すやすや眠るみたくすらすら書けたら

だらだらなのが悲しい現実。(更新目標;毎月曜)

日記;2020/07/14~07/20

 (先週今週とあいさつを忘れました……)今回も今回とて日記です。6500→8800⇒ 5500字くらい。

 『SAS戦闘員』途中まで、『BHD上』再読、『ユートロニカ』発売直後小川氏トークイベント視聴した週。

 ※言及したトピックについてネタバレした文章がつづきます。ご注意ください※

 

0714(火)

 宿直日。

 ■社交■

  T氏からきららオススメ情報をさずかる

 『まんがタイムきらら』で有名な芳文社が70周年記念だかでさまざまな作品の電子書籍を1冊77円の大特価にて提供されてました。100冊買っても1万円しないわけです。やばいセールですね。

 高校時代からの友人T氏にぼくのオススメを訊かれたものの、『きらら』系は未知の領域で{ためしに手を出すには「う゛っ」となる値段。(個人的には9000円の本1冊買うよりもハードルがたかい。不思議な感覚ですね)}、逆にオススメを仰ぎ、あれこれ買いました。ありがたし。

 

 

0715(水)

 宿直明け日。 

 

 ■ネット徘徊■書くもの■

  テンプレがあることの重要性

 リプライツリーを見て「知人友人関係なのか知らんけどいきなりすごいパスだすかたおるな!?」と思いました。

 

 そこで、プロダム・ファンダムでの伊藤氏の作品にかんする識者からの評価(掲載情報とその内容)を概観できる記事なんてあったら便利だよなぁと思いました。

{ファンダムの記事も追ったらキリがないし論点が拡散してしまいそうですが、ぼくが興味深く読んだ評っていくつかはそういうところから出たやつだし、プロダムで/一般流通している書籍で話題にのぼってるものさえあるので、入れないのもなぁという。

 たとえばはてな匿名ダイアリーに投稿された『大嘘』説――界隈をにぎわせたこの説が、明治学院大教授の書籍にも肯定的な文脈で登場するってご存じでしたか?("「はてな匿名ダイアリー」に匿名子が立てたあるエントリ(略)は(略)正しく喝破している") 別の識者から反論となる読みが一部公開されていることは? 本題②

 それにくわえて、実作の参照元まとめとかも。

 伊藤氏のオタクを自称しているとおり、ぼく基準でコツコツ、新聞掲載の伊藤氏の書斎の写真とか、blogでわかる微妙に具体名が書いてない閲覧記録から当時のTV番組編成表を実際に見て「実際なにをご覧だったのか?」とかアタリを付けて、実作への反映を確認する……というめんどうなことをやったりしたことがあるんですけど。

 「おお大正解!」てガッツポーズをしたあとに、ツイート検索かけてみたらすでにその参照について触れてるひとが数件ながらいた……みたいなことって、それなりにあるのですよ。

{たとえばアレックス&ウィリアムズのやりとりは『SAS戦闘員』の実話から来ますが……

いつかウィリアムズが、面白い小説はないか、と訊いたことがあった。手持ちの小説は全部読んじまった、と。どういうのがお好みですか、とアレックスが訊きかえすと、そうだな、エンターテインメントがいい、とウィリアムズは答えた。セックス、ドラッグ、バイオレンスだ。するとアレックスは笑って聖書を差し出したのだった。 

   虐殺器官kindle版16%(位置No.4769中 721)、第二部「1」より

 ある日、ベッドに寝そべって尻を掻きながら紅茶を飲んでいると、フランクがはいってきた。「退屈だろう?」

「ああ、なんにもしないで、ただぶらぶらしてるだけだ」

本が欲しくないか?」

「ああ、どんなのがある?」

セックス、暴力、陰謀、なんでもござれというやつがある」

「そうか。読んでみよう」

 そこでフランクは、自分の部屋へ行き、その本を取ってきて、私のベッドにほうった。それは聖書だった

   アンディ・マクナブ『SAS戦闘員』p.182「15」より 

  ……ツイート検索かけると7人くらいのかたが話題にしている。(もともとのエピソードでは3要素のうち「陰謀」だったものが「ドラッグ」に。聖書を主体的に布教するひとが、他人に本をこんな内容のをとたずねられたリプライとして聖書を渡すひとに……というように、物語に合わせた脚色もまた認められます)

じぶんで調べものしてみるって楽しいし参照元自体も面白いし実作との相違点と比較し伊藤氏のイマジネーションとは何だったのか輪郭をハッキリさせるのも興味深いので、やるだけやっただけしあわせになれるのですが、でも、それはそれとして「おれだけが気づいた新発見だと思ったのに!」みたいなガッカリ感は正直感じてしまう(笑) 

 

「んじゃあ、いまから振り返ってみるか~」

 ってやってみてると、それなりに出来てしまえるんですけど(ビバアマゾン! ビバ『蘇る伊藤計劃』伊藤氏の活動まとめ!)、それなり以上にやるのは大変ですね……。

 当時からコツコツ追ってファイリングしてるなら楽チンだっただろうに、引っ越しもあって、雑誌関係はぼくの本棚(というか段ボール)だと全滅。

 

 

 国会図書館もいまのご時世きびしいですしね。

{サービス業のつらいところで、ぼくのはたらく職場はCOVID-19疑いでも面倒くさいことになる(というのが重々わかった)ので、東京&公共交通機関は利用できません……

(どれだけ気をつけてたってどこから貰ってきたり&うつしてしまったりする、けっきょくは確率問題でしかないと思うし、周囲のひともそう考えていると思うんですけど。

 でも、いざ成ってしまったとしたら、おらが村ではそういう理屈は通らないんですよね……。「なんでこのご時世」って、詰めようがないものを詰められるのが目に見える……)

 

 完璧ななにかをお出しするのではなく、ぼくが「こんくらいあれば充分でしょう!」という段階で投稿してしまうようなテンションで書いてます。

 遅くとも8月頭にはアップしたい。

 当然、伊藤計劃研究の大先生がたには物足りない内容になりますが(笑)、読みたてのかたが「へぇ~」て思えるくらいのものとか、当時読んだかたが「あったね~そんなの~」と思い出話できるくらいのものにはしたいところですね。

 

 

0716(木)

 ■そこつもの■

  売ってしまったと思った本を売ってなかったが買ってしまった

 電子書籍版の単独出版がきまった伴名練氏の『全てのアイドルが老いない世界』で引用されていた一作がおさめられた『ベガース・イン・スペイン』。表紙がすきで買ったのですが、見当たりませんでした。引っ越しのさいに誤って売り払ってしまった、あるいはそもそも買ったのだろうか……? 自信のなくなったぼくはけっきょくAmazonで中古を購入。届いてから段ボールの中から見つかりました。

  日記ですでに何件も書いた「本が見つからなかった」案件ですが、「どうせすぐ読むわけではないし……」と寝かせず、サクッとポチってしまったところに、ぼくのその時の疲労度が見えてくるようです。

 雨がちですが日々暑くなっていますね。みなさんミネラル等各種栄養をしっかりおとりくださいませ。

 

 

0717(金)

 ■そこつもの■

  気づいたら大特価セールがおわっていた

 素朴に悲しかったですね……。

 

 ■読みもの■

  SFアンソロ多過ぎとの声は実は2010年代(草野原々氏が所属時代?の慶応SF研)には上がってたらしい;大森望著『現代SF観光局』から

 あらためて振り返ってみて、「こんなに出てたの!?」と驚いた、豊富すぎる2010~20年代のSFアンソロジー

 上述した野次馬記事を書く関係で(^^;)、はじめて『現代SF観光局』買って過去記事読み返してたんですけど、SFアンソロジーの豊作ぶりについて2010年くらいにはもう批判の声があがっていたということを知りました。(草野原々氏が所属していた?あたりの時代の、 慶応大SF研の同人誌でそういう批判がなされていたそうな)

 あの辺の時代がたぶんSFをいちばん読んでいた時代で、当時はSF大先生のつもりでしたが、いろんなファンがいていろんな賑わいがあったんだなぁと興味ぶかい。

 文字で残してくれてるひとがいたからこうやって後から門外漢も「へぇ~」ってなれるわけで、記録ってだいじですね。

 

 

0718(土)

 1日しっかりお仕事休みだったんですが、なんもせんかった。

 

 

0719(日)

 出勤日。ちかれました。

 

 ■読みもの■

  マーク・ボウデン著『ブラックホーク・ダウン(上)』再読

 久々に読み返しました。毎度のことながら面白い。

 いろんな層に取材していて、本当によい戦記ですねぇ。

 あと、これは『BHD』についてというよりも、文字媒体のおはなしですが……。

 ……画一的に見えるものでも、個々でバリエーションがある細部{たとえばエリートのデルタ・フォースでも(だからこそ?)、いわゆる兵隊用ヘルメットは幅をとるから、(よりコンパクトな)ホッケー用ヘルメットを転用しているとか}。これをボウデン氏の筆は端的に掬っていて、こういう部分が説明として浮かないのは文字媒体の強みだなぁと思いました。

〔映像作品や漫画では、この速度でこれだけ伝わる方法ってなかなか無さそうな気がします。

 劇中人物がセリフで触れるのはうまいことやらないとダサくなってしまうでしょうし{たとえばエピソードにしてしまうとか。前段で先輩から教えられた主人公が、後段で後輩に教える側に立つとか?(月並みな展開で、これはこれでダサいんでしょうけど……) 敵対する側が「このヘルメットはエリート、あっちはちがう。ここはやりすごそう」みたいな風に見分けたりとか? 敵対する側がたとえば竹槍を支給して「あっちもああやって工夫してるんだ、おれたちのこれも同じだ。知恵をつかえ知恵を」と装備の至らなさをごまかしたりとか? どんどん長くなるな……}、わざわざ「違うんですよ」と抜き撮りするのもアレだし、そもそも抜き撮りしただけでは、{たとえば鑑賞者がホッケーの大先生であるとか}前提知識が頭にないひとにしてみれば「違うんだな」ということまではわかっても、具体的に「あっホッケー用ヘルメットを転用してる!」とはならないでしょうし……〕

 

0720(月)

 ■見たもの■

  『大森望×小川哲「ィストピアの最新系——『ユートロニカのこちら側』ハヤカワSFコンテスト大賞受賞記念イベント』鑑賞メモ

 ゲンロンカフェで大森望氏がおこなっているトークイベントの、小川哲氏ゲスト回。いまや直木賞候補作家である小川氏は、この登壇時はデビュー作『ユートロニカのこちら側』が出版されて4日という時分でした。(後半から塩澤快浩編集長があらわれての鼎談)

 『ユートロニカのこちら側』についての紹介的なお話、今後のネタとして考えているものからいくつか紹介、ご家族やご友人のお話……といろいろ聞けました。(以下面白かったところ。「」でくくられてても正確な引用じゃないです)

 パワーがありますね。

(アカデミアでチューリング研究をしているので、かれを主人公にしたSFを考え、構想を編集さんに話して盛り上がった。けれど、大森さんとトークするにあたって勧められたイーガン『オラクル』を読んだらまんまソレだった。イーガン、おれの脳内からアイデアを盗んだのか……?

 巡回ヤクルトおばさん問題。

 イベント当時はまだ構想中だった『ゲームの王国』のこと)

 "じつはJ・G・バラード読んでないんです"という告白はこのイベントだったんですねぇ。

 イベント視聴者からの質問

伊藤計劃のお話が出ましたが、かれの作品はバラードの初期の作品=破滅3部作と比較されることが多いですよね。いっぽう『ユートロニカのこちら側』は、バラードの最近の作品と比較されることがある。小川さんのバラード観をお教えください」

「じつは読んだことないんですよね。バラード、お前もおれの脳内からアイデアを……?

 パワーというかパワーちゃん味がありますね

 

 東大理科一→教養学部→東大院というアカデミックな経歴や、岩波文庫を端から端まで読んでみたという読書歴、そしてじっさい執筆された小説やいくつかのコラムなどで披露される本当にさまざまな知見から、小川氏はぼくにとって"""知性"""とか"""教養"""とかってことばがしっくりくるかたですが、トークを聞くとかなり陽の者でびっくりしてしまいました。(YOU 覚えておけ 院と陽を行き来できる者が一番強い)

{小川氏の所属するようなコミュニティであっても、小説書く(≒ワナぶ)のは「おっww?」と囃し立てられたり、逆にある程度経歴がついた段階で「おーっww」と異様に持ち上げられたりしてしまうものなのか……というのもありました}

 

(余談)また、このへんにぼくのコンプレックスがあるんだなぁと面白かった。

 たとえば伊藤氏まわりを夭折の天才だァなんだと過剰に持ち上げたり神格化するのはどうかと思う一方で、ぼくは小川氏やら伴名練氏やらといった自分と同年代のすごいひとを――たとえば小川氏でいえば、いわゆる「文豪」や「知の巨人」という。伴名氏なら「本が好きで好きでたまらないタイプの書痴」という――別の存在の箱に入れてしまいがちだ。これは、そうすることによって劣等感をいだかないようにする防衛機制なのではないか。

 いくら凄いったって人間にゃあ変わりないんだから、ウェイウェイ騒いだりブヒブヒ騒いだり主語の大きなイキリオタク発言とかレスポンスバトルとかだって、まぁ、してないということもないでしょう。すごい仕事とすごい人格はべつに等号で結べるものではない。けっきょくはどれだけ積み上げられるかなのではないか……

 ……みたいな努力部分を加味した結論にむかうのが妥当なところですけど、そうするとじぶんのぐだぐだ具合について無視できなくなるから、そこへ行けないんですね。しょうもないやつだ……。

 心の平静をたもつための小市民的な小細工、これをかわいいと取ってもらえる年齢はとっくのとうに過ぎてしまった。

 

 「あれはやっぱりディストピア物なんですよ。」0:51:10~

 大森氏からのネタ振りにこたえるかたちで、小川氏の『ハーモニー』感想がちょっと聞けました。

 小川氏の認識をまとめてみると(発言の時系列が前後しますが)、『ハーモニー』は、『虐殺器官』終盤の第三次世界大戦的な断絶を経て(=民主主義がいちど終わって)、ゼロベース的に新たな共同体ができあがった遠未来モノであり(1:05:00~)(劇中ガジェットの体内監視システム=)WatchMeは、民主主義的な手続きによって"自主的に入れる"ものではなく、世界政府から強制的にWatch Meを"入れさせられている"/「健康であれ」と律せられている設定であると。これは小川氏(世代)ではもっともらしく感じるものではない(0:51:10~)。「今だったらそうじゃないだろうと」0:53:43~

 1:04:10~「SFって大別して、近未来モノと遠未来モノと別の世界線の話の3者に分類されると思う」

 1:05:00「ディストピアは遠未来モノが多かったイメージ」

 1:14:00『虐殺器官』を周りに勧めていた。

 

 塩澤氏が言っていたSF読者層の話が「へぇ~」となりました。

「通常のSFって7割8割くらい男子(が読者)なんですけど、『虐殺器官』『ハーモニー』だと6割くらい」1:31:02

  そうだったん!?

 

 ■ネット徘徊■

  「ネットで難点込みの話をする難しさをおもう」;先週の日記に追記する

 じっさいには7/21(火)にしたことなのですが。

 先週の日記で書き忘れていた部分について追記しました。……でもこれはこれで話題がとっちらかってしまっている気がする。ぐだぐだ書きましたが、最後のパラグラフである……

サークル活動のメリットとして、同好の士があつまる場である。というのは、もちろん絶対あると思うんですけど。

 むしろ(同好というくくりの)異なるひとがあつまる場である。もっと言えば、頷けない――というか「あ゛??」というレベルで反感を持ったりする――他者の声を、とりあえず聞いてみようという態度になれる場である。というのも、大きな魅力であったりするんじゃないかなぁ……なんて思いました。」

 ……の一文で済むお話なのではないか。