すやすや眠るみたくすらすら書けたら

だらだらなのが悲しい現実。(更新目標;毎月曜)

日記;2020/01/28~02/03

 日記です。8000字くらい。『ミグ25ソ連脱出』読了、『ソ連・ロシアの原子力開発 1930年代から現在まで』『ロシアの旧秘密都市』面白かったですね。ものぐさせず、ユーラシア・ブックレットみんな通常価格で出ていた頃に買えばよかった……。『雪女』最高と知ったのもこの週。

 ※言及したトピックについてネタバレした文章がつづきます。ご注意ください※

 

0128(火)

 宿直明け日で振り休日。日中寝てましたし、夕飯食べてからも寝てました。

 

0129(水)

 ■読みもの■

  ジョン・バロン著『ミグ‐25ソ連脱出 ベレンコは、なぜ祖国を見捨てたか』読書メモ

 ついに読み終わりました~。

 それは何ですか;ヴィクトル・ベレンコの半生の伝記と彼が1976年に起こしたミグ25を函館空港へ着陸させての亡命事件を扱った本です。

 あらすじ;2章まで、3章4~5章の読書メモはそれぞれこちら。6章以降は、アメリカにやってきたベレンコ中尉のカルチャーギャップが描かれたり、ミグ-25の輸送・分析模様、アメリカで生活をし始めたベレンコを襲う郷愁が記されたりしています。(カルチャーギャップについては別の読者のかたがTogetterでまとめられてたりするみたい)

 空母の複雑な航空機離着陸や艦内の教会におどろかされたり、アメリカの農家が私有する旧式の飛行機で曲芸飛行したり、南米の留学生マリア(!)に恋したりする。

 読んだ感想;がぜん物語的なまとまりがつよくなって面白かったですけど、それゆえ「あまり信じすぎないほうが良いのだろうな」とは思いました。「なるほど既読者のかたが言ったのはこういうところかな……?」と。

(ただ、「80年出版だぞ? そこまであからさまなウソをつくか???」とも思い、じっさいそう言われたから書いたんじゃない? という気もする。しかしそもそもこの時代のノンフィクション観がよくわからない。その辺については末部でふれます)

 ミグー25分析は、5章を読んだときに想像したような腹の探り合い/隠し合いという要素はなくなってしまいました。(ざんねん……)

 が、別軸の面白さが出てきたので、これはこれでOKとなりました。「北海道市民の皆様ご迷惑おかけしてすみませんでした(日本語)」的文言の横断幕を機体にかぶせられて空輸されていくミグ-25とか。バラしたまま復元せずにソ連へ送り返すとか。

(ゴネたし期間も数時間数日間じゃないし、もうバラしたことがバレているのはもう大前提として、「ここまでやったったぜ」とアピっていくスタイル

 分析とそこから明らかになる設計・運用思想は、末期の日本軍の航空機みたいな面白さがありました。

 

 ソ連の集団農場でつらい目にあった(り飛行場のロッカールームで仲間の飛行士がキリスト教徒だということを偶然のぞき見してしまったが、かれの素性を秘密にした)ヴィクトルが、日本の田園山々を車窓から見て感心し、アメリカの広大な個人農場で感動する。そしてそこで私有の旧式飛行機に乗せてもらって曲芸飛行をする(。その結果としてヴィクトルが巷で話題の亡命ソ連パイロットだとバレてしまうが、米国の農家はかれの素性を秘密にしてくれた)。

 どこの場面もありそうですし、どれが起こっても何ら不思議ではないんですけど……本にするにあたって情報の整理がされているのはたしかだなあと思います。

 

 時代なのかな?

 最近のノンフィクションものは、たぶん、生っぽさや非物語らしさが重視されるところがあると思います。

(21世紀に入ってからのアメリカ映画界におけるやたらな「実話にもとづく」推し。とくに2004年~13年あたりの、手ブレ手持ちカメラな『ボーン・スプレマシー』以降のP・グリーングラスや『ハート・ロッカー』以降のキャスリン・ビグローが一世を風靡したころが顕著でしたが……「おさまったのかな?」と思った最近でも、主役3人をまんま当事者本人が演じる『15時17分、パリ行き』など、より先鋭化された本物主義が出てきてもいる)

 そうした作品で育ったあと、それ以前の実話にもとづく映画・ノンフィクションを見たり読んだりすると驚くのが、とても現実とは思えないよくできた物語らしさだったりする。(しかも、実際問題として、現実とまったく異なっていたりする)

 たとえば『アポロ13』は、配偶者の予知夢を見るみたいな正直「そ、そうすか……」って思ってしまう展開がある{そして実はこれ、グリーングラスが監督した『キャプテン・フィリップス』原作の伝記にもあったりする(が映画ではカットされた)}。映画『パッチ・アダムス』も、実在人物(しかも存命の現代人)をあつかいながら、不治の病で亡くなる恋人が実在しなかったり(一応、アダムス本人の同性の友人で若くして亡くなったかたがいるらしい)、アダムスを演じたロビン・ウィリアムズの年齢(47歳)にあわせて(アダムス本人は18で高校卒業22で大学卒業し26で医学部を卒業した”ふつうに出来る人”だったのを)歳をめしてから大学へ入った苦労人にしたり……と、大胆な改変がある。

 今作を読んだことで、『アポロ13』やらって実は例外じゃないかもしれないぞ? という印象をいだきました。実際どうなんだろうなあ。

 

0130(木)

 ■読みもの■

  『女性とロシア』読書中メモ

 先週メモをのこした高柳聡子著『ロシアの女性誌』で紹介されていた本です。

 1979年、地下出版で初登場したロシア初のフェミニズム誌『女性とロシア』数巻分の邦訳とインタビューが載せられています。

 『女性とロシア』誌の掲載内容は、ソ連が公式に公表している統計でさえわかる男女の賃金格差や、新生児の数の低下と世間がむけるシングルマザー批判・制度的冷遇といった、「たしかに書かれているだろうな」という記事が書かれているのはもちろんのこと。ソ連らしい(けど公にはならないだろう)女性囚人・収容所の実態についてやモスクワでの暮らしなど、トピックは多岐にわたっていて「へぇ~」となりました。

 『女性とロシア』誌の編集者たちが、家族もろとも逮捕されてるのがえげつないですね。

 

0131(金)

 ■見た夢■

 2本立てでした。1本目のことだけ。

 家族旅行の帰りに新幹線に乗ろうとするも乗り過ごす。

 乗り過ごしたあと、駅員さんから「大丈夫ですよ」といろいろ経路案内を示されるが、その上の言葉はべつに「途中で合流できる駅があるから(大丈夫ですよ)」ではなくて、「電車の経路でもそこまでロスないから(大丈夫ですよ)」で、ぜんぜんだいじょばないのだった。

 この夢の出所ははっきりしていて、「先日のあんこう鍋のときに電車に乗り過ごしたり、乗り遅れたあと経路検索をかけてぬか喜びしたりした記憶が整理されたんだな」とわかります。だというのに、しばらくのあいだ夢だと気づけなかったので不思議です。

 

 起きてからはそこらにほっぽった財布がどうしても見つからなくて小一時間探しました。財布に家の鍵もなにもかも入っているので、ないと大変こまってしまう。

 

 ■読みもの■

  『われらが神経チェルノブイリ』読み終える。

 先週の読書メモに追記。面白かったですね。『ハッカーを追え!』も手に入れたいな。

 

 ■読みもの■

  藤井晴推著『ソ連・ロシアの原子力開発 1930年代から現在まで(ユーラシア・ブックレット) 』読書メモ

  帝政ロシア時代の原子力と科学者とのかかわりメンデレーエフの1902年キュリー夫婦の研究室訪問から、ヴェルナツキーが初代所長をつとめたラジウム研究所設立など)をさらっと振り返ったあと、1940年代から90年代末までの原子力関係開発を概観した本です。

 マンハッタン計画の詳細をしるしたスミス報告などアメリカの原爆関係の書類を諜報機関が入手・翻訳したりして研究した……というのは、まあ読まなくても予想がつくことでしたが、結果的にロシアの核研究の土台として独ソ戦勝利があった、というのは驚きでした。

 ベルリンを占領したソ連は、本国から科学者団を派遣しドイツの研究と進捗を調べ、ついでにドイツがベルギー領コンゴを占領した過去から(コンゴが多く産出していた)ウランがどこかにあるに違いないと、ヒトラー邸ちかくの財産管理機関をあさって他国からの押収品リストを手に入れ、現地ドイツ人に聞き込みをし、ついにベルリンから北西150kmの工場から100トンのウランを発見、ソ連に持ち帰ったりしたそう。

 

 アメリカとの関わりでも、「すごっ!」と思ったところとしては、ロシア本国の原子力研究者{G・N・フロリョフ(本にはフリョロフと記された文もある。どっち?)とK・A・ペテロジャック}がじぶんの論文を発表してもぜんぜん反響がなかったことをいぶかしみ、海外の学会誌を注意ぶかく振り返った結果、ウラン関係の論文がWW2以降めっきりなくなっていることに気づき、欧米でウラン研究が国家機密となったことを悟った(そしてスターリンへ手紙を送った)……なんてエピソード。

 

 はじめての原子炉が試運転を終えた当直作業日誌に、イーゴリ・V・クルチャートフが残したメッセージがすくわれたりとか、かなり楽しかったです。

「当直主任諸君! 水の供給が停止した場合,爆発が起きるだろう。従っていかなる状態下にあろうとも水を絶やしてはならない。非常タンク内の水のレベルとポンプ場の作動に留意すること」。

(略)

 この黒鉛チャンネル型原子炉が発電用原子炉に発展してゆくが,その段階で十分な改造の検討をしなかったのが,チェルノブイリ事故の遠因であったと言われている。

   藤井晴推著『ソ連・ロシアの原子力開発 1930年代から現在まで(ユーラシア・ブックレット) 』p.18

  問題がわかっていても「まあ、大丈夫だろう……」と大丈夫なことにして変わらないのは、個人レベルでも思うところがありすぎて、読んでいてつらい。

 

0201(土)

 勤務日。

 ■読みもの■

  大西科学著『ふるさとは時遠く』読書メモ

 今作を収録した創元SF文庫『拡張幻想(年刊日本SF傑作選)』、徳間文庫『短篇ベストコレクション 現代の小説2012』はどれも絶版みたいです。

 どんな作品?;高所であればあるほど時間の流れが速くなってしまった世界の新首都・高京でサラリーマンをして暮らす主人公の、7年ぶりとなる海辺の実家への里帰りを描いた作品です。

 読んだ感想;小林泰三著『海を見る人』みたく時の流れの異なりが光学的な歪みとして世界観をねじまげ(これについては本作の説明ではないのですが、前野昌弘氏の『海を見る人』勝手に科学解説が勉強になります)、社会レベルに拡大されたかたちでさまざまな変化があらわれています(。『海を見る人』の少女が一言ふれた「時間流のちがいから宿題は1階でなく上階でやる」が、今作では家庭を超え世界規模で適用された姿が描かれる)。陸海空の航路や、数日ごとに昼夜がかわる特異な日照サイクルの高京での新たな食料対策などさまざま変化があらわれています。

 劇中特異現象は、置き去りにした青春時代のあれやこれやが当時そのままのかたちで残ってしまった、まるで中年の危機のアナロジーのよう。

 また、色彩設計の美しい作品で、劇中高地では味わえなくなった低地の眩い日の光のもと、古くなったコンクリートに白い砂浜、ローカル線、白い帽子に白いサマードレスなど淡色の物々のなか、ワンポイント的に登場する姉の赤い口紅や過去の恋人の桃色の便箋が印象にのこります。

 

 

0202(日)

 宿直日。

 ■社交■

  久々スイッチを複数人プレイ

 高校からの友人S氏から突然の電話があり、1時間余かけて徒歩で家までやってきたので、てきとうに遊びました。小学生かな?

 S氏はどこか寄るつもりではなく手持ちも100円ないくらいだったので(小学生かな?)、「昼飯でも食べていきなよ」と言ったはいいものの、スパゲッティは麺はあれどレトルトソースが手持ちにありませんでした。

 料理しないマンの味方、玉ねぎ+にんにく+しめじ+ベーコンを炒めめんつゆをからめる和風スパゲッティをつくりました。3.5人前をつくり、「気が乗らないようであれば」とカップ麺もえらべる自由度を確保。

 わりあい好評で、

「にんにくがフレッシュだね」

 と褒められました。(小学生以下の料理スキル)明日おなかを壊しちゃったらごめんねS氏……。

 

 食後はゲームをしました。

 ンテンドーlaboロボキット』は誤セッティングでS氏に十二分な楽しみを提供できませんでした。(はじめは単純な勘違いで、勘違いを解消したあとも、メカを傷つけたくない気持ちから充分なテンションをかけられなかった)

 「zzz_zzzzくんもやってみて」と交代したら、次の日筋肉痛になってしまいました。

 リオカート8』(ハンドルコントローラでプレイ)は、S氏は『マリオカート』シリーズ自体は既プレイで、ドリフトのやりかたなどもわかっていた。ただ、コースも増えたこともあってか初心者だと100ccでもうまく勝ち上がれないこともあるんだなと勉強になった。

 バトルとちがって、レースゲームは二人プレイだと、実力が伯仲しないかぎりはそこまでカチ合うことがないので、"一緒にやってる"感がそこなわれてしまうかもしれないと思いました。

 ARMSJoy-Conいいね持ちプレイ)は、2人で難易度1(いちばん簡単)グランプリモードを一周しました。3試合ごとにミニゲーム的な特殊ルール戦がくるモードですが、3試合するまえにS氏は眠たくなっていたみたいでした。
 ぼくにとって『ARMS』は、一人プレイ用モードの難易度3あたりで攻撃がとおらなくなり放り投げてしまっていたゲームです。久々のプレイでは(有って無いような)蓄積もゼロとなって難易度1なのにS氏より早く沈んだりしましたが、しばらくすると余裕に。

 Co-op後に「いや難易度上げるとCPU激ツヨだから? ナメんなし?」とCPUの尊厳を取り戻すために再プレイした最高難度でも、意外といけてしまう。

「まえやったときの無理ゲー感はなんだったの?」と思える匙加減になっていました。

 どうやら甥っ子たちが遊んでいたときに強い武器を手に入れてくれていたようです。

 

{攻守を一挙におこなえるみたいな装備がゲットされていて、前と変わらぬ(というかノウハウが抜けてもっと弱体化した)脳筋プレイでも攻撃が通る通る}

 ただまあ、勝ったところでストーリー自体は(ストーリーというか……)かわらないので(多分)、なにかストーリーが開示されるわけでもなし、修行を延々している気分はついて回りました。

  なんだかんだ15時まえにはS氏は帰りました。

 ■読みもの■

  石黒達昌『雪女』読書メモ

 あらすじや内容は伴名練氏運営の『石黒達昌ファンブログ』の記事がよろしいかと。リンク先で語られていること以外でぼくが驚いたのが、活劇としてめっちゃ面白いということでした。

 『雪女』は、低体温症の女の保護・観察にあたった医師の手記と助手である看護師の証言とを混ぜ合わせた主役らの活動を主軸に、さまざまな劇中資料(先述手記・証言以外にも、研究記録や日誌、地元民の証言や実在小説の文面など)を渉猟した研究論文・評伝的な作品なのですが、キャラの動き・小道具の転がしかたがすさまじく練られていて読んでいて楽しい。

 

 最初Aというかたちで用いられた小道具が、つぎにB、さらにCと、前段からは予想だにしないかたちで再登場・再利用されることとなる。

 白い肌の白髪の女という様相が、いったい何度転がされたことだろう。

 石黒氏の熱心なファンである伴名氏の『美亜羽へ贈る拳銃』が「聖書」を本来的な読むものとして以外に(読ませるため書き、出版したものとして以外に)活用してみせたように、石黒氏の『雪女』も、事物が本来的な役割とはことなるかたちで活用されてみせます。何度も。

 

 上述の興奮とはまたちょっと違うのですが、情報を提示する順番と人物像との変化がなめらかでおもしろい。

 『雪女』はまず「体質性低体温症」の一容態として、

「また時として、肌の色が白く白髪であるアルビニズムと呼ばれる色素産生異常を合併する例も見られることがあり、」

 と出。つぎに雑用仕事中の兵士が見つけた「昏睡状態になったらしい」急病人の見た目として、

「白髪であり、顔も蒼白で、体幹の硬直すら見られていたとカルテには」

 と出、凍死体とむすびつけられている。ここまではしばらく身体的・医学的な文章がつづきます。

 急病人が復調すると、記憶喪失であるなど彼女へミステリアスな要素がつけられると共に(この時点では医学的なアレであり、便宜上つけられた仮名も医師の名字をもじったもので、研究者が新しい発見に自分の名前を付けただけのように思える)、記憶喪失にたいする当時の治療として一般的な連想法によって、さらなるミステリアスな(しかし彼女自身の言葉である)雰囲気が醸成されます。

 こうした展開ののち劇中舞台の出身者である葛西善蔵の『雪おんな』の一節が引かれ、

「この時のこの世ならぬ美しさの、真白な姿の雪おんなは、」

 と、はじめてポジティブな(しかしミステリアスな)意味とむすびつけられる。ここまで来て、ようやく医者と患者から男女の関係が噂されるゴシップが記述されるようになり、そしてそれ以上に、怪談的な向きがつよまってくる。医者が女につけた名前は、前述『雪おんな』雪女伝承とむすびつけられ、(白肌)白髪はここで妖の者としての烙印のような意味合いを帯び、迫害の対象となる。

 医者患者たちの実働にたいして、並置される疑似(or実在)資料の提示がなめらかで、気持ちよいのでした。

 それでいて実働と疑似(or実在)資料との関係性は、べつに相補関係というだけでもなくて、ときには対置となったりもし、読者にさきを読ませません。そこも巧みです。

{医学的に常識的な行動をした結果、劇中の特殊な患者を窮地におちいらせてしまう……とか。『雪おんな』では男が女を(その主張ともども)ガン無視した(結果なにごともなかった)のに対して、現場の医師は女の声を訊いてしまっている……とか}

 

 ここからは最初に言った活劇的な手管についてなので、読みたくない人はブラウザバックしていただきたい。(ここから白字→)上記の風評被害対策として、医師らは患者の白髪を黒髪へ染めさせます。しかし噂は知れ渡ったあとで何も効果がなく、患者を保護している医療所の窓が割られる……といった具合にお話は続くのですが、ここでサクっと流された(し「無駄だった」旨が記され、読者であるぼくとしては記憶のゴミ箱に入れた)それがのちの展開で活きてくるんですよね。めっちゃ興奮しました。(←ここまで)

 

0202(月)

 宿直明け日。

 帰宅後『SIREN』実況配信に間に合うも夕ご飯を食べたら眠気がきて21時まで寝てしまい、途中を見逃してしまいました。

 24時過ぎに眠ろうとしたところ、財布がないことに気づきしばらく探し、なんだかんだ寝るのが25時になってしまいました。

 ■読みもの■

  片桐俊浩著『ロシアの旧秘密都市 (ユーラシア・ブックレット) 』読書メモ

 ひと昔まえのロシアでは、原子力・ミサイル関係など国家の存亡にかかわる産業を地方地方に集約して、そのうえで地図に載せないようするなど秘匿化していました。今著は、ロシア語文献や住民への取材をもとに旧秘密都市のありようをひもといた本です。

「秘密都市ってじっさいのところどう定義されてるものなの?」

「秘密都市にどうやって就職するの? 書類仕事とかはどのような記載をするの?」

 そんな疑問に片桐氏は、「閉鎖行政領域体に関するロシア連邦法」を引いたり、当事者の声を引いたりして具体的に答えてくれるのが嬉しいですね。

 片桐氏の論文のうち、10の核閉鎖都市についてあつかった『冷戦の内部構造-ソ連・ロシアに内在する冷戦産業の実態-』は、『21世紀COEプログラム「スラブ・ユーラシア学の構築」研究報告集』No.14「ロシア外交の現在 II」にて公開されているので、ぼくたちも氏の研究の一端を学べます。

 リンク先論文にも……

サロフ(アルザマス16)は16世紀以来知られる有名な修道院の跡地で、帝政ロシア時代にはニコライ2世をはじめとする皇帝一家もこの地を訪れている。ボリシェヴィキによって1920年代に修道院が廃止された後も、労働コミューンや収容所が置かれた。収容所は1938年10月12日のソ連邦人民委員会議決議により、機械製造人民委員部へ移管され7、1939年7月10日には、ソ連邦人民委員会議付属国防委員会が、サロフ修道院の跡地に152mm砲弾工場の建設を決めた8

   片桐俊浩著『冷戦の内部構造-ソ連・ロシアに内在する冷戦産業の実態-』より

 ……といった文面があるとおり、『ロシアの旧秘密都市 (ユーラシア・ブックレット) 』でも、秘密都市となるまえの時分からふまえた都市のなりたちが記されていて(『ロシアの旧秘密都市』ではさらに詳細に、アルザマス16については9世紀から振り返ります)、(うえの論文の説明にとどまらず)そこからさらに「兵器工場の勤務体系は?(=12時間労働2交代制でした)」「都市内の商店数は? 幼稚園はあったの?p.26など「治安は? =初期は一部囚人が都市内でも無法をはたらいたので、長期受刑者が都市から排除され、50年代後半には囚人動員自体が解体された」(p.18要約)実際の生活空間としてどうなのかも触れられています。

(ほかの都市なら「ズラトウスト36では住民向けのテレビ局とラジオ局があった」「秘密都市に就職して初めてキャビアを口にする人もいた」p.19とか)

 これは、近しいトピックを扱うユーラシア・ブックレットの他書{藤井晴雄著『ソ連・ロシアの原子力開発―1930年代から現在まで』、藤井晴雄&西条泰博著『原子力大国ロシア―秘密都市・チェルノブイリ原発ビジネス』}には見られない細部です。