肢を提示され、そのなかから正解を選んでいくだけの選択肢樹形図に過ぎないわけです。
そこに切なさやらなにやらを感じることがたまにあります。
名探偵の「回答」をゲーム内で編むさい、「プレイヤーキャラクターの脳内なりなんなりでの自問自答」みたいな形式をとられるとむしろ"有能なプレイヤーキャラクターのなかに既に宿っている答えを、プレイヤーがなぞらされている"感、「答えを知ってるゲームさんサイドから、無知なプレイヤーへなされる一問一答式講習」感がより一層でちゃって切なくなってしまったり。
あるいは、「ABある事件のうち、プレイヤーである俺はBについて解けたけど、プレイヤーキャラであるわれらが名探偵はAの事件からしか回答をしたくないので、詰んでしまった……」といった事態に出くわしてヤキモキしてしまったり。
ここについて<逆転裁判>は、うまいごまかしかたを見つけてくれました。
話題をふる主導者を論戦相手とし、プレイヤー(プレイヤーキャラクター)が論戦相手の欺瞞を打ち砕く(ロジックを見つける)という「法廷バトル」という仕組みを用意したこと。これによって、そこらへんの切なさ、「敷かれたレールを進まされてる感」についてうまく誤魔化してくれております。
やってることは<逆転裁判>だって、ゲーム側が提示する脚本に沿ってふんわりしたところから正答を具体的に詰めていく選択肢樹形図なんですよ。
なんですけど、推理の発信元がNPCだから、問題意識・論理の組み立てかたがプレイヤーと違っていてもむしろ当然であり、そこにヤキモキすることは絶対ありません。
*
NPCの証言のなかにあるムジュンをプレイヤーが見つけ、そのムジュンを基にPCがロジックを回し。NPCがPCの回したロジックをカバーする新たな証言を練り直し、そこにふくまれるムジュンをプレイヤーがまた見つけ、そのムジュンを基にPCがロジックを回し、NPCが降参・まったく別種の証言を言い始めて……
……という法廷バトルの過程。
このプロセスのなかで、プレイヤーが見つけた細々としたムジュンって本当にちいさなもので、これらの細々としたムジュンから「そのムジュンがあることでどんな不都合があるのか?」という具体的な問題点へと肉付けしているのはプレイヤーキャラクターだし、問題同士を繋ぎ合わせて事件全体にかんする複雑な絵図"を描くのはNPCだし、つまり真にクリエイティブでエレガントなロジックを構築しているのはプレイヤー以外のキャラクターなわけですけど。
NPCの欺瞞を突く「対決構図」というブックのおかげで、相手より一枚上手に立ってクリエイティブなことをしている気分になれる。
そして、プレイヤーじゃないけど自分と同一視したくなるプレイヤーキャラクターがロジックを回す部分についても、「プレイヤーである俺じしんが解いている」手ごたえを感じられる。
録画で「ゲームゲノム」の巧舟さんの回を見た。「推理のシンクロ率」という言葉が出て来たけれど、それこそまさに「逆転裁判」の魅力で、プレイヤーを置き去りにゲームキャラが勝手に推理を開陳し始めたり、プレイヤーの閃きにキャラがついて来なくてもどかしかったりすることが、ほとんどない。
— 米澤穂信 (@honobu_yonezawa) 2022年11月6日
サプライズをミステリの軸にすると、大抵の場合、推理シーンはプレイヤー置いてけぼりか消化試合になる。「逆転裁判」は「物証からここまでは言える」の積み重ねだから、仮にプレイヤーが先に真相に気づいても、「それをどう立証する?」という問題にプレイヤーとゲームキャラが一緒に取り組めるのだ。
— 米澤穂信 (@honobu_yonezawa) 2022年11月6日
NHKの番組<ゲームゲノム>内で、今作のクリエイター巧舟さんが「推理のシンクロ率」について語ったらしい。プレイヤーキャラクターの展開するロジックが、プレイヤーの"つきつけ"たムジュンから発進しているだろうところが今作の嬉しいところだと思います。*6
ナルホドくんたちPCが逐一展開するロジックは、細かなムジュン"つきつけ"遊びを指標・起点としたうえで「このムジュンを"つきつけ"たことで回せる範囲内」に収まっているんですよね。だからシンクロ率が高く感じる。
*
さて上に引用した呟き主・ミステリ作家の米澤穂信さんレベルだと「ほとんどない」になるみたいですけど、zzz_zzzzレベルのぼんくらじゃあ「とりあえずムジュンはこれだよな……」と恐る恐る"つきつけ"た後ナルホドくんが展開する推理について、
「なるほどたしかに……! ナルホドくん賢いわ……!」
と感心することがチラホラあります。(実況プレイ動画の実況を見ても、実況者がナルホドくんへ感心する局面にちょこちょこ出会える)
ナルホドくんに感心するということは、もちろんプレイヤーの知性を凌駕してゲーム側によって勝手に話を進められてしまっているということを意味します。ともすれば興醒めしそうなものですが、意外とだいじょうぶ。むしろ気持ち良かったりさえする。
なんでそんな好転するのか?
おみそれするロジック(飛躍的であったり、こちらが考慮しそこねた部分もフォローしたりしてくれたロジック)がゲーム側によって展開されるとき ふるわれているのは、たぶん、上で青字にした推理のシンクロ率が高く感じられる基準と似て非なる剛腕なんですよ。
ここのコペルニクス的転回がうまいこと行ってるんだと思います。
「実際にはコレを"つきつけ"られたからといって、そこから先のロジックまでは回せないプレイヤーもいるかも。でも、真相についてこのように推理するからこそ突けるムジュンを、現にこうやってプレイヤーは突いてみせたのだから、"プレイヤーもその推理に至ったものとして"お話を進めてよいだろう」
という逆転の発想がここにはあり、剛腕は剛腕だけど、けっきょくプレイヤーが"つきつけ"たムジュンを起点にしてくれていることには変わりないので、不快感はありません。
ゲームさん側に下駄を履かせてもらったわけですけど、
「いくつもある靴のなかからボロ靴を除けて、正解の鼻緒にむかって指先を向けて足を動かしたのはじぶんである」
というたしかな実感があるから、"うれしいオマケがついてきた"くらいの感覚で受け入れられるのでした。
この、プレイヤーの裁量である謎解き部分とPC・NPCによって掘り下げられ具体化される情報開陳部分との関係は、思考における<腹>と<頭>、ダニエル・カーネマン氏らが広めたところのシステム1とシステム2を思い浮かべたりしました。
えらいひと曰く、脳の思考には、速いけど雑な直感的思考(=システム1)と、遅いけど複雑な論理的思考(=システム2)という二つから成り立っていて、システム1で出した回答をシステム2が固めていくのだと。
(この見立ては、「システム1が思いついちゃった実現不可能なアイデアを、システム2が却下する」みたいな素敵なプロセスを説明できるだけでなく。
「システム1が素朴に発露しちゃった偏見を、システム2が屁理屈をこねて理論武装する」みたいな最悪の回転も、説明できてしまう。イイネ!)
○『サバイバン』が『逆転裁判』になって良かったね……
上で述べたような「"ウチの母親ですら遊べる"シンプルさが大前提」の大人気ゲーム<逆転裁判>の美点のいくつかは、しかし、企画書~プロトタイプ版『サバイバン』の時点では無かった点だからビックリです。
もともとは「総当たりの効かない"実力主義"」をセールスポイントとして挙げたゲームで、難度がかなり高いものだったみたい。
プロトタイプ版でも、そうだったみたいで、社内レビューで大批判を買ってしまう。
このときのゲームシステムは、現在とはずいぶん違っていました。
“一瞬のスキも許されない緊張感を!”というコンセプトのもとに、●完全リアルタイム制。開廷から閉廷まで一気に流れる。ツッコミどころに気づかなかったら、それはもう有罪。
●証人の発言が、すべて法廷記録にファイルされる。ムジュンをつきつける際は、過去の全証言の中から探す。“一瞬のスキも許されない緊張感”どころか、“どこで緊張すればいいのかわからない”というありさまでした。
カプコン、『逆転裁判』公式サイト、巧舟「開発秘話」第7回年末崩壊(Internet Archieve収集版)
そこから以下のような「わかりやすさ」重視の再構築がなされていったんだそう。
“裁判”には、それ自体“ムズカシイ”というイメージがあります。
まず何よりも、そのイメージをひっくり返すような、わかりやすいゲームシステムを確立しなければなりません。
前回の失敗を見なおして、法廷を全面的に再構築しました。●《証言開始》《尋問開始》を入れて、“今が考えどきだよ”と教える
●矛盾点に気づかないかぎり、先に進めないようにする
●画面にコマンドを表示して、何ができるかを示す
●矛盾の根拠となる情報を、証拠品(1個につき30文字)に凝縮するカプコン、『逆転裁判』公式サイト、巧舟「開発秘話」第9回リストラ(Internet Archieve収集版)
巧 (略)一度に検討するべき証言は5個程度に絞る。
株式会社Gzブレイン刊(平成31年2月21日発行・発売)、『週刊ファミ通【2019年3月7日号】』kindle版30%(位置No.207中 62)、「『逆転裁判』の生みの親 巧舟ロングインタビュー後編」より
第1作の大ヒットからナンバリングタイトルが6作、関連作が5作つくられた今作は、続編にいろいろな追加要素や変更が加わっておりました。
サイコロックとか"みぬく"とかいろいろ追加されましたが、まぁ大枠としては謎解き要素をふやすって方向性ですね。
ここについていろいろ思うところはあるけど(※)、HPMPがなくなってきたのでこの辺はまたいつの日か……。
(※ たとえば、
「サイコ・ロックは、巧氏が制作経緯を説明していた"謎解き要素の増加"*7以外にも……
- "必要な手がかりを集めきったか?"のチェックリストのゲーム化
- "ここまで調べ切った、ここで出来ることはなにもない"という、次の場面へ移行するためプレイヤーキャラ発進でなされる納得について、プレイヤーが同意できる自然な根拠の提供
……あたりの意義がありそうで、成程イイ感じだけど、"遊び"じたいが"法廷"パートでおこなう"つきつけ"遊びと同方向だから*8、両パートが均されて、プレイ感に起伏がなくなっちゃったり。
謎の提示や真相解明のための準備期間ととらえていた"探偵"パートの複雑化・長大化を招いちゃったりして、プレイしつづけるためのテンション維持が難しいな」
とか)
ムジュン"つきつけ"をまちがい探し作業にしないための工夫、その良し悪し
シリーズを重ねていくにつれ、「法廷パート」におけるムジュン"つきつけ"遊びにも、ちょっとした変化が見られました。
『2』第1~2話の法廷パートの飛躍
『2』について、いくつかの謎解きについて、ムジュンの根拠がゲーム内に無いという難問が登場しました。
第1話では①「"野球のグローブ"は一般的に"利き手じゃない方へ着けられるもの"」であることがムジュンとして"つきつ"ける論拠となり。
第2話では(AとBが前後してすみませんが……)②B「"アメリカなどの一部地域の海外車"は一般的に"運転席が左側"」であることがムジュンとして"つきつけ"る論拠となり。
②A「"一般論として至近距離で銃を発砲すると被射体に焦げ跡がつく"との情報をもらったうえで、とある事物について"至近距離で撃たれた"と証言されるけど、その現物を見ると"焦げ跡が無い"」ことがムジュンとして"つきつけ"る論拠となります……
……しかし上の三つのくだりはどれも、そこに至るまでのあいだに今作における一般論や一般的様相が文字や視覚情報として提示されません。
よってそれらの"ふつう"を知らない人は、いくらゲームで提示される情報をつきつめても謎が解けないのです。
(②Bは、「"ダッシュボード"については"第2話OPで絵として描かれ"ていて、"車前席のダッシュボード"は一般に"運転席側がふくらむ"ことを知っていれば、視覚情報としては足りているんですけど、ゲーム内に描かれたものがはたしてどんな意味をもつのか、この一般的知識を教えてくれる文字情報がやっぱりゲーム内にありません)
②Aは、輪をかけて酷い。
「ナルホドくんの"つきつけ"によって"銃痕"と公に認定・周知されたさい第三者から"かすかに焦げた臭いもします"と付言もされ、HD版ではさらに"銃痕が黒・茶で縁取られている"ようにも見える」ので、話題の事物の一般的ルックスを知らないプレイヤーは、
「ということは前段で聞いた一般論どおりの事物か」
と誤解してしまいます。無知なzzz_zzzzは小一時間詰まりましたよ……。
①や②Bの論拠はシェアの大きな事物にかんする一般論なので、手がかりが無くても解けるひとは多そうです。
(「ただ①は日米英あたりはともかく、ほかの地域ではどうかなぁ……」というのと、例外はアレコレあるのがレッドヘリングになってしまいそうではあります)
しかし②Aは、そう一般的なモノじゃないのでハードルが高そう。
「①や②Bは常識中の常識。解けないほうが悪いでしょ」
と仰るかたもいらっしゃるかもしれません。
常識はひとによってアヤフヤなもので、じゃあたとえば「手斧(ハチェット)をふつう両手でどう握るか?」とか聞かれたら困るじゃないっすか?
「バットやら刀やらと同じく利き手が上で・逆の手が下でしょ」
と答えたあなた、貧しい木こりアブラハム・シュミットはあなたのせいで有罪判決をくだされてしまいましたよ、可哀想に……。
(脱線)あなたが手斧の常識的な持ち方を知ってるかどうかで、アブラハム・シュミット氏が罪人になるか否かが決まっちゃうんですよ!
翌朝2月11日の午前5時、ルプレヒトは言語能力も意識も回復することないまま死亡した。
The following morning, at about five o'clock (the 11th February), Rupprecht died, without having recovered his speech or consciousness.
にもかかわらずアブラハム・シュミットへの嫌疑は強まっていった。警察が法廷へ提出した容疑者3名の所持する手斧(ハチェット)のうち、アブラハム・シュミットのそれは明らかに血痕が付着していたのだ。
Meanwhile suspicion strengthened against Abraham Schmidt. The police handed the hatchets belonging to the three suspected men "into court, and that of Abraham Schmidt was spotted apparently with blood.
(略)
被告は刑務所へ最初に連行されたさい入念な検査をうけたが、しかし身体や衣服から血痕は発見されなかった。かれの自宅やかれの義母宅も厳しく捜査され、極度の貧困である証拠こそ出てきたものの、犯罪の証拠はでてこなかった。
The person of the prisoner had been carefully examined when he was first taken to prison, but no stain of blood was found upon his body or his clothes. His house, and that of his step-mother, were rigidly searched, and in them were found tokens of great poverty, but not of crime.
じしんの手斧(ハチェット)に血が着いていた理由をアブラハムは寒さのせいだと説明した。「寒さで手があかぎれ、事件の前日に出血してしまった。斧の染みはそれが原因だろう」と。ところが血が着いていたのは刃の付近で、あかぎれているのは右手のほうだった。ふつう薪割りをするとき斧の刃に近いほうを握るのは左手であり、いっぽう右手は柄(ハンドル)のほうを握るものだ。けれども取り調べが進んでみると、アブラハムは左利きであることがわかり、このムジュンは解決した。
He accounted for the blood on his hatchet by saying that his hand was chapped with the cold, and had bled the day before, and that this might have caused the stains. But these stains were close to the blade, and it was his right hand which was chapped, whereas in chopping wood the left hand would naturally be nearest to the blade of the axe, while the right hand grasped the handle. On further inquiry, however, the accused was found to be left-handed, which solved the difficulty.
1846年London : J. Murray出版、アンゼルム・フォイエルバッハ著(LADY DUFF GORDON訳)『Narratives of remarkable criminal trials』
ドイツ近代刑法学の父アンゼルム・フォイエルバッハ氏による19世紀初頭当時の事件まとめ本(の英語圏での抄訳版)『Narratives of remarkable criminal trials』では、金物細工職人クリストファー・ルプレヒト氏を殺した容疑者として逮捕された木こりアブラハム・シュミット氏がいかに証拠不十分で保釈されたかを記しています。
柄は右手(=利き手)で・刃に近いほうを左手(=非利き手)で持つのが"ふつう"であるという手斧の握りかたと照らし合わせることで、アブラハムの嫌疑は強まったり晴れたりしたのでした。
事前に"ふつう"を描くことは大体可能
『逆転裁判2』第1~2話における、ゲーム外にある"ふつう"の常識を謎解きのカギとする数シークエンスについて話をもどします。
それらを解くための手がかりをゲーム内に盛り込むことはたぶん可能でしょう。
第1話については「"グローブの持ち主である被害者は野球が趣味の人"なので、"グローブをはめて野球をしている生前の"姿」を事前に提示すればいいし。
{それじゃああからさま過ぎるなら、「左手にグローブをはめてキャッチボールをする被告」の姿と「メガネを右手でクイクイする被告」とを提示するとか(もちろんこれだと、「被害者がグローブは右手に嵌めてボールを左で投げるけど、文字書きなどは右手な人であるなどの可能性を排除できない」わけですが、なにも無いよりかは良いでしょう)}
第2話Bについては「電車などを利用する距離にある里~都市間を往来」するエピソードなので、「国産普通車車内で会話」したり「車へ乗り込」んだりする場面をどこかに挿入すればいいわけです。
{「(これはこれで変ですが)手錠をかけられ、パトカーの助手席にのせられて連行される真宵ちゃんの姿や、前席にひとりだけ(=運転席にだけ)乗り込み車で去る警察の姿」を載せたっていいし。「春美ちゃんを徒歩で都会へ来させてしまってナルホドくん達が青ざめる」くだりがあるので、「春美ちゃんを車で送迎する」くだりとかを入れたっていい}
オリジナルバージョンは容量不足に悩まされたそうだから難しかったとしても、再リリース版はそうじゃありません。そのへんフォローしようと思えばできたはず。
▽設計ミス? いやこの不足こそが、まちがい探しにしない工夫なのだろう
……でも、そういう善後策はとられませんでした。
どうしてそういうかたちになってしまったか?
そこについてリテイク等をしていないのか?
おそらくこれは、謎解きの難度を上げるための意図的なものなんでしょう。
<逆転裁判>シリーズの基本的な"遊び"は、証言として5センテンスにまとめられた問題へ、プレイヤーキャラクターである弁護士がムジュンを見つけて証拠を"つきつけ"ること。小分けにされた出題・解答は、ともすれば証言と法廷証拠(という既知の情報)とを突合するだけの"まちがい探し"作業に陥ってしまう。
そのドツボから逃れるためにおそらく「劇中でわざわざ描写したり改めてプレイヤーへ提示したりする必要もない、省いてしまっていい一般常識」をカギにすることとしたんでしょう。
なんとなく理解できました。
でもzzz_zzzzとしては、こういう謎解きを盛り込んでしまうのも別のドツボに思えてなりません。たとえば、
「じゃあ硝煙反応調べましょうね、一般常識だから省かれてるだけで当然ありますよね?」
とか、そういう反感がうまれてしまいそうな気がします。
『3』第3話の脳内変換作業について
『逆転裁判3』第3話「逆転のレシピ」。
こちらにも「左右」にかんする話題・謎解きがいっぱいあります。『2』でも「左右」ネタがあったけど、しかし『2』とちがって、『3』第3話のそれはゲーム内の情報だけでどうにかなるようになっています。
「左右」の話題はまず「証言どおりの側で、証言どおりのことをした」としたら、「この証拠に記された身体事情とムジュンする」という(ちょっとだけ飛躍がある)まちがい探しのなかで登場します。
つぎに、「証言どおりの手で、証言どおりのことをした」としたら「この証拠写真のようにはならない」ことを"つきつけ"るという「文字情報だけ」では解決できない「絵解き」等も登場。
これらのムジュンをうけて、論敵から「実は"事件当時、室内にはおおきな鏡が置かれていて、証言者はそれ越しに被害者らを見た"。だから"左右があべこべになってしまったのだ"のだ」という新証言が飛び出します。
今までに出た話題には「鏡写しになるものとならないものと」が混在しており、プレイヤーがそこを"つきつけ"ることで新証言を崩します。
『3』第3話の上述した謎解き群でやられていることはなにか?
それは「"これこれこうだ"というラベリングをしたうえで素の情報をドバ~ッと渡すし、その仕分け法も渡す。しかしその分類整理についてはプレイヤーへ任せる」ということですね。これもまた"まちがい探し"にしないための一つの解決策なのでしょう。
続編の『4』第1話でもこういう分類整理をもとめられる局面がありました。
まちがい探しからパズルに変わったわけなんですけど、これはこれで恐ろしいですな。
というのもzzz_zzzzは、推理小説のパズラー要素って要点力点がフクザツすぎて、気がとおくなってくるんです(苦笑)
「"そこが変わったことで……けっきょく何なんだろう……? 頭いいひとにとってはこの辺の議論もきっとスリリングで楽しいんだろうな……"
になっちゃうんだよな。
ワントピックが解かれるだけで180度ガラリと盤面がかわるような問題じゃないと、面白い面白くない以前に"そもそも何が問題なのか分からない"になっちゃうぜ……」
と読み流しちゃうんすわ。
歯ごたえと新味とシンプルさをどこまで保持し続けられるか? 今後に期待と不安がつのる~。
『4』第1話と『2』のそれとの違い
『逆転裁判4』では、第1話2話で、それぞれべつべつのアプローチが見られ、非常におもしろかったです。
『逆転裁判4』第1話「逆転の切り札」では、ムジュン"つきつけ"を単なるまちがい探しにしない工夫として、解くのにゲーム外の知識が必要とする謎が出てきました。
今回は『3』第3話で出てきた「"これこれこうだ"というラベリングをしたうえで素の情報をドバ~ッと渡すし、その仕分け法も渡す。しかしその分類整理についてはプレイヤーへ任せる」というパズル方向の謎解きとの合わせ技になっています。
もっと詳しくネタを割れば今回の謎解きは、「プレイヤーが自分でちゃんと"2種のチップ"を"証拠写真からカウント"し、"証言どおりのレートで検算"してみると、"証言の結果にならない"ことがわかる」というもの。
「チップの違和感」についてはそれまでのシナリオにて直近でも強めに言及されており、プレイヤーは「"絵解き"をし、"計算するだけ"」のところまでお膳立てされています。
謎を解くのにゲーム外の知識が必要とされる点で、この謎解きはzzz_zzzzが難色をしめした『2』の一部謎解きと共通点を有しています。
ただし『4』第1話については事情がちょっと違い、その必要知識が「"鶴亀算"ができればよい」ってだけ。この差が大違いの素晴らしさを生んでいます。
つまり必要なゲーム外知識が『4』の場合だと義務教育で習う範囲内におさまっていて、プレイヤー間で知識格差を生じさせない塩梅なんですよ。
共通知識といえばソレがありましたね! なるほどたしかに、これならアンフェアじゃなさそうだ。
また、これまでのどの謎解きとも異なる分野からの出題で、そこも新鮮でよろしかったです。
『4』第2話、3DCG調査を活かした固定観念の解きほぐし
『逆転裁判4』第2話「逆転連鎖の街角」でも、おもしろい謎解きが登場しました。
その内容は、知ってるひとは知ってる常識がムジュンを"つきつけ"る鍵となるもの。
具体的にネタを割ると、
「とある証言者は"Aという車を見た"、"それを見た証拠として、そこに書かれているabcaという文言もはっきり覚えている"と言う。しかし実物を確認してみたら、"abcaと響きこそ似ているけど別物のacbaという文言が書かれている"という証言にそぐわない情報が見つかった。
ということは"証言者の虚言"なのだろうか?
いやいや実は当該事象には"車体側面に書かれる言葉は、車の進行方向向きに書かれる"というお作法があり、それによって"文言が運転席側壁と助手席側壁とで正反対の並び"になることがある。"acbaはabcaを逆にならべた言葉"であり、証拠品を"よくよく見ると、たしかに証言どおりの表記もあった"」……
……というもの。
「車」「左右」の取違えという共通項もあわせて『逆裁2』第2話を思い出すような謎解きです。しかも採用率の低下がニュースになるほど(①、②)アレコレ例外のある限定的なお作法という点も重なります。
(『逆転裁判4』の発売された2009年より以前から「お作法が通用しなくなってる」との目撃談がありました)
けど、あちらとちがってこの『4』第2話は謎を解くカギがちゃんとゲーム内に存在してます。
だからといってここでのムジュンの"つきつけ"は、証言と法廷証拠とをただ突合するだけのまちがい探しに堕とさないための今作ならではの工夫がありました。
問題の証拠品は、プレイヤーがぐりぐり回転拡大縮小すきなように眺めることの可能な3DCGモデルとなっていて。そして2Dの見出しアイコンや、3DCGモデル調査モードの初期位置だと、証言とことなる「車には正順であるabcaという文言」が見えるようになっています。
モデルをグリグリ動かす、すると天地左右の面から「車体のキズやらなにやら」という今回の事件によってあれこれ付け加えられたユニークで明瞭な違いが飛び込んでくるなかで、はたして「事件以前・車購入時点で存在するだろう、製造品としてふつうの部分(、仕様自体にある癖)」に注意が行くか? そこが問われる謎解きとなっております。
『3』第3話で出てきた「"これこれこうだ"というラベリングをしたうえで素の情報をドバ~ッと渡すし、その仕分け法も渡す。しかしその分類整理についてはプレイヤーへ任せる」というパズル方向の謎解き、これの3DCG視覚絵解きという具合になっていて、たいへん素敵でした。
『6』第5話一日目①、シリーズの登場事物を活かしたレッドヘリング
『逆転裁判5』『6』については、とにかくゲーム内の情報だけでちゃんと解けるように苦心している感じでしたわ。
優しいけど、だいぶ守りに入ってる感じがしました。
ただ『逆転裁判6』最終第5話「逆転の大革命」一日目にきて、ふたつのアプローチが見られ、ここは面白かったです。
まず一問目は、法廷パート「最初」の「尋問 ~博士の正体~」における、「"郷土の政治家"である"清木まさはる"の"正式名称"をめぐる謎解き」。
「"政治家の立候補名"は"ひらがなで表されがち"」であることが謎を解くカギとなり、"当該人物の名前"へ注目させる情報としては"本人のダイアログ"*9やら、"親族との表記のブレ"*10やら、そして何より"盗難届"でのトピックにおけるそのものズバリの"表記"*11と"言及"*12と"法廷証拠への記載"*13やらがあります。
手がかりのなかにある情報を、義務教育内("小学校4年生5年生"で習う"漢字"と、"小学校3~4年"で習う"ローマ字")の知識によって変換することで、ムジュンが浮き彫りになるというものです。
『逆転裁判4』からのメインキャラクター"みぬき"ちゃんをはじめとして、このシリーズには"ひらがな表記カタカナ表記の人物"はそれなりにいます。だから最初はとくに引っかからず重要情報を流してしまう点で、なかなか乙な出題だと思いました。
『6』第5話一日目②。温故知新、というか意外に珍しいヒントの出しかた
ただ、『逆転裁判6』第5話「逆転の大革命」では、"窓外にいた目撃者"が発した証言にある"ムジュン"を「見取り図を参照」することで"つきつけ"るくだりが複数あって、ここが面白かった。
最初の出題である「逃げるダッツよりももっと驚くべきもの(傷つき倒れた被害者)が見えただろう」がまず面白かったし。
これがまず出てき(て更に間にいくつか問題を噛まされ)たおかげで、次の「変更された証言では、死角になって事件現場は見えないだろう」の難しさが上がったり下がったりしていて良かったです。
次問の「"謎解き自体"は"シリーズで類似問題がいくつかあるお馴染みのもの"(たとえば、"第4話"でも"庭の門が開いていてもその展開角度じゃ死角になって事件現場は見えないだろう"というものがあった)」なんですけど、出題順によってzzz_zzzzの意識が回答とべつのところへ持っていかれていたので、ちょっと悩んでしまいました。
(この次問は、「最初の出題と次の出題とで状況設定にどんな違いが生じたか?」をこまかく注目したり、「証言を受けて全体の状況をあらためて俯瞰・想像し直した」人にとっては、簡単だったでしょう。
しかし、最初の出題もあいだに噛まされた問題も「本棚そばで倒れた現場写真に注目して、そのなかの異変に気づく」問題だったことを受け、zzz_zzzzみたくそちらに意識が引っ張られたままの人にとっては、簡単なはずの問題がなかなか解けなくなってしまう。なかなか良い問題だったのではないでしょうか)
この問題がおもしろいのが、文字情報でのヒントは「法廷パート」で覗ける"法廷証拠"のなかには無くて、さらには視覚情報としても「"証言者の立っていた側"から"問題の場所を見た角度のショット"」がないのでちょっと分かりにくい*14*15
たぶん、明示化されているのは唯一「"探偵パート"にて"調べる"」ことで得られるダイアログのなかだけ……というところ。*16
「調べる」をちゃんとやっていたプレイヤー&そこで得た情報をきちんと覚えているプレイヤーに報酬が設定されているところと、「調べる」がちゃんと謎解きに活きるところが素敵でした。
振り返ってみても、「"調べ"た結果"法廷証拠"の"情報更新"」がなされなかったことってパッと思いつきません。
なされなければ大体のことは法則的に変だったり不親切だったりするから今までやられてこなかったんでしょう。そこについて、「じゃあやめとこっか」ではなくて、「これならば、いつもの処理がなされなくたって、怒りがわかないだろう」というウマい塩梅を見つけてくる選択を取れるということ……これはえらいことでした。
余談
『4』『5』第1話プレイ所感(去年の記事のリンク)
『逆転裁判4』と『5』第1話の感想は昨年末にblogへUPしました。
○大変な作品だなぁとは思った(でもそこは怖い所じゃない)
○怖いところ
●『1』~『3』のロジックバトルの先をやろうって意気は買える
●「"みぬ"いた所でさぁ」が第1話で展開される怖さ
●「"論理的に追及しきれない袋小路へ行こうとも、より正しい真相を希求する姿勢が大事なのだ"というスタンス論、願いのお話なのだ」と捉えても……
○円熟したシリーズの辿り着く先としてはわかる。でもコレさ……
●『逆転裁判5』第1話のはなし
○チュートリアル回は新人弁護士のほぼ初登板……じゃなくベテランへ交代、しかも新人がお助けアンサー役!?
○(※)容疑者の正しい証言に異議を入れて、前者を参照して手元の「正しい証拠」の偽りを正す(……?);『5』第1話の証言と証拠品のよくわからなさについて
『5』『6』プレイ所感
いろいろなことが頭から抜け落ちていくので、逐一プレイメモを取った方が良いですな。
物語的なつながり・関連性はないけど、パズルとしてゲームとして見た場合に連関がうかがえる"謎解き"の積み重ねは――たとえば「前段でこの謎を解いたから、あの謎も解けた。この謎とあの謎はこれこれこういう点で相似した、延長線上の問題・応用問題だったからだ」みたいな理解・評価できたりする部分は――、時間を置いちゃうとぼんやり揮発していってしまう。
"謎解き"のなかでモチーフ対比変奏関係を仕込んだレトリックをやっていたりするのは、エピソード記憶の箱に収められるからまだ頭に残りやすい部分ですけど、こっちはこっちでむずかしい。
そのへんの大枠の構図を理解できるくらい情報が集まるのはだいたい作品の後ろのほうになるから、これまでスルーしてきた「実はレトリックだったもの」をそういう図式に基づいて再分類するまでに時間が空いてしまうと、ヤッパリ頭から抜け落ちてしまう……!!
『逆転裁判4』『5』序盤については昨年末につぶやきました。
『逆転裁判5』はたいへん立派な志の作品でした。
"謎解き"で物語的レトリックを転がそうとしていて、この試み自体は好ましい。
3点よろしくないところがあって、まず、謎解き部分のヒントがあまりに直接的だったことや優しすぎてボタンをポチポチ押すだけの作業感を抱かせるゲーム性がよろしくなかった。(半年積んだ理由)
PCとNPCが推理について、勝手に違和感に気づいてロジックをかなり回しちゃうんですよね。もしその部分さえ抑えて、『1』~『3』レベルの取り回しにしてくれていたなら、プレイ満足度はかなり上がったと思います。作問じたいは、謎解きにおけるレベルデザインみたいなのも感じさせる、丁寧なものを感じましたし。
(22:30追記;さすがにこれだけだとよく分かりにくいので、次項でプレイ日記を抜粋し、具体的な不満・作業感について述べます)
もう1点は、キャラに対する愛着をもててこそ楽しくなるだろうストーリーなのに、それを抱かせるだけの書き込みがなかったことがよろしくなかった。
(孤独な闇にとらわれそうなピンチを、他者が連帯して光りある世界へ連れ出す作劇が何度も出てきて、そこに闇やら星やらのモチーフが絡んでくるんだけど……
……孤独にとらわれる側にも、連帯する側にもとくに愛着をもててないうちにそういったドラマが展開されるので、「意味はたぶん伝わってるけど、面白味は感じない」という具合になる。
他校の文化祭で、その学校の有名人だろう人々が交わすアツいやりとりを「なんか盛り上がっとるな~色々あったんだろうな~」と輪の外から平常心で眺めるあの感じ。)
もう1点は、「異議あり!」が推理関係なく否定のために出される一声みたいになっていて、クドクドしかったです。
新しいギミック"ココロスコープ"も、エピソードを進めていったら、
「これまでのシリーズでさんざん快感を味わってきた"敵が論破された結果、盛大に敗北してくれる現象"。コレってなるほどたしかに――プレイヤーキャラクターが推理に失敗すると"心が壊れる"とか表現されてきたのとおなじように――良くないっちゃ良くないことだな。
劇中世界の法廷というシステム(=弁護士と検事のやり取り)が、対決というよりはむしろ、両方がそろってこそ真実に至れる・相補的で協同的な調査システムだとする*17。そうだとすれば謎で歪なこの対決システム*18によって(ときとして必要以上の)圧迫をかけられて大変な目に遭っているのは実は参考人たちで、そこをケアして"これらの人々もあわせて真実を追求する仲間なのだ"とできたほうが良くて……」
とかもにゃもにゃと必要性がわかってきました。
(ただやっぱり、第1話の「異議あり!」は昨年末つぶやいたとおり変だと思う)
『逆転裁判6』は素朴に面白い作品でした。
"謎解き"で物語的レトリックを転がすのは控えめにして、人間のアクション・関係性を各話の法廷パートで重ねていて、良かったです。
{レイファ様周りが、複数話またいで変化を描いただけあって素朴に良いし。
(レイファ様がへこんでる姿は胸がいたくなるし、その再起にはグッと熱くなるし……)
また、単発出演エピソードゲストキャラも、なんかうまいこと印象的でよかった。
シリーズが積み重ねてきたものをうまいことを活用していたんですよね。
たとえば第1話は、少年時代のナルホドくんを思わせるシチュエーションと学生時代のナルホドくんを思わせる仕草(仕草だけ。『3』第1話のイラつく物語展開はなぞらない)で共感しやすかったです。
第2話・第3話は、もちろんシリーズメインキャラが依頼人になってキャラが強かったんですけど、それだけに留まらない今作ならではの盛り上げがありました。かれらが置かれた境遇は、あきらかに『6』第1話に通じる可哀相だったり健気だったりシチュエーションを踏襲しており、これまたやっぱりエピソード単体で「助けたい!」ってモチベを抱くだけの魅力が描けておりました}
CGアニメ部分についても『6』はメディウムの特性を活かした演出になっていてよかったですね。ここぞというときにぐりぐり動かされるカメラワーク。動きが重たく見えがちだからこそエモーションが乗っかる地味めな振付。
謎解きでのヒントの出しかたは控えめな水準にもどっていて、「『逆裁5』(や『逆裁4』)の蛇口の壊れかたはなんだったのか?」と不思議なほどでした。
「異議あり!」も、謎解きを進めるために絞られている印象。第4話のここね&相棒、第5話二日目のオドロキくんは多目で、それ単体で遊ぶにはあんまり嬉しくなかったですけど。全体として見れば、控えめな回があるおかげで、
「キャラの個性であるとか、そのキャラの精神状態の表現とかとして受け取れる範疇に収まってくれてたな……」
と、悪くなかったです。
{このへんの、色んなレベルで不快にさせない取り回しの最たる例が、レイファ様の「ぽか!」だと思う。2D時代でも尺を取りがちで、『5』の夕神あたりはあまりにモッサリしているためにうざったくて仕方なかった暴力表現が、ついに今回はただただ可愛らしいものになっていた。(検事の数珠攻撃は? ……そこは結構まぁ……)}
今作で導入された新ギミックと、あらたな舞台も大いに納得いくものでよかったです。『4』をプレイし終えた感想でzzz_zzzzzはこんなことを書きましたが、まさしくそういう世界でしたね。
(この先に待っているのは、全区域の監視カメラ設置・全人員へのカメラ装備を義務づけた超監視国家化であるとかといった、推理を不要とする世界なのでは……?)
(22:30追記)プレイ日記抜粋
『逆転裁判5』第2話1日目おわりまで
『5』第2話では「"絨毯に染みた血痕"と"おなじく絨毯に散らばる羽・足跡"の"階層関係"から"それぞれの発生時系列を整理する"謎解き」が登場します。
これは、『5』第1話の「"おなじ地面にころがる""被害者の所有物"と"車の轍"の"階層関係"から"それぞれの発生時系列を整理する"謎解き」の応用問題でしょう。
謎解きゲームのレベルデザインだ~興味ぶかい。
(第1話のほうは……
- "被写体の点数が少ない"
- "比較対象が、白地の包帯と茶色い轍"で"色相的にハッキリしている"
- "検討対象が包帯に、轍がピ~ッと横断している"という"継続的な時間を感じやすいもの"である
……という点でわかりやすい)
『逆転裁判5』第2話クリアまで
▽探偵パートのカンタン化、めっちゃ良い部分と、そうでもない部分と……いろいろ!
○嬉しいところ
・サイコロック不在(いまのところ)が嬉しい
証拠をあつめる探偵パートと、あつめた証拠でたたかう法廷パートとの二部構成である<逆転裁判>シリーズ。
『2』からはサイコ・ロックという"遊び"が登場し、『4』からはさらにカガク調査が加わってボリューミーでした。
ボリューミーとは言い条、zzz_zzzzはこれについてあんまり好みじゃありませんでした。
サイコ・ロックはけっきょく法廷パートの"つきつけ"遊びの延長だから、両パートで同じようなことをやるハメになってしまって、落ち着くヒマがないんですよね。
サイコ・ロックのほうは任意で挑めるせいで必要な証拠を集めきってない時も往々にあり(なんなら『2』のチュートリアルからしてそう)、重ねなくていい往復を重ねたりしました。
(そもそも必要な材料を集めきった最短経路でも、なんかちょっとした手間がある。
「はなす」→「会話デッキのひとつからサイコ・ロック登場」⇒「はなす」から戻って「つきつける」選択→「マガタマ」→サイコ・ロック解錠シークエンスへ……といった具合に、一息で行ってくれない)
・調査対象の移動場所指示/自動移動はローディング考えるとまぁまぁ
舞台の移動方法・調査先の情報提示がガラリと変わっています。
各舞台に移動可能箇所が設定されていて、隣接する舞台から舞台へチョコチョコ移動しなければならなかった仕様が、今作からはどの舞台からもどの舞台へ1クリックで移動できるようになりました。
また、どの舞台にどの人物が居るかについてもカンタンになりました。
「(特定の調査対象)のいる(特定の舞台)へ行こう!」
とオドロキくんが心の声を述べたり、いくつかのシチュエーションでは自動的に移動したりさえするのです。
zzz_zzzzとしては、1クリック移動システムは嬉しい。自動移動などもまぁ分かる! って感じです。
新シリーズに入ってからSwitch版が舞台間の移動がやけに重いんですよ。『4』が結構に重く、『5』はそれなりに重い。
Switch版だと舞台移動するたびに『4』は3秒、『5』で2秒後半のローディングが入っています。携帯機実機で実況プレイしている配信者さんの動画を見ると舞台移動するたびに『4』は3秒、『5』で4秒のローディングが入っている。
行きたい場所へ一舞台ずつ渡り歩くのがそもそもダルいのに『4』は……
舞台A
・移動する(クリック)→「舞台B」(クリック)
⇓3秒ロード
舞台B
・移動する(クリック)→「舞台C」(クリック)
⇓3秒ロード
舞台C
・「(目当ての人物)は取り込み中みたい。別を当りましょう」
・移動する(クリック)→「舞台B」(クリック)
⇓3秒ロード
舞台B
・移動する(クリック)→「舞台D」(クリック)
⇓3秒ロード
舞台D
……みたいになってしまって、ま~~~ダルい!
『4』の3秒でダルかったから、5秒とかになったら1クリック移動できなきゃ拷問ですよ。実装してくれた『5』スタッフえらすぎる。ありがとうありがとう……。
○良いような悪いような
・先回り的なお節介が減じる臨場感(「やることリスト」関係や、証拠品整理);探偵パートにおける置物管理職化
便利になった色々な仕様のなかには「賛否両論あるな」と複雑な印象をいだいたものもチラホラ。
たとえばゲーム内「探偵メモ(やることリスト)」の登場と「ダイアログ内の情報提示の、やることリスト用チューン」や、不要になった"法廷証拠"の一括削除。
ゲーム側が勝手に自動でやってくれるこれらのお節介は、プレイヤーの行動・思惑を先回りし過ぎて、主体性や臨場感を奪っていると思います。
***
"証拠品"一括削除とは?
<逆転裁判>シリーズは、探偵パートで"法廷証拠"をあつめ、法廷パートにて(主に検察が)呼び寄せた証人の特定の証言にたいし特定の"証拠"を"つきつけ"ることでムジュンを暴き、真相へ近づいていくゲームです。
シリーズおなじみの"遊び"をゲーム内時間にして一日ぶん完了させた『5』第2話の二日目、主人公オドロキくん達の勤める事務所の仲間であるみぬきちゃんは、オドロキくんがあつめた"法廷証拠"のうちいくつかをマジックで一挙に消失させます。選択肢が絞られ、法廷パートで誤答する可能性が減ってうれしいですね。
でもそこでぼくは興醒めしてしまいました。
だって「この"証拠"は以後に出番がないので消していい」と判断をくだせるのは、よほど思い込みの強いキャラでないかぎり、未来人かゲームの作り手だけじゃないですか。
ゲームの良いところって、あたかも"いま・ここ"の時空間にいると錯覚してしまえるところだと思うんですよ。
「プレイヤーである自分がいるのは、これまで自分が取ってきた行動を積み上げたさきであり、"いま・ここ"であらたに自分が選んだ行動如何でまた状況が変じていくアクチュアルな時空間なのだ」と。
でも、その夢からさめて「過去も将来も誰かがお膳立てしたレールの上なのだ」と思いながらやるゲームは、物語を進めるのに何かいちいち謎の儀式が挿し込まれるぎこちない表現形式ということになりやしませんでしょうか。
***
探偵メモの登場と、それにチューンされた情報提示とは?
オドロキくんは事件について細かく「探偵メモ」をつけるようになりました。
「次にこれをやろう」というToDoリストで、プレイヤーはオドロキくんのつけてくれたこのリストを探偵パートのどの時点でも確認可能です。
このリスト自体はめっちゃ細かいしありがたい! ですけど、やることリストとそれに最適化されたダイアログが厄介なんですよ。
たとえばAという謎に対して調査相手①と話していく(Aについて謎が晴れる)うちに、Bという謎が浮上し、調査相手②がBについて知っていることがわかったとしましょう。
オドロキくんは「よし次は②と会ってBを"つきつけ"よう!」と心の声を述べ、ゲーム内「やることリスト」を以下のように更新します……
・調査相手②と会う。
・②にBをつきつける。
・調査相手①と会う。
・①にAをつきつける。
……ありがたい。でも、ここまで来ると最早プレイヤーは、決算書にハンコを押すだけの置物管理職じゃないですか。
もちろん過去の<逆転裁判>シリーズとそこまで違いがあるのか?
というお話はあるでしょう。
過去作の一部の探偵パートだって、だれに何を"つきつけ"ればよいか、かなり示唆的なダイアログ・モノローグが表示されてはいたんですよ。それも直近に指示セリフが出るような!
過去シリーズの探偵パートの情報引き出しの一部シークエンスは、下記のような流れで……
- 調査相手①と会話をする。
- ①との会話のなかでA(ないしそれを匂わせるもの)が話題に出て会話が終わる。
- ("つきつけ"て別の情報が引き出せる場合、ナルホドくんが「Aについてもっと詳しく聞きたいな」とか心の声を述べる)
- ①にAを"つきつけ"る。
- 調査相手①から新たな会話が引き出される。
……その場でカンペ出されながらやってるみたいなものですから、傍目には『5』第2話の探偵パートよりもひどい。
ひどいハズなんだけど、不思議なことに過去シリーズの流れのほうが「自分で探偵仕事を進めている」感覚があるんですよ。
比較するに過去シリーズの流れは、ゲーム側からの誘導を受けてはいるけれど「Aを"つきつけ"る」というプレイヤーがこなすインタラクションの発案者はプレイヤー自身(4.)となっています。
いっぽう『逆裁5』の上述の流れは、すでにアイデアの発案者が完全にゲーム側となってしまっていて、プレイヤーはゲーム側が発火させた電気信号とおりに筋肉をうごかす肉体労働者になってしまっている……
……ここが両作をわけるポイントなんじゃないでしょうか。
▽事件とトリックの良し悪しと、推理ゲームとしての良し悪しは違うんだな……
○事件とトリックは良さそうな感じで、新ガジェットのからませかたは早速スゴい
ううむ……。
まず、事件とトリック自体は良さそうな感じでした!
とくにココロスコープによる推理解明部分とのからみかたが面白い。ココロスコープは今作初登場の新ガジェット("遊び")なのですが、第2話にしてさっそく応用編で凄い。
(ココロスコープの機能①は、観測対象がいだくイメージを観測すること。しかしそのイメージは対象の心の乱れにより虚偽が混じり得る。
ココロスコープの機能②は、そうして捉えたイメージが乱れているか否かを数値として算定できること。
どこが乱れているのかをスコープ操作者が人力でつきとめて観測対象にカウンセリングすることで、ノイズの除去された適切なイメージを再取得できるようになります。
さて「ココロスコープの出力するイメージは、たとえノイズが全除去されたものであっても観測対象が認識したイメージに過ぎない」。だから、「真実と異なっているけど当の本人がそうと認識しているイメージについては、ノイズとして表れない」というアクロバットが第2話にして披露されます。アツいぜ!)
(……でもそうなってくると結局、ぼくがさんざモヤモヤした第1話の「被告の証言だけでもって"正しい"はずの法廷証拠が覆されるくだり」は、「被告がそう思い込んでただけで、実際はちがうのでは?」となってしまうのでは?)
事件の大枠について、「変装トリック」に「事態をややこしくする特殊な業界の特殊なルール」という点で、シリーズ過去作『逆転裁判1』第3話「逆転のトノサマン」を思い起こす部分がちょっとありました。
でも勘所はぜんぜん違っていて、新鮮で面白かったです。
(過去エピソード「逆転のトノサマン」では、「"特定の着ぐるみがいたら、その中身は特定のスーツアクターだろう"と決め込むオバチャンの思い込み」と「正義の味方は負けない」という「"ヒーロー番組"の真理を信じる」「トノサマンファンの子の贔屓目」などなどが事態をややこしくするわけですが。
今作第2話「逆転の百鬼夜行」では、「何人たりともマスクを外してはいけない」という「"覆面レスラー"の真理と"マスクの下はいつも通り自分の家族だろう"と信じる、覆面レスラーの純朴な身内」などなどが事態をややこしくします。
さて両エピソードには、目撃者が「この人のコスチュームなのだから、中の人もいつも通りこの人だ」という思い込みに囚われている……という共通点があります。
過去回「逆転のトノサマン」だとその思い込みの解明は前座にすぎず「監視カメラ映像」が出てから本番でした。それに対し、今作第2話「逆転の百鬼夜行」では「序盤に言動的・科学的に精査してあたかも"確定"あつかいされていた情報が、実はまだまだ歪んでいること」が勘所となっています)
○それをどう見せるか/推理ゲームとしてまとめるかがちょっとツラい;法廷パートにおける置物管理職化
ミステリ部分は良い感じっぽいのに、それの見せ方ならびに推理ゲームとしての綴り方がだいぶツラい。
探偵パートでも感じた、やることは決算書にハンコを押すだけであるという置物管理職化の波が法廷にも来ている……!
幾らかの謎解きはあまりにヒントが直接的過ぎて、「指定のタイミングで指定のボタンを押せ!」っていうQTE(クイックタイムイベント)に近いものになっています。
直近のダイアログ・視聴覚情報をプレイヤーにオウム返しさせるだけなんですよね。
……と、迷いようがない。
一言一句引くと以下のような具合。
オドロキ「それで、ロビーに逃げた後は、どうしたんですか?」
クマベエ「衣装を脱ぎ捨てたんだ。着たままじゃヤベエだろ!」
オドロキ「・・・・その衣装、今はどこにあるんでしょうか?」
クマベエ「ううう。オラは知らねえ。オラのせいじゃねえんだあ」
ユガミ「屋敷内はひと通り探させたが、妖怪の衣装なんてなかったぜ」
オドロキ(屋敷の外に、捨てたのかな?)
オドロキ脳内フラッシュバック:白黒のロビー、白黒の新聞「空を飛ぶ天魔太郎!!」
オドロキ(ああ! ひょっとして・・・・!)
サイバンチョ「王泥喜くん、わかったなら、私達にも教えてください」
オドロキ「わ、わかりました・・・・」
オドロキ「熊兵衛さん! 衣装をここに捨てたんじゃないですか?」
プレイアブルパート;ロビーの背景画が表示され、衣装をどこに捨てたかポイントクリックさせる。(「窓」をクリックすると正解)「くらえ!」
オドロキ「窓から捨てたんじゃないですか。だから屋敷内を探しても衣装が見つからなかったんです!」
クマベエ「お、オラが大事な衣装を捨てたってのか! べ、弁償モンじゃねえか! 証拠はあるのかよ!」
オドロキ(証拠か・・・・)
ココネ「先輩! 何か心当たりが?」
オドロキ「・・・・外がガケになってる窓から、あの衣装を捨てたんだよね・・・・。その衣装、その後、どうなったんだろう?」
オドロキ(オレの考えが正しいなら・・・・)
オドロキ「証拠は・・・・・・・・あります!」
クマベエ「え?」
オドロキ「これが、あなたが天魔太郎の衣装を捨てたという証拠です!」
プレイアブルパート;証拠品を"つきつけ"させる。(さきほど白黒フラッシュバックされた「新聞の号外」が正解)
『1』~『3』なら下記くらいの流れで済ませていた気がするんですよ。少なくともzzz_zzzzにとってはこのくらいで良いし、そうなら楽しめたと思います。
~上のくだりについて、zzz_zzzz的には「このくらいでよくね?」て思うライン~
クマベエ「衣装はすっ、脱ぎ捨てっ、警備室に隠したんだあ」
バン「室内はひと通り探したが、そんなものなかったぞ!」
オドロキ「う~ん、いろいろ探し漏らしはあったけどなぁ・・・・」
クマベエ「まっ・・・・間違えた、換気口だった! そのなかの構造はお前らも初耳だっただろ!? そこは探してないだろ?」
サイバンチョ「王泥喜くん。換気口内の捜査を要請しますか?」
・換気口を捜査するよう要請する
・換気口の捜査は要請しない(「後者」を選ぶと下のテキストへ)
サイバンチョ「それではどこを探してもらうというのですか?」
ロビーの背景画が表示、探す箇所をポイントクリックさせる。(「窓」をクリックすると正解)「くらえ!」
オドロキ「室内を探しても仕方ありません。証人は窓の外へ捨てたんです!」
クマベエ「オラがすっ、捨てたってのか! 大事な衣装をまっ、窓に!? べ、弁償モンじゃねえか! 証拠はあるのかよ!」
証拠品を"つきつけ"させる。(「新聞の号外」が正解)
*1:小説にかぎらずドラマ、映画、インタラクティビティが高くない表現形式のもの。
*2:ということにしておいて下さい。一旦……
*3:=「名探偵のスキルはRPGの戦闘力とかと違って、ゲーム内の数値を弄ればどうこうなるものじゃない」
*4:そりゃあ事件によっては、推理・早期解決によって連続殺人鬼の犯行が止まって犠牲者(=含む主人公)が減る(=『かまいたちの夜』)やらもあるでしょうし。真相がわかったり犯人が特定・罪にかけられたりすることで、救われる遺族がいるやら、色々あるんでしょう……でもそれらは、探偵行為全般においてはじめっから見込まれるような目標ではなさそう。
*5:たとえば『新宿鮫』などの作家 大沢在昌さんは『小説講座 売れる作家の全技術』で、「"起承転結"の"結"として考えた謎解きを"承""転"でほどいて、さらなる謎と解決を"結"に入れましょう」と指南していますし……
では、「起」で謎を提示し、「承」「転」とダラダラ説明が続き、「結」の謎解きですべてが明らかになるというミステリーがあったとして、はたして面白いでしょうか。面白いわけがない。「頭の五〇ページと最後の五〇ページを読めばいいじゃん」という話になってしまう。それはクイズであって、小説ではありません。
(略)
「起承転結」のストーリーを考えるとき、皆さんはたぶん一つの謎を考えて、その謎解きを「結」にもってこようとするでしょう。主人公が冒頭で出会った謎を解いて物語が大団円を迎えるという発想をしてしまう。でも、ここでもう一ひねりしてもらいたいのです。「結」で解こうと考えていた謎を、「承」から「転」のパート、全体の三分の二くらいのところで一度解いてしまいましょう。(略)「えっ、これで終わっちゃうの? でも、まだこんなにページが残っているのに、どういうこと?」と。ここで、新しい謎を作ってください。物語をひねって解いて、さらにひねって解く、結び目が二つある二重構造の物語にするわけです。結び目が一つの小説で長編を書こうとすると、どうしても一本調子になるし、ラストまで引っ張るのは難しい。でも、中盤で一度謎が解けて結び目がほどけても、ラスト近くでもう一つ結び目があれば、物語に二重の盛り上がりが生まれます。
KADOKAWA刊(2019年2月25日初版発行の角川文庫版が底本)、大沢在昌『【文庫版】小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない』kindle版68%(位置No.4266中 2852)、「第八回 長編に挑む」(略は引用者による)
……さいきんではもっとアテンションスパンが短そうな気配があります。
おととい6月20日も、作家の円居挽さんがweb小説サイトでミステリーを連載することの難しさについて、以下のようなつぶやきをされておりました。
webでのミステリー、真相から逆算して書かないといけない時点で執筆難度が高いし、問題編を毎話面白くしようとすると更に難度が上がる。一つの解決策は「ライブ感で毎回面白い話書いた上で、解決編で辻褄を合わせ、通して読んでもちゃんと面白いミステリーにする」だが、それも特殊能力
*6:当該番組を見てないので、ぜんぜん的外れなことを言ってしまってるかもしれません。
*7:
出勤すると、プロデューサーから呼び出しの電話が入りました。
(略)
「探偵パートに、新しい要素を追加してほしい‥‥」
‥‥そのヒトコトを聞いた次の瞬間、ぼくの頭の中には"サイコ・ロック"のイメージができあがっていました。
カプコン、『逆転裁判2』公式サイト、巧舟「開発秘話」第5回サイコ・ロック(Internet Archieve収集版)
*8:
『逆転裁判』は、"ウチの母親ですら遊べる"シンプルさが大前提です。
だから、ゲームの中心にあるのは、基本的に《ウソを見破る》という1つのポイントだけ。
それ以上増えてしまったら、母親はもう、ついてこられません。ゼッタイに。
となれば、探偵パートにも《ウソを見破る》要素を盛り込めばいい。カプコン、『逆転裁判2』公式サイト、巧舟「開発秘話」第5回サイコ・ロック(Internet Archieve収集版)
*9:「愚民よ。オレ様の名を知らぬとは、・・・・恥を知るがいい・・・・。」やら、初登場時や原告として登場時になされる選挙演説であることが強調されたダイアログ内の「清木 まさはる」表記やら。
*10:「オレ様の祖父、清木 徳治郎は、偉大なる国会議員だったのだよ」
*11:
アカネ
「1年前の8月25日のことね。盗難届にはこう書かれてるわ。/午前10時頃、清木家の倉庫からキョウコの水晶玉が・・・・/無くなっているのを発見した。鍵はピッキングされていた/清木 政治(まさはる)」
*12:
ココネ「・・・・あれ? キヨキさんの名前、政治(まさはる)ってありますね。」
オドロキ「選挙活動用にひらがなを使ってたんだろうな。読みにくいし。」
*13:
盗難届
清木 政治が1年前に提出。キョウコの水晶球を盗まれたらしい。
*14:見て分かるのは「"ヘッドレスト付の椅子とよりパソコンが少し高く、奥の棚もさらに高いの"はわかるけど、"目撃地点と椅子とにそれらが挟まれる位置にあるのかはイマイチちょっと確証がとれない"……」くらいなところ。
*15:
過去シリーズの類題では、フェアに提示されていた部分(『逆転裁判3』の第3話「逆転のレシピ」とか)
*16:
オドロキ「大きな窓だ。開放感はバツグンだが、外から室内が丸見えだ。
ドゥルク「開放的すぎて、落ち着けそうにないな・・・・。
オドロキ「だけど・・・・/一応デスクのまわりは、目隠しに 本棚が置かれているみたいだ。」
『逆転裁判』6、第5話「逆転の大革命」一日目・探偵パート、「倉院の里 博士の研究室」にて"調べる"さい"窓"をクリックときの会話より(/がメッセージ区切り)
*17:実際なんか、そんな姿勢がいくつかのエピソードで示されたりする。
*18:だってすぐ裁判にかけて対決構図などにもちこんだりせず、捜査を丁寧にすればいいだけなので。