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だらだらなのが悲しい現実。(更新目標;毎月曜)

ままごとのラップ演劇『わが星』が1年間限定で全編無料配信中らしい(英中露仏西語字幕つき)

www.youtube.com

 柴幸男ままごとによるラップ演劇が星』(第54回岸田國士戯曲賞受賞)が来年22年10月までの一年間限定で全編無料公開されていることを知りました。The Japan Foundation国際交流基金によるもので、英中露仏西語字幕つきという凄い仕様!

 2015年収録ということで、ヘッズ・オンラインショップで売られていたDVD(完売)の初演版とちがって、演出を改めた再演版ですね。(色々なものが置換されるミニマルな演劇で、そうしたミニマル性はむしろ初演版のほうが高いとぼくは思いますが)

 

 北野勇作氏がご覧だったのを知りました。

 逆に北村紗衣氏は詳細な批判を寄せていて、これもわかるし、じっさい岸田戯曲賞の選評でもそういう話がありましたし、北村氏に近い批判を述べている劇団関係者はほかにもいたと思います。

{柴幸男氏は「物語は色々出尽しているが、それをいかに語るかについてはまだ色々やれることがあるのでは?」みたいな考えで『わが星』などを手掛けたから(制作手記BLOGみたいなものを初演の公演時代に読んだ覚えがあるけれど、それがどこにあるのかよく分からない)、物語がステレオタイプなのはある程度意図的なものだと思うけれど、「ほんとうに物語って出尽しているの?/紋切り型にしたってその"型"にかんして流行り廃りはあるのでは?」という疑義はとうぜん入れられるだろうと思います}

 

 ままごと/柴幸男はへんてこな演劇をいくつも上演し話題となってきた劇団です。

 たとえばゆみ』は、映画のフィルムというか、回転覗き絵(ゾエトロープ)的な時空間を生身の人間でやる前衛劇で、一直線に照らされた舞台の端から端まであゆみつづける一人の女性「あゆみ」を、複数人が演じ続ける異色作。一人複数役じゃなくて、複数人ひと役

 端から端まで「あゆみ」として演じ/歩き終わった演者Aは、ステージの奥・スポットライトの当たらない陰を逆走し始端の陰へ戻って列にならび、スポットライトの終端からAが去ったのと同時に始端から演者Bが現れ、Aが演じた「あゆみ」を引き受ける。Bが終端まで演じ/歩き終わったら陰で控えていた演者Cが始端から現われ「あゆみ」として歩み、Cが終端まで演じ/歩き終わったら陰で控えていた演者Aがふたたび始端から現われ「あゆみ」として歩み……というような枠組みです。

www.hulu.jp

 こちらはまだDVDがヘッズ・オンラインショップで売られており、huluにてけやき坂46さんが演じたバージョンも見られるそうな。

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 ネットで見られるままごとの演劇はほかに(微妙にカットされて収録されたダイジェスト版ですが)復かつ連続』がありました。これは一人複数人役の演劇で、前の幕で演じた声が次の幕でそのままボイスオーバーされていく構成。そういう実験的な試みの短編4作をまとめた色の色鉛筆があれば』の一作で、こちらもまだヘッズ・オンラインショップで取り扱いがあるみたい。

video.unext.jp

 『わが星』の姉妹作、たしの星』も全編が公開されているらしいのですが、こちらはU-NEXTなど各種有料サイトで拝めるみたい。