日記です。5500字くらい。『それゆけ 学級委員長』公開うれしい。『ゴジラS.P』制作発表、公開がたのしみという週。
※言及したトピックについてネタバレした文章がつづきます。ご注意ください※
1006(火)
先週観た宇宙人狼がどうなるのか、動静を追っていました。
1007(水)
仕事休み。寝て過ごしました。
■観たもの■
vtuber『月ノ美兎「それゆけ!学級委員長」MV』を観ました
いちから社の運営するバーチャルYoutuber団体にじさんじに所属する月ノ美兎委員長。委員長のソニー・SACRA MUSICからメジャーデビュー曲『それゆけ! 学級委員長』のCD発売・MV公開されたので観ました。
作詞作曲はササキトモコ師!
年明け早々のアイマス記事でも委員長がその歌の面白さを語ったササキトモコ師。
よかったですね……。
ササキ師のライナーノーツ的記事も公開されています。
見た目は現実味がない「あっち側」の姿なのに、
「こっち側」の中の人の個性で展開してゆく世界。
声優さんとキャラの関係性とは全然違う。
配信中に「位置調整しますねー」とか
「聞こえてますかー?」とか、不思議な時間があるんです。
そこが、実は本当に「あっち側」が存在して、
「こっち側」とコンタクトしてるのでは?
と思わせてくれるところが、わたし的にはかなりグッときました!
それもどうしても歌にいれたくて、いれました!
ゴラトモ掲載、「それゆけ!学級委員長」リリース!より
PVはここまでの配信であれこれ見てきたものを彷彿とさせるネタの数々で、自然とにやにやしちゃいますね。(バンクと化したサビのアニメも好き)
去年~今年に地上波TVでも広告が打たれた委員長のメジャーデビュー特報があれでなにだったわけで、
はてさてどうなることかと思ったらこんな素敵な曲! うれしい驚きでしたね。
……とまぁ、委員長の強みは直上の動画のようなネタの爆発力とか、雑談(や雑談まじりのゲーム実況)の面白さ、オモシロ企画を発想し具体化できる頭と手足・自身の動画編集力を生かしたハイライト動画を自作できるセルフアピール力で、実際そこから人気が出た配信者さんだと思うのですが。
MVにまつわる言及のなかには、
「う~ん、松田聖子や中森明菜はそれ単体で一本の歌として独立して楽しめるような歌唱力があったものだがウンタラカンタラ」
というようなコメントもあったりしました。(アドレスをメモったりしなかったので、出典が張れない)
逆説的に"歌のつよさ"をうかがわせるトピックだなぁと思いました。
懐メロ特集ほどには懐かし番組特集は組まれない印象がある。
聖子ちゃんカットが流行った時代に松田聖子と過ごしたひとは、平成人令和人が懐かし番組特集で一部見たりするヒットパレード以外の彼女のすがたを見てきたはずで、歌にしたって別の物語が頭のなかにふくらんだりするんじゃないんでしょうか。
「♪放課後は わたくしの元へ集合よ(キンコンカンコン キンコンカンコン)」
『それゆけ! 学級委員長』のサビのこの歌詞。
これは、さまざまな配信者がさまざまな時間帯に配信をおこなうなかで、日中の配信や終日の長時間配信ではなく、夕方~深夜あたりに1時間前後くらいでおもに行なってきた委員長が歌うからこそ胸を打つものがあるわけで。
そういう機微が、往年の名曲たち/タレントのかたがたにもあったりするんだろうなぁなんて思った一日でした。
1008(木)
宿直日。
1009(金)
宿直明け日。
■ネット徘徊■
来春の楽しみができた;『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』報
どえらい報が舞い込みましたね。
godzilla-sp.jp
『コロナ禍日記』で語られていた全13話*1のアニメ作品がついに明らかになりましたね~。やった~!
反響をみると「円城氏がどんなみょうちくりんなことをやるのか」ということへの不安交じりの(まんじゅうこわい的なニュアンスかな?)大喜利が主ですが、べつにいまから新たななにかを足さなくても、怪獣って妙ちくりんなんスよね。その時々の人類の恐怖や心性が盛り込まれた、世界精神型の存在みたいなところもあるし、作家主義的な読み込みがなされたりする偏りもある。
僕の中では「発光妖精とモスラ」がなぜあの三人なのかが謎ではあるんですが。
— EnJoe140で短編中 (@EnJoeToh) 2020年10月7日
と円城氏が疑問をうかべるそもそもの原作『発光妖精とモスラ』からして、冷戦や当時の日本の臭いがだいぶあり、それとは別種の妙ちくりんが盛り込まれています。
モスラは日本と馴染み深いカイコガと結びつけられ、モスラが眠る南洋の島インファントの不思議な存在・小美人は平和主義的だがだからこそ水爆実験をする大国ロシリカ国(映画版はロリシカ国。ロシアとアメリカの合体名だろうもので、都市部はニューヨークを思わせる)の興行師ネルソンにいいように食い物にされてしまう。
ネルソンの見世物劇場で歌いつづける小美人。そこでなにかいつもと異なる不思議な歌が唱えられた。小美人が心配で観劇にきた言語学者の中条は偶然その歌を聴き、その歌が頭にこびりついて離れられなくなる。
東京の大衆は熱狂・連日劇場を満席で埋めるが、いっぽう若者たちの心境は異なり、学生デモを起こし「ゴーホーム・ネルソン!」を訴えたりする(――小野俊太郎氏は『モスラの精神史』で今作を論じたさい、このくだりに将来「ベトナムに平和を! 市民連合」発起を呼びかける堀田氏の萌芽をみます)。中条はネルソンに直訴し、さらに小美人のモスラ呼び寄せを輪唱、ついにモスラを日本本土に招き入れる。
モスラは鎌倉から上陸し鎌倉大仏をつぶそうかというところで小美人の平和主義が勝って一旦来た道を引き返すが、しかし小美人の虜囚の日々はつづき、自由を求める彼女らの歌はまた始まり、モスラは国道に沿って進んで国会議事堂で繭をつくり、軍隊による熱線放射をむしろ成長の糧にして成虫へ変わり飛翔、ロシリカ国の摩天楼に鱗粉をまき放射能を吐き廃墟と変える……と、なかなかすごい事態となります。
異形をとおざけるためにやったこと(島の吸血植物に襲われたのでサイレンを鳴らしたこと)が、偶然にも摩訶不思議な事態を引き起こし、この――一度しか、そして自分しか遭遇していないうえに、その内容も同郷人から正気を疑われるような――異常事態から法則を見出して(音に小美人が呼び寄せられたと仮説を立て、検証する)意図的に再現できる条理とし、そこからさらに神秘の島インファントの言葉を解読していくことで、異形をまねきいれる呪文を自身も輪唱するに至る言語学者という存在も『ゴジラS.P』用にマーカーを引きたいところですが、特筆したいのは幕引きです。
事態はモスラが去ることで収拾がつくのですが、モスラが向かった先はなんと別の宇宙――反世界。そして「世界平和のためにインファント島はワイらだけの秘密や!」との旨を(中村真一郎&福永武彦&堀田善衛氏という日本を代表する文学者御三方)作者3人が物語に唐突に顔を出し連名で宣言したりするんスわ。
インファント島付近へ出ていた船の報告によると、モスラはたしかに到着した。が到着してしばらく後に、ふたたびどこかへ飛び去ったという。さらにその後しばらくして、国連管理の人工衛星IG4・スペースパーキング号が、彼が宇宙空間をまっしぐらに進行し、アンドロメダ星雲をかすめて、別の宇宙、反世界へと突入していくのを確認した。(略)
いつの日かまた小国インファント島の平和が侵されたとき、反世界からふたたびモスラがもどってこないとも限らない。だから人々はインファント島がどこにあるのかなどとさがしてはならないのである。そんな島がいったいあったのか、などと論じてもいけなのである。モスラが来る! このことを、中村真一郎、福永武彦、堀田善衛の三人は共同謀議によりここに連名で厳粛に宣言する。
中村真一郎&福永武彦&堀田善衛「発光妖精とモスラ」【下】モスラついに東京湾に入る(堀田善衛){河出書房新社刊、東雅夫編『怪獣文学大全』p.106~107より。(略は引用者によるが、「論じてもいけなのである」は原文ママ)}
円城氏が書きそう!
こういう妙ちくりんについて、妙ちくりんなままがっぷり四つで取り組める作家は、『屍者の帝国』をああいう風に書き継いだ円城氏など、数えるほどしかいないんじゃないでしょうか。
『フランケンシュタイン』をモチーフにゾンビが動物磁気で工業的に生産可能となった19世紀を舞台にした作品を描こうとして……当時一大ムーブメントを起こした価値観ピクチャレスクが劇中ガジェットのもたらした世界の変容とどう衝突したかを書いたり、動物磁気から生まれたもう一つの人造人間『未来のイヴ』を引っ張ってきたり、奴隷制と戦争をあつかったアメリカ小説『風と共に去りぬ』を引っ張ってきたり、電気つながりか大量処理を必要とする事物として『ヴィクトリア朝時代のインターネット』の知見を持ってきたり、はたまたドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』をロシアの思想家フョードロフの源泉から引っ張ってきたりできるひとが、いったいどれだけいることでしょうか。
ツイッターの大喜利たのしそうなので、ぼくも野次馬ぼんくらヨタ話を書いてますが(いま2万字くらい)、アップできるか不明なのでいくつか漏らしてしまおうと思います。
『コロナ禍日記』から察せられるのは、序盤で四次元立方体が右回りから左回りするらしいぞ、中盤あたりまでには、
「1列に並ぶ円柱に、斜め方向からビームが入射し、角方向へ同心円状に歪みを生じさせた跡」を、斜め方向から正面に移動しつつ見る
「散木記(抄)円城塔[日本・大阪 2020年3月某日~5月21日]」、4月16日(木)の記述より。{タバブックス刊、『コロナ禍日記』kindle版18%(位置No.5951中 1062)}
というショットが登場するらしいぞ……ということと。
読書メーターから察せられるのは{リンク先は『新九郎、奔る!(5) (ビッグコミックス)』が最新読了本であった2020/10/13時分のリンクです。それを基準にリストを前後してください。}、とりあえずモスラは出てきそうだし、映画版ではサブキャラだった言語学者(というか、作者のひとり堀田善衛氏)はもっと重要な存在になるかもしれないな、そしてなんか知らんがそこら辺で(堀田氏も紀行文を残している)インドが出てくるかもしれない。
そしてもしかすると、『ゴジラの逆襲』(大阪&北海道)『ゴジラvsビオランテ』(東京湾&大阪。ライバル怪獣はバイオテク系モンスターで、サラジア共和国が脇役)あたりのゴジラシリーズ第二作的タイトルも参照作品になるかもしれず、『ゴジラの逆襲』におけるゴジラを埋める雪山が固有の顔(歴史性/アイヌ/廃金山)を帯びてきたり、大阪の時点からすでに(上原善広氏ルポの固め読みから)被差別地域を扱ってきそうだぞ/アイヌについても土地だけでなく生活レベルで(アイヌごはん&上原本)……ということがぼんやり浮かびます。
野次馬記事では、朝日新聞書評や産経、『本の雑誌』書評欄での連載紹介をまじえつつもっと長々かいて、ぼくのわたしの最強『ゴジラS.P』大喜利に参戦するつもりです。
怪獣モノのファンは、何かしら、自分が見たい最高の都市破壊/人類蹂躙/人為のおよばない野蛮に対してどうにか理を見出さんとする人類社会との関係性/急場になって顕在化するコミュニティの歪みをひとつやふたつ胸に秘めているものだと思います。
ゴジラ報にかこつけて、そういう欲望を語ってみたいなぁなんて。
しっかし円城氏の読書録をのぞいても、めぼしい怪獣は3種類とかそこらなわけですが、実際のアニメではどうなるんでしょうねぇ。
瀬下&静野監督(虚淵脚本)の『ゴジラ』3部作は80分で1怪獣みたいなかんじだったからそれを考えると、なくはない配分ですが、しかし、20分区切りのTVアニメシリーズでは、はたしてそのペースでいけるものなのか?
圧倒的作画スタッフのそろったボンズだし、毎話怪獣登場・対戦ができる地力はゆうにありますよね。はてさて……??
1010(土)
出勤日。
■買いもの■
野次馬記事のためにアレコレ本を買いました。
野次馬記事のためにまたアレコレ本を買いました。
1011(日)
書きものをするつもりが、一日中寝ていました。
■買いもの■
気力の減退が判断力を大いににぶらせている
野次馬記事のためにまたアレコレ本を買ったのですが、定価2000~3000円程度だったものが倍になったり1万円越えしていたりで非常に萎えます。
古書価が高騰した本のなかには、車で片道40分とか1時間程度(交通費はバス+電車で片道500~800円くらい)のところに位置する他市の図書館へ行けば借りられるものもあったのですが、もういろいろと面倒くさくなって買ってしまいました。
所蔵館の数だけ休日をつぶして、それぞれ電車バスに2時間乗ることが、なんとも高コストに思えてしまったんですよね。一度の貸出期間で読み切れればよいけれど、いまの自分ではそんなことできないだろうし。
1012(月)
■書けてないもの■
目移りする興味、増えていく負債
書き終わってないためアップできてない記事たちが、なんだかんだで計17万字くらいになりました。
ロケットみたいな書き方だと思います。
初速でどれだけ進めるかにかかっている。書ききれたら万々歳だし、書ききれなかったら宙ぶらりんで、宇宙の藻屑と化してしまう。
ただしロケットとちがうのは、爆発力に欠けていて、さらに進む先は無酸素の空間ではなくどんどん酸化し腐敗していってしまうこと。一度中断してしまったら、再起動はもうなかなかできない。
車のようになれたら多分よいですよね。
それなりの速度で進んでやがてガス欠を迎えるけれど、視界にはガススタンドが見えており、そこで新たなガスを補給して、また進んで再度ガス欠になってまた別のガススタンドに入る……というような。
ただし当方はチャレンジなど通信教材も夏休みの宿題も均等割りですすめられたためしがなく、たゆまぬ継続の意思みたいなものとは無縁である。