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だらだらなのが悲しい現実。(更新目標;毎月曜)

中庸という曖昧な苦味;ぼくが『FF16』のRPG部分を辛く感じる理由

 『ARMORED CORE6』FINAL FANTASY 16』よりも遥かに死にやすい難しいゲームだが、より簡単なハズの『FF16』のほうが遥かに「おれってゲーム下手……」と自覚させられ・萎えることが多い。

 これがじぶんの印象で、「『AC6』ってすごいな」とそちらについて色々考えてきたんですけど、ゼルダBotW>シリーズ(簡単かつ爽快)とあわせてウンウンしてると、

「むしろこれは『FF16』が特異な作品で、そちらをよく見ていったほうがスッキリするんじゃないか」

 と思えてきました。内容はまぁ結局「帯に短し襷に流し」の一言で済むやつ!

 

 

序文

 「FF16で全滅リトライした時に回復薬フル補充に文句言ってたレビュワーはAC6にも苦言を呈してくださいね」……たしかに、いやでも全然ちがくない?

 アーマード・コア6』発売当時、𝕏でこんな呟きを拝聴しました。

 なるほど確かに……! とzzz_zzzzは頷きかけたのですが、

「いやでも、『FF16』の全滅リトライはけっこう萎えるけど、それより遥かに難しいハズの『AC6』はそこについてのストレスを覚えたことないぞ? この違いはなんだろう」

 と思い直しました。

 考えてみるに『FF16』のアクションRPGパートは、カジュアルプレイヤーもアクション下手でもプレイしたいプレイヤーもアクション上手なコアゲーマーも、どの層も満足させようとした結果、下の上くらいの中間層にとって難しい作品となってしまったのではないでしょうか?

 

 

 前提;おれの腕前

 ・『FF16』ストーリークリア(クリアトロフィの取得率はPS5版購入者のうち49%*1、リスキーモブ全討伐、《石塔の試練》(=回復・補助アイテム持ち込み禁止&スキルセット固定の連戦ステージ)一か所だけクリア(このブロンズトロフィ「巧者の証」取得率は18.9%)

 ・『AC6』ストーリー全ルートクリア(このトロフィ取得率はPS5版購入者のうち25.5%)・全ミッションクリアはしたけど(24.4%)、Sランククリアは無理。

 

(↓雑魚戦といえど、ストーリー終盤なのでネタバレ注意です)

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 ジャスト回避(プレシジョン・ドッジ)はできるけどパリィは難しく、初見の複数回攻撃技を初見対処(適切なプレシジョン・ドッジから適切な回数で反撃終了)は無理で、マジックバーストは半分くらい漏れがち。

 Lv.差10くらいあるフィールド雑魚モンスターが、セットしてるアビリティほぼ全部使ってもなお倒せ切れないのダル~~ッという人間。

 

本文

 クエストの性質、それにより生じるプレイヤーの所感

 ゼルダBotW>シリーズは持ち込み自由のハイキングで、『FF16』適度な苦しみが長くつづく(山場に補給地点がない)マラソン『AC6』必死な(だけど山場に補給地点がある)スプリント

  ゼルダBotW>シリーズ(=途中離脱⇄再開可能な強制力のひくいハイキング)

途中離脱⇄再開可能な強制力のひくいハイキング

 ・ステータスや武器防具は自由入手。回復薬などの所持上限はゆるい。(第一ステージを、MAXHPに育った強靭な肉体で伝説の武器を握って挑むこともできる)

・道中(序盤)で死に、ボス戦はそこまで。

 ・ボス戦まえの全回復・物資フル補充小部屋はナシ

  ・リトライはボス戦突入前の地点で戦前の体力&物資で復帰。(体力1欠け・リンゴ3個でボス戦に挑みリンゴ使い切ってゲームオーバーしたら、リトライ時体力1欠け・物資リンゴ3個)

 

 ……結果、たとえばボス戦でゲームオーバー・リトライしても、リトライ前後で物資に差はない。つまりプレイヤーは(一度クリアした)道中ステージを(再挑戦時もクリアしたものとして)省略する、時間短縮・労力省略措置として<ゼルダBotW>のリトライを受け止めることとなる。

 

 

  『AC6』(=死ぬのが当たり前の短距離スプリント)

死ぬのが当たり前の短距離スプリント

 ・ステータスや武器防具や回復薬などの所持上限に都度レベルキャップがあり、持ち込める物資には限りがある。

 ・ダメージが増減する属性相性があり、有利属性の装備で挑むなどができる。

・リトライは物資フル補充状態。

・道中で死に、ボス戦でめっちゃ死ぬ。

 ・一番詰まるポイントはボス戦。(何度もリトライした)

  ・ボス戦まえの小部屋で全回復・物資フル補充できる。

   ・ボス戦でゲームオーバー時のリトライ地点は前述の小部屋。第二形態があるボスでも第一形態からやり直しとなる。

 ・道中で死んで途中のチェックポイントでリトライした場合、ノーコンティニュー時よりも物資が多くなる可能性はある。

  ・道中は大体「そりゃ初見じゃ死んじゃったけど、ボス前小部屋までノーコンで多分いけっし……」くらいの歯応え。

 

 ……結果、たとえばボス戦でゲームオーバー・リトライしても、リトライ前後で物資に差はない。つまりプレイヤーは、(一度クリアした)道中ステージを(再挑戦時もクリアしたものとして)省略するだけの時間短縮・労力省略措置として『AC6』ボス戦のリトライを受け止めることとなる。

 

 

  『FF16』(=クエスト初めに持ち込んだ物資をクリアまでに維持していくマラソン

エスト初めに持ち込んだ物資をクリアまでに維持していくマラソン

 ・ステータスや武器防具や回復薬などの所持上限に都度レベルキャップがあり、持ち込める物資には限りがある。

 ・アイテムの使い控えが発生しやすい=初見技や凡ミスによる事故死がおこる。

 ・ダメージが増減する属性相性はなく、アビリティの幅はコンボを練るアクション巧者用。

・リトライは物資フル補充状態。

・一番詰まるポイントはボス戦。(一度リトライするかしないか位)

 ・ボス戦まえの全回復・物資フル補充小部屋はナシ。

  ・ボス戦でゲームオーバー時のリトライ地点はその時々。第二形態があるボスなら第二形態から。

 

 

 ……結果、たとえばボス戦でゲームオーバー・リトライすると、リトライ前よりも後のほうが物資が豊かになる。つまりプレイヤー(俺です)はその差にゲームシステム側からの「お前がまたゲームオーバーしないよう、色付けておきました」というメッセージを暗に受けとることとなる。

 

 

 戦闘システムの性質、それにより生じるプレイヤーの所感

 <ゼルダBotW>シリーズはパリィ有・しやすい爽快戦闘、『FF16』はパリィ有(パーフェクトとの二段階)スタミナゲージ有両取り戦闘、『AC6』はスタミナゲージ有じりじり戦闘

  ゼルダBotW>シリーズ(パリィ成功=反撃。爽快かつ差別化された攻守のリズム・意識転換)

パリィ有り(※ジャスト回避orガード)

 ・特定タイミングで回避ボタンを押すと、敵の行動をキャンセルさせることができる。

・スタミナゲージ無し

 

 ……結果、プレイヤーは(連続)攻撃されたらまず避けることだけに集中する。そしてどこかのタイミングでジャスト回避を一度でも成功させれば一発逆転、攻撃ボタンを好き放題連打する……という、爽快かつハッキリ差別化された攻守のリズム・意識転換のタイミングが生まれている。

 

 

  『AC6』(スタミナ削りきる=反撃。ジリジリしつつも差別化された攻守のリズム・意識転換)

・パリィ無し

 (バリアを張ることと、特定タイミングでバリアを張ったさい被ダメージ軽減率がアップはするけど、それによって敵の行動がキャンセルされることはない)

スタミナゲージ有り

 

 ……結果、敵の短く弱そうな攻撃には軽めの警戒とあっさりめの反撃でやりすごし、長く強そうな攻撃(≒後隙のおおきそうな攻撃)には重めの警戒とながめの反撃を返し。ついにスタミナゲージを削り切ってダウン状態にしたあかつきには、クールタイムの長さから使用をひかえて溜めていた重装備も駆使して連打をかける……という、じっくり"守"で耐え"攻"に備えるヒリヒリとした緊張感ある攻守のリズム・ハッキリした意識転換のタイミングが生まれている。

 

 

  『FF16』(パリィしてスタミナゲージ削ってまたパリィして…長期におよぶ攻守曖昧な緊張感)

パリィ有り(二種)

 ・難度*2ジャスト回避(特定タイミングで回避ボタン)は、成功直後の攻撃がカウンター判定となり、より多くのHPとスタミナを削る。<ゼルダBotW>のジャスト回避と同じくらいの難度。

 ・難度のパリィ(特定タイミングで攻撃ボタン)は、成功直後の攻撃がカウンター判定なうえ、敵の行動を中断させる。

  ・パリィの入力有効時間は0.22秒(13フレーム)格闘ゲーム(『ストリートファイター6』。パリィボタンを押した入力直後2フレームだけ有効な「ジャストパリィ」との比較)の6.5倍余、ジャンルプロパーなアクションゲームの3倍余とやさしめ。

  {※ただし猶予が一瞬の『SF6』のジャストパリィは、入力が遅れた場合パリィに化ける保険付き(失敗=被ダメージじゃない)

 

スタミナゲージ有り

 ・難度のマジックバースト(攻撃中特定のタイミングで魔法ボタン)は、全成功だと4連撃の通常攻撃が8連撃まで延び、より多くのHPとスタミナを削る。

 

 ……結果、なんかいろいろややこいことになっている

 

 このシステムにおいてプレイヤーの理想行動としては、パリィ(ジャスト回避)をしつつカウンターで8連撃返したい。

 ……行ないたいのだが、半端な人間性能のぬるゲーマーにとってパリィはわりと難度が高いし後述のとおりリターン以上にペナルティがつらい。

 そんなわけでジャスト回避でお茶を濁すことになるのだが、ジャスト回避では敵の行動を中断させられないから、もし避けた敵の攻撃がコンボ技の途中の一打であった場合は逆に"カウンターのカウンター"をもらってこちらがピンチとなってしまう。

 敵からの二打目も避けられるタイミングでこちらの反撃する手を止めればいいのだが、それくらい入力猶予ギリギリのゆったりコンボを決められるようなテクニックは、ぬるゲーマーにはない。

 また、プレイヤーとしてはコンボをキメれられれば(HPや)スタミナをより大きく削れるから連撃したい。その結果、敵からの二打目三打目を食らいやすくなり、しかもコンボしたい期待を折られるかたちとなるので、より一層萎えることとなる。

 

「ならちゃんと敵の行動を中断させるパリィをとって、気が済むまで反撃すればいいんじゃないか?」

 回避ボタンで行なうジャスト回避とちがって、攻撃ボタンで行なうパリィは失敗するとほぼ被ダメージとなってしまう。クエスト中に回復アイテムのなかなかポップしないマラソン式冒険でダメージをもらうのはペナルティが重い。アクションゲーム下手は、取りたくても取れない選択肢だ。

「じゃあジャスト回避と、どんな追撃が待っていようと避けれるくらいほんのりとした反撃をコツコツ入れていけばいいじゃん」

 『FF16』の高めのHPと渋めのダメージでそれをすると日は暮れ月は沈み、長時間のプレイとなり疲れてしまう。

 そしてこの"ほんのりコツコツ反撃"は、たとえば毒武器による状態異常ダメージで耐久するプレイなどと似て非なるもので、じぶんが積極的に好んで選んだプレイスタイルではない。「プレイ下手だからこうするしかない」という消去法で取らざるを得なかったもの。

 

 ……そんな具合に、『FF16』がいろんなかたちで採った中庸的なシステムは、中途半端な腕前のゲーム下手にとって一番こたえる苦味となってしまっているのではないでしょうか。

 

 

 

 

*1:2024年9月4日現在

*2:『CEDEC2023』コンバットディレクター鈴木良太氏の講演より。