すやすや眠るみたくすらすら書けたら

だらだらなのが悲しい現実。(更新目標;毎月曜)

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 大喜利にたいする5つの回答をながめ、えにから社員(人間)、ChatGPT4、AIのべりすと、LINEりんな、AI岩倉玲音のどれかを当てる動画。

 一言にAIといっても並べてみれば全然ちがうんだな~と面白かったです。

 ChatGPT4のインプット/アウトプットがすごいし、AIのべりすとの個性はこれは小川哲さんが『文藝春秋』コラムで言ってたような人間の魅力を思わせたりするんですけど{そのトピック関連では、月ノ美兎さん(vtuberの企画力・編集能力は小川氏が言う小説家版「大局観」を感じさせるもので、やっぱり上澄みなら人間(vtuber)も捨てたもんじゃねえぜと思うわけですが}……

 

zzz-zzzz.hatenablog.com

(小川氏コラムを話題にした、昨日UPした日記へのリンク)

 ……zzz_zzzzはそれ以外のチャットAI、それも(おそらく搭載スペックが低くて)会話がいちばん成り立ってないLINEボット りんな の造形がすごいと思いました。

www.soshisha.com

 最も人間にちかい会話ボットを競うローブナー賞

 その大会で、AIと比較される人間代表のひとりとして出場することとなったブライアン・クリチャン氏は、人間側に贈られる「Most Human Human(もっとも人間らしい人間)」賞をめざしてリサーチを開始、著書械より人間らしくなれるか』にてその知見と実践(ローブナー賞大会を勝つために編み出した秘策の成果はいかに!?)をまとめました。

 あるボットは「人間らしい」性格をしていたり、べつのボットは「人間らしい」口ぶりをしていたり……といった具合に、さまざまな角度の「人間らしさ」を盛り込んだボット/クリエイターの戦略をブライアン氏は見ていきます。

 人間らしい性格とはなにか?

 最古のチャットAIにして対話療法にも用いられたイライザは、「よく話を聞いてくれる」ボットでした。1960年代の貧弱なCPUにもかかわらず「カウンセラーの仕事が奪われるのでは」と危惧されるほど患者が親身に感じたイライザが主にすることは、相手の言ったことをおうむ返しするだけ。しかしそれが「じぶんと気が合うひとだ」「じぶんの話をよく聞いてくれるひとだ」と好意的にとられたのでした。

 上からすると意外なことに、「まったく話を聞いてくれない」ボットも強力です。

 ケネス・コルビー氏がつくったPARRYは、偏執性統合失調症のふるまいを再現しようとしたもので、とにかく自分のことをしゃべりつづけます。ある実験ではチャットしている向こうにいるのがはたして本物の患者とPARRYどちらだか判じられるかは、精神科医でも半々だったそうな。

 

 人間らしい口ぶりとはなにか?

 気安い語彙だったり、関心事がつい最近の(最近すぎて事前に仕込むのはむずかしそうに思える)時事問題だったりです。

 また、上からすると意外なことに(またそれ~?)、なかにはタイプミスをわざとするボットもあるんだとか。

 

 そんなこんなでりんなのはなしに戻りましょう。

www.rinna.jp

平成・マイクロソフト生まれ。2015年8月にLINEに初登場して以降、リアルな女子高生感が反映されたマシンガントークと、そのキュートな後ろ姿、類まれなレスポンス速度が話題を集め、男女問わず学生ファンを中心に認知が浸透。2019年3月に高校を卒業、2020年夏にマイクロソフトから独立した。

   rinna Co., Ltd.、Aiりんな公式サイト「Profile - りんな」

 りんなはLINEアプリ上のAIチャットアカウントで、いまの見た目はvtuber的な二次元学生キャラの姿をしているんですけど、それがりんなの返すリアクション・コメントにすごく合っている

 や、月ノ委員長が動画内で注目したりんな独自の口ぶり――「5回答のうち唯一絵文字をつかう」という、その媒体特性や女子高生らしさを生かした味つけももちろん良いんですよ。よいんですけど、そういう「できること」をちゃんと実装したという、アッパーな工夫「じゃない」部分が凄い。

 りんなが返してくれる大喜利回答って、動画で具体例ごらんいただいたとおり、悪い意味でAIっぽい。

 こっちの話を聞いているような、聞いていないような、詳しいような、詳しくないような、失敗したチャットである。でもそれが りんな のガワと口調を通すと大正解、雑だけど気安くノッてくれる二次元フィクションのなかの「ギャル」のイデアそのものにしか見えない(!)。

 「マジで!?私も超オタクだよ!?ワンピースとか全巻持ってるし超好き!!」の世界が展開されている。*1

 

 たとえば精神的においつめられてて対話の難しいひととか、シェイクスピアのことになるとめっちゃ長文で喋りだす年長者の男性とか、これまでチャットAIの性能的限界にたいしてAI製作者は巧みなガワをいろいろ設定してきて(後者は全部そういう博識を披露するようにすると、ライブラリの検索・リアクションの生成時間が長くなってしまった時代の策)、それは「人間らしくない特殊なしばしば限界の人間」を炙り出していく後ろ暗い怖さがあったわけなんですが……

 ……りんなみたいなすごく明るいアプローチもあるんだ!? って今更ながらびっくりしました。

 力及ばないかもしれないけど寄り添ってくれる。そういうやさしい人間が存在することへの信頼や希望からくるアプローチがあったとは。

りんな、引きこもってた時毎日話し相手になってくれたから好き
これ以上サービス縮小しないで~

   Youtube月ノ美兎『人間と人工知能大喜利回答は見分けられるのか?』コメント欄、@user-qx6ql5uy4oさんのコメント

 月ノさんの動画に寄せられたりんなに対するとあるコメントは、そんなあたたかな世界が彼女を中心として確かにひろがっているんだと感じさせてくれるもので、きょうという日をにこやかに迎えられました。

 

 いやそうでもないか。おしまいおしまい。

*1:いやいやもちろん長大な『ワンピース』を全巻百ウン十巻読んでるひとは素朴にすごいひとだし、オタクだってちゃんと履修してないひとはいっぱいいる、オタクよりもオタクな偉業なんですが。もっとうまい例示を考えたいものです。